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『好きならドロドロでもええやん』

〇:こんなあっついのに今日も一日授業かよ…

俺は〇〇。普通の大学生だ

〇:冷房効いた部屋でゴロゴロしときたいな…

夏に対する愚痴を吐きながら通学路を歩む

ピロリン

〇:ん?

麗L:今日も終わったら家行ってもいい?

俺の彼女である守屋麗奈からのLINEだった

麗奈とは別の大学だが友達が主催してくれた合コンで出会った

〇L:全然いいよ。呑んでく?

麗奈はとても容姿淡麗でほかの男に取られないかいつも不安だ

だからこそできるだけ多くの時間を麗奈と過ごすようにしている

麗L:うん!呑も〜!

〇L:わかった。お酒いっぱい買っとくね

最後に麗奈からかわいらしい了解の意を伝えるスタンプが送られてきたのを確認してスマホの電源を落とした

〇:ぱぱっと終わらせて帰ろ

そう言って大学へ向かう足を早めた


〇:はぁはぁ…ギリギリ間に合ったか…

大学についたときには一限が始まるギリギリの時間だった

学生証を機械にかざし出席確認を済ませ教室の後ろの方の席に腰を掛けた

〇:ふぅぅ…さすがに涼しいな…

教授:よしじゃあ今日は前回の続きで動画見ていくぞ〜!

〇:ほんとこの授業楽だよなぁ…一限だから出るのがしんどいだけでやることはほとんどないもんな

この授業は動画を見て感想を書くだけで単位がもらえると俺の大学では有名だ

いわゆる楽単ってやつだ

??:ほんますいません…遅刻しちゃいました…!

先生:あぁ今日は動画見るだけだから適当に空いてる席に座りなさい

??:は〜い…あ、ここ開いてるな…隣座ってもええ?

〇:あぁ…うん、いいよ

内心隣に人が来ることに抵抗感を覚えたものの渋々了承した

??:ほんまありがとう〜!うちは田村保乃、よろしくな〜

〇:あ、あぁ…俺は〇〇よろしく

彼女がいる身分なので麗奈以外の女子と話すのは久しぶりだった

保:なぁこの授業さ動画見るだけでつまらんくない?笑

〇:ま、まあ…でも楽だし…

保:まあそうやけどさ〜笑人生で一番遊べる大学生活がなんかもったいない気せえへん?

〇:わからなくもないけど…

保:そやろ?笑

〇:う、うん…

保乃の無邪気な笑顔に思わず見とれてしまった

保:じゃあさ…二人でこの授業抜けてどっか行かへん…?

〇:え…?いやそれは…

初対面の女子に言われたこと、自身が彼女持ちの身分であることから思わず動揺してしまう

保:え?あかん?

〇:い、いやダメっていうか…

上目遣いで言われ思わずドキッとしてしまう

保:なに?彼女でもおるん?笑

〇:え、まあ…うん…

ここで初めて自分が彼女持ちであることを伝えた。〇〇自身こう言えば諦めてくれると思ったのだろう

保:ふ〜ん…そうなんや!まあでも変なことするわけちゃうし全然ええやん笑

〇:いや、でも…

保:ええや〜ん!それともなに?保乃のこと意識してんの?笑

〇:ち、違うって…もうわかったよ…

こうやって人の頼みを断りきれないのが俺の悪いところだ

しかし、保乃が言ってたことはたしかに正しい

俺が保乃に恋愛感情を抱いてるわけでもないしおそらくそれは保乃も同じであろう

その上での誘いだ。なにもやましいことはない

保:やった〜!じゃあ行こか

〇:お、おう…

そうして二人は教授の目に触れぬようにこっそりと教室を出た

保:ふぅ〜…出てこれたのはええけど今日めっちゃ暑いな〜

〇:なんか行くところとかあるの?

保:ん〜とりあえず公園でも言って話そうや

〇:え、まあうん…

こんな暑い日に公園かよという言葉が喉まで出掛けた

二人は大学の近くにある公園に来た

保:よいしょ〜暑いけど陽に当たるのもええな〜

そう言いながら保乃はベンチに腰掛けた

〇:そうかな…

額についた汗を拭きながらそう呟いた

保:〇〇ってバイトとかしてんの?

〇:やってるよ

保:バイト代とかなにに使うん?

〇:まあ洋服とかかな…

保:そっか確かにおしゃれやもんな

〇:そ、そんなことないけど…

褒められて思わず照れてしまう

保:うちはな〜なかなか続かんのよな〜笑

〇:そ、そうなんだ…

保:続けないかんのはわかってんけど…

徐々に保乃の言葉が遠くなる

保:え、え?〇〇どうしたん?

〇:ご、ごめん…なんかクラクラして…

バタン

そういって〇〇はその場に倒れてしまった

保:〇〇〜!〇〇〜!

