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Kaiserreich進捗報告139 武器と(経済)支配

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3回目のゲーム内容報告は、残るドイツの戦前コンテンツを紹介しよう!

政党の駆け引きや議会での投票だけがカイザーライヒの舵取りではない。世界で最も強力な国家、旧体制の勝者、東西から圧力にさらされるヨーロッパ覇権の守護者として、ドイツはさまざまな方面に注意を払わなければならない。そのためのツールが、今のコンテンツでは絶対的に不足している。

リワーク以前のドイツには最低限の軍事・外交コンテンツしかない。中央ヨーロッパに影響力を広めるための重要なツールのひとつ、中欧経済圏のコンテンツはほとんどない。今回のリワークで、これを全て改修する。

それでは始めよう。


戦争への道のり

1936年、ドイツを数々の危機が襲い、国際情勢への関心は当然薄れてしまう。政治方針をめぐる対立や、経済問題やルール争議への取り組みに力を注いだ結果、第3インターナショナルの拡大といった外交事件を防ぐことはできなくなってしまう。それでも戦争は避けらず、ドイツの戦前外交はそれを念頭を置いた内容になる。ドイツはゲーム開始時から外交NFツリーが解放され、ここで世界のさまざまな地域に影響を及ぼすことができる。

ドイツの外交ツリーでいちばん大事な目標は、第二次世界大戦の開戦を遅らせることだ。以前のアップデートで、宣戦布告と第二次世界大戦の開戦の条件に、一定以上の国際緊張度が追加された。内戦や外交危機、対外拡張政策で緊張度は増加し、ドイツはNFやディシジョンを使って緊張度を下げることができる。あるいは秘密作戦で敵国を妨害することもできる。

前大戦終結後、当時の宰相ヴィルヘルム・ゾルフはコミューン新政権とメッツ条約を締結。ヴェルサイユ条約の批准と独仏国境地帯の非武装化継続を確約させた。今やどちらも有名無実と化してしまったが、パリに条約の更新を求めるべきだ。世界はフランスを好戦的国家と見るだろう。

なぜプレイヤーがそんなことをするのか? それは、準備に必要な時間を稼ぐためだ。ドイツに不足していたのは外交への関心だけではない。経済崩壊と政治闘争は(たとえどれだけ早く解決しようとも)政府のリソースを吸い上げてしまい、再軍備や戦争準備に手が回らなくなってしまう。ドイツの対応は後手後手にまわり、そして戦争がいよいよ目前に迫った時になって初めて、ドイツがどれだけ無防備なのか気づくだろう。

この準備不足を解消するため、プレイヤーは軍隊の改革を進め、工業力を増大させ、ブラックマンデーに対処し、ルート独自の政治システムを進めていく。しかしそのためには時間が必要だ。ドイツにとって、どれだけ時間があっても足りない。あまりにも早く戦争が起きてしまい、プレイヤーが戦争準備を進めていなければ、いともたやすく足をすくわれてしまう。必死に再軍備を進める間にも、サンディカリスト軍の強烈な一撃で国境地帯から叩き出されてしまうだろう。

もちろん、ドイツの外交ツリーでやれることは他にもある。新しいツリーに東方要塞やオスマンとの取引など、リワーク前のコンテンツを回収したものもあるが、多くの新NFが用意されている。ドイツはオーストリアやスペインを支援し、アメリカ内戦への関与を強め同盟をアジアやヨーロッパ、さらには南アメリカにまで広げ戦後には一部の島を要求して海軍基地を建設できる

陣営

1915年にフリードリヒ・ナウマンが提唱した中央ヨーロッパ経済・関税同盟構想、通称「中欧同盟」は、東欧諸国の建国期と経済協定の締結を経て、1923年にようやく実現した。ユンカーや農家は、東欧との自由貿易によって安いウクライナ産穀物との競争を懸念していたが、そうした層もなんとか説き伏せた末の成果だった。中欧同盟はドイツのヨーロッパにおける政治・経済的影響力そのものだ。

中欧同盟は、今回のドイツリワークで抜本的に改修された。というよりも、最低限の内容しかなかった現行の中欧同盟に、重層的なコンテンツを用意した。さらに初期加盟国も増やした。オーストリア=ハンガリーブルガリアオスマンなど、ナウマンが原加盟国として希望した国々や、スペインなどのドイツ寄りの中立国も1936年時点で加盟している。

1936年は非常に忙しい年になるので、プレイヤーがドイツを操作している場合、中欧同盟システムは1937年にアンロックされる。イベントが発生すると画面右下のボタンを押せるようになる。

注意:AIがドイツを操作している場合、中欧同盟システムはゲーム開始時から利用可能。

ボタンを押すと、中欧同盟に関する画面が表示される。ここから何ができるのか?

中欧同盟は正規・非正規のルートを通じて(例えば民間企業と各国経済省庁との協力を促し、そこからドイツの投資・影響力を広げるなど)、さまざまな分野を網羅する経済同盟へと成長を遂げた。加盟国は次の半年間に同盟が掲げるべき目標を提案するか、あるいは他国の提出した案に支持を投じることができる。

中央同盟における加盟国の発言力は、その国の経済力に比例して大きくなり、提言の重要性を左右するが、政治力を消費して発言力を増やすこともできる。だが提案を通すための最善策は、やはり他の加盟国から支持を集めることだろう。 

中欧同盟には議事の進行役となる議長職が存在し、ドイツはゲーム開始時の議長国だ。そして議長国は、もっとも支持を集めている上位3つの提案の中から2つを選んで採択し(提案が2つしかない場合はそのまま)、加盟国すべてにバフを与える。しかも議長国は、たとえ上位3つに入っていなくても、いつでも自前の提案を採択できる。

議長国になるのはお得ではある。しかしあまりにも多くの加盟国のひんしゅくを買うと、議長国交代運動が始まる恐れがある。ただ全ての国が反対しても、ドイツは強引に議長国に居座る事もできる。しかしその代償は大きい。

最後に、ドイツは独自の中欧同盟NFツリーを使って、新たな目標の設定や、さまざまな改革を実行できる。

それぞれの政治ルートに合わせて、中欧同盟にも2つの改革ルートが用意されている。シュライヒャー独裁黒・白・赤連立ルートでは、「Leading the Flock」から始まる改革ルートが解放される。ドイツの利益を最優先目標に掲げ、中欧同盟の集権化と加盟国の従属化を推し進める。一方、民主同盟ルートでは「The European Brotherhood」ルートが解放される。こちらは中欧同盟の民主化をめざし、ドイツの優越的立場を弱めていく。

どちらの改革ルートも、最後のNFは第二次世界大戦の終結後に選択できる。

  • 「Leading the Flock」の集大成は、加盟国の正式な主権放棄だ。中欧同盟の独立性という幻想は壊れ、すべての加盟国がドイツの傀儡国家となる。

  • 「The European Brotherhood」の集大成は、ミュンヘン会議の実施だ。民主的で自由主義的な中欧同盟はその経験をもとに全世界の国家を会議に招集し、国際平和と協調を目指す組織、「国際連合」を結成する

どちらもNFも、数年間に渡って中欧同盟を管理運営した末に獲得できる、強力な効果を持っている。しかし戦後のコンテンツについては別の機会に改めて……。

陸軍

世界大戦はドイツ帝国陸軍にとって最大の試練だった。敵は世界の三大陸軍、かたや味方の軍隊は頼りにならない状況で、しかしドイツは勝利を収めた。それ以来、ほとんど誰もがドイツ陸軍こそ地球上で最強の軍隊であると信じて疑わず、軍部も慢心するようになった。革新的な改革派も声を上げ、戦後に数多くの近代化改革案が提出された。しかし軍部保守派の抵抗や、文民政府の無理解の前に立ち消えとなった。とりわけ政府は、改革など無用と考えていた。フランスとロシアがまた挑戦するなどありえるだろうか?

実際のところ、ドイツ陸軍は完璧とは程遠い状況にあり、内部の問題は大戦終結以降ますます悪化している。改革の停滞以外にもさまざまな問題を抱えている。

  • 内部の対立と、(特に平時の)調整機関の欠如。ドイツ軍は極めて複雑な組織構造を抱えている。海軍は海軍長官をトップとする国家的軍隊だが、陸軍はプロイセン陸軍を中心に、バイエルン、ザクセン、ヴェルデンブルクなど領邦各国陸軍の寄せ集めだ。そのため、ドイツには連邦レベルの陸軍長官職が存在しない。また陸軍と海軍は予算を巡って争い、両軍の協調を促す調整機関もない。

  • 貴族による将校団独占。貴族出身の将校には要職があてがわれ、それ以外の出自の軍人はさまざまな手段で出世コースから外されている(例えば下級将校の俸給は低く、実家からの仕送りに頼らざるを得ないなど)。

  • 戦争戦略の軽視

  • 軍閥の対立と政治への干渉。この結果、軍部と政府・議会の関係が冷え込んでいる。

ドイツ陸軍のドクトリンは機動戦を旨としている。これはさまざまな意味で、18世紀からプロイセン陸軍の中心的な思想だ。二正面戦争や対プロイセン包囲網、すなわち敵がリソース面で圧倒的な優位にある状況下で、プロイセン陸軍内では攻勢を熱烈に支持する文化が生まれた。プロイセンは敵を上回る訓練・組織を備えた機動的軍隊をもって、敵に強烈な一撃を与えることで戦争に勝利すべきである。この思想はさらに包囲殲滅戦を絶対視する風潮を生み出した。ドイツ軍事思想において完璧な戦い、「ベンチマーク」と長らく目されていたのがカンネーの戦いだ。練度と機動力に優れた寡勢が、数で勝る鈍重な敵軍を包囲し、完膚なきまでに殲滅した。

このドイツ軍事思想の「土台」は、陸軍NFツリーの共通部分で表現されている。

この土台をもとに、政治ルートごとに専用の改革を推し進める。各ルートではそれぞれ協力関係にある軍内派閥とともに、政権にいる間は独自の改革を進めることができる。比較的シンプルなディシジョンを使って、味方派閥に陸軍を「掌握」させ、改革NFをアンロックしていく。