保乃の呼びかけに応答することはなかった


〇:ん…ん?あれ…ここどこだ…たしか公園で倒れて…

保:お!〇〇起きた?大丈夫?めちゃくちゃ心配したんやで?

〇:あ、ご、ごめん、それでここは…

保:ここは保乃の家やで!

〇:そ、そうなんだ…

彼女以外の女子の家に来てしまったことに罪悪感を感じる

保:今日はもう学校いかん方がええで。良くなるまでここで休んで行き

〇:保乃は行かなくていいの?

保:保乃は別にええねん笑ちょうどサボりたいな〜って思ってたし

〇:あぁそう…

保:じゃあどうする?お酒でも飲む?笑

〇:え、いや…

彼女以外の女子とお酒を飲むことに抵抗感を覚えるも太陽に照らされ疲れた体に冷えたお酒を入れたいという願望もある

保:ええやん!笑ほら飲もう?

〇:え、まあ、うん…

保乃の勢いに押され了承してしまう

保:じゃあ乾杯〜!

〇:か、乾杯…

罪悪感から控えめに乾杯する

保:え、彼女はさ、どんな人なん?

〇:え、まあ可愛くて優しい人?

保:なんなんそれ笑めっちゃありがちな答えやん笑

〇:だってそうなんだもん

保:え、保乃とどっちがかわいい?笑

そう言って保乃はいたずらに笑う

〇:なに言ってるの…そ、そりゃ彼女に決まってるじゃん…

保:本当にそう思ってんのかな〜笑

〇:ほ、本当だよ…

保:じゃあさ?保乃がこうやってしてもなにも感じひん?

そう言って保乃は〇〇に抱きついてきた

〇:ちょ、ちょっと…!な、なにしてんの…

保:なにしてんのって言いながら全然抵抗せえへんやん笑

〇:あ、いや…

自分自身でも抵抗していなかったことに驚く

そして〇〇は初めて気づく自分が保乃に見とれてしまっていたことに

保:ずっと過ごしてきた彼女よりも今日あったばかりの保乃を選んだん?悪い男やなぁ…笑

〇: …。

自分自身でも自覚している俺は悪い、最低な男だ

ピロリロリン ピロリロリン

その時〇〇の電話がなった

〇:あ、麗奈からだ…でないと…

保:麗奈?彼女?

〇:え、あ、そうだけど…

保:このまま出てよ…笑

〇:え、いや、それは…

保:なんか悪いことしてるみたいでドキドキせえへん…?

〇: …。

たしかにと思ってしまう自分がいた

そうして〇〇は電話に出た

麗:あ、もしもし〜?

〇:あ、うん、どうした?

麗:あ、今日〇〇の家いけなくなっちゃった〜

〇:あ、そうなの…?

麗:うん、ちょっと用事ができちゃって…

〇:そっか、わかった

麗:うん!じゃあまたね〜

〇:うん

そうして電話を切った

保:これでずっとここおれるな?笑

だき抱きつく力を強めて言う

〇: …

〇〇も無言で力を強めた

そのまま二人で呑み続けた

〇:そろそろ行くわ

保:うん、今日は楽しかった

〇:なあ保乃はさ、こういうの平気なの?

保:え?笑まあ

"好きならドロドロでもええやん"

〇:そっか…

保:〇〇最後に…

〇:ん?

チュッ

そうして保乃は〇〇にキスをした

保:じゃあまた遊ぼな

〇:お、おう…

そう言って〇〇は保乃の家をでた

〇:マジでやっちゃったな…

今日の自分の行いを深く後悔する

〇:なんか麗奈に会いたいな…

麗奈への愛を再確認するためにも麗奈に会いに家に向かう

〇:まだ帰ってきてないかな…

ダメ元で麗奈の家の前に立つ

〇:あれ…空いてる…?

ドアノブをひねると鍵は開いていた

〇 :あれ誰の靴だろ…

玄関には見知らぬ靴が置いてあった

〇:まあ良いか

今日の愚行を繰り返さないよう、麗奈に会うためそのためだけにリビングのドアを開けた

〇:麗奈〜!ちょっと会いたくなっちゃったから来ちゃっ…え?

麗:え!?〇〇!?どうして…

そこには見知らぬ男とキスをしている麗奈がいた

〇:麗奈どうして…?

今日の自分の行いから強く言えなかった

麗:本当にごめん…でも…

"この人のこと〇〇よりも好きになっちゃったんだ"

ここからあまり記憶がない

気づけば再び保乃の家にいた

保:どうしたん?また来て…笑

〇:今は聞かないで

チュッ

そういって〇〇は保乃にキスをした

保:急やな…でも嬉しい…

その日、結局二人は真夏にも関わらずお互いの体温を感じ続けた

〇〇のスマホからは麗奈の連絡先が消えていた

end






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