民主同盟─改革派

ドイツ政界の既得権益層にもっとも激しく立ち向かう勢力が、やすやすと手を結ぶ訳でもないとはいえ(改革派軍人は民主主義を重視していない)、軍部保守派の打倒をめざす勢力と手を結ぶのは当然といえる。軍改革派は、ハンス・フォン・ゼークトの思想を支持するグループだ。彼は20年代に参謀総長として数々の陸軍大改革を推し進め、やがて解任されてしまった。現陸軍最高司令官クルト・フォン・ハンマーシュタイン=エクヴォルドは、ゼークト改革を支持している。ヴァルター・ラインハルトも改革派に大きな影響を与えている。現在の中心的なイデオローグはエルンスト・フォンルケンハイムエーリヒ・フォン・ボーニンオズヴァルト・ルッツで、また古参の兵卒からも広く支持を集めている。

改革派は陸軍を抜本的に改革し、規律ある職業軍に変えようとしている。さらに独立戦車師団や航空支援などの諸兵科連合戦など、最先端の機動戦ドクトリンの実現、領邦軍の解体と指揮系統の一元化、さらに非貴族出身軍人の昇進の目標を掲げている。

シュライヒャー─フロンド派

ドイツを軍隊のための国防国家に作り変えようとするシュライヒャーにとって、市民社会の完全動員を提唱する派閥と手を組むのは当然の選択だ。フロンド派(Die Fronde:反乱を意味する古語)は同じ目標を持つ2つのグループ、心理派と人民軍派のイデオローグをまとめて指す用語だ。フロンド派は極右イデオロギーの影響を受けた軍備最優先派で、ドイツ兵の「心理的」改善と、ドイツ社会をすべての抱合した民族主義的・イデオロギー的軍隊、「人民軍」の設立を目指している。ルートヴィヒ・ベックヨアヒム・フォン・シュテュルプナーゲルヴェルナー・フォン・ブロンベルク(シュライヒャーとは仲が悪いが)は中心的イデオローグで、その「祖父」とも言える存在がマックス・バウアー将軍だ。彼はルーデンドルフの側近の一人で、「ルーデンドルフ独裁」を思想面で支えた人物だ。彼らにとって、民主主義にはなんの値打ちもない。

フロンド派も他の将校のように機動戦を重視し、あらゆる手段をもって機動戦を達成しようとしている。ドイツはあらゆる武器を使って敵の前進を食い止め、戦意を喪失させ、圧倒的攻勢で敵を壊滅させなければならない。改革派ルートと同様、統一の指揮系統を持つ「国防軍」を結成しようとしているが、旧来の制度を徹底的に解体しようとまでは考えていない。

黒・白・赤連立─保守派

伝統的・貴族的価値観に由来を持つ保守派連立は、当然ドイツ軍の伝統を守ろうとする勢力と協力する。軍保守派(Altgardisten)は明確な派閥ではなく、軍部の「長老」全体を指している。前大戦の将軍や、プロイセン貴族、領邦軍の指導者などで、みな改革派グループによって特権や伝統が廃止されることを懸念している。そのため、保守派には明確な「イデオローグ」ら「指導者」は存在しない。

保守派にとって、陸軍の構造的欠陥については改革する必要はあるが、おおむね問題はない。壊れていないものを修理する必要はないと考えている。保守派のNFは一番短く、効果も弱い。

その他

もちろんこれだけではない。KRでもっとも重要な国家にふさわしく、ドイツにはKR最大級の軍事ツリーを用意した。

どの軍事改革ルートも、産業基板と装備の発展には賛同している。そのためドイツには大型の軍需ツリーが用語されている。ここで工業力を増やし、軍産複合体を育て、強力な研究ボーナスを獲得できる

ドイツ帝国空軍(Luftstreitkräfte)は、ゼークトが解任される直前、陸軍改革の集大成として1927年に独立した。空軍ツリーは3つのルートに分かれている。ヴァルター・ヴェーファーの「The Operational Air War」ルートではバランスを重視しつつ、爆撃作戦や地上支援を重視する。ヴォルフラム・フォン・リヒトホーフェンの「Shattering Swords」は従来戦を重視するルートで、近接航空支援機と戦闘機を大量に生産する。ロベルト・クナウスの「Destruction of Will」は、ドゥーエの提唱した戦略爆撃を重視する。

ドイツ帝国海軍(Kaiserliche Marine)にも、Kaiserreich世界特有の情勢に合わせた改革ルートを持っている。今や世界帝国と化したドイツには潜水艦に頼る必要はなく、膨大な領土を保護する手段を模索しなければならない。祖国党の支持者としても有名なエーリヒ・レーダーは速度と機動力を重視した世界各地での作戦展開、そして空母を中核としたタスクフォースの編成を支持している。一方、ヴォルフガンク・ヴェーゲナーはサンディカリスト艦隊、とりわけイギリスを仮想敵とみなし、北海での艦隊決戦によってイギリス本島の保守線を脅かそうと計画している。


今回はここまで。次回の「戦中・戦後」編をお楽しみに!

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