Kaserreich進捗報告140 ドイツのリワーク:戦中・戦後編
(原文はこちらかも)
戦争
前回説明した通り、ドイツはまず不況と政治闘争を片付けて、その後で第二次大戦に臨まなければならない。戦前の流れは戦時準備不足システムに反映される。これは戦争までの数年間にどれだけ国内問題を対処したか、一種の「スコア」と考えてもらえば分かりやすい。前回の進捗報告で見たように、政治ミニゲームをクリアし(言い換えれば失敗を回避する)、軍事NFや経済ディシジョンで戦争準備を進めることで、デバフの効果と数値が決まる。
しかし戦争が始まってしまったら、どうやってデバフの削減と戦時体制への移行を進めればいいのだろう?
第二次大戦が始まると、ドイツ社会は、消極的ながらも徐々に行動を始め、これで準備不足のデバフは消失する。しかし政府が何も行動しない場合、自動解除のペースはかなり遅い。ドイツが2年以上かけてようやく戦争への覚悟を決めることになるが、サンディカリストやロシアはそれまで待ってくれないだろう。そこで戦時NFツリーを取得し、急いでデバフを外すことができる。
このツリーでは準備不足デバフの解除ペースを早め、さらに大きな戦時バフも獲得できる。
戦時中は、戦前までの政治対立がストップする。SPDは連立の忠誠値や行動要求、ブラックマンデー・カードゲームに悩まされずに済む。まだ解決できない場合はディシジョン欄が閉じ、残ったデバフは段階的に解消される。ほとんどの政治対立はこのように処理されるが、シュライヒャー政権と黒白赤連立の民主派の抵抗は例外だ。第一次大戦の「場内平和」の失敗を踏まえ、サンディカリストやSPDのニューリーダーたちは、たとえ戦争中でも政府に圧力をかけ続けるだろう。
そのため、シュライヒャーと黒白赤連立には対抗策を用意した。
嵐のあとに
第二次世界大戦のヨーロッパ戦線が終結すると、「Pax Germanica」のNFがアンロックされる。ヨーロッパ大陸の覇権を賭けた戦いの世紀がついに終わる。仇敵を二度も下し(フランスは三度目)、ドイツ帝国はもはや疑う余地のない覇権国家へと登り詰める。残る潜在的敵国(オーストリアなりイタリア)も、かつてのライバルと比べれば遥かに格下だ。
戦後ツリーは「Construct Victory Arches」から、3つのルートそれぞれの戦後コンテンツNFに分岐する。
ツリーの共通部分は、第二次大戦の教訓に関するコンテンツだ。平時に移行し、新たな技術やドクトリンを学び、戦後の経済改革を進める。だがそれ以外にも、3つの政治ルート独自の戦後コンテンツを盛り込んだNFが存在する。
民主同盟ルートの戦後コンテンツは、帝国憲法の改正から始まる。
戦前に進めた憲法改正草案の効果は、ここで正式に決まる。そして選挙も再開される。民主同盟ルートが続けば、保守党や祖国党などの権威的保守派は大きく弱体化する。祖国党に至っては完全に崩壊し、保守派野党の主力は中央党に移る。1936年選挙での敗北で、中央党内部に激震が走る。彼らはとうとう現実を認め、存続のために「塔を出る」決心を固める。戦後、中央党は全キリスト教徒を包括する保守政党、キリスト教人民党へと改編し、その後の選挙でSPDの対抗馬になる。
戦後は選挙で社会民主主義か社会保守主義に変わり、それぞれ独自のNFとイベントが用意されている。
シュライヒャールートでも、戦後コンテンツは憲法改正から始まる。
このルートでは領邦諸国の自治に終止符を打ち、中央政府の権限を強化する。国防軍も独立性を強め、「社会の導き手」としての役割を担う。シュライヒャーの目指した強力なドイツ帝国がついに完成する。しかし本人がその光景を見ることは叶わないだろう。シュライヒャーについての記事を思い出して欲しい。彼は難病を抱えている。オスマン帝国のケマルルートのように、第二次大戦に勝利した直後、シュライヒャーは劇的な退陣を迎え、その後亡くなる。シュライヒャーの理想を実現する役目は、彼が選んだ後継者たちに託された。シュライヒャー最側近の軍人フェルディナント・フォン・ブレドウ、シュライヒャー政権で要職を占め、人望も厚い非政党人の官僚カール・フリードリヒ・ゲルデラー、あるいは副宰相のティーロ・フォン・ヴィルモフスキーかアウグスト・ヴィニックが後継者候補となる。
後継者次第で、「シュライヒャー独裁」は父権的専制主義に変わるか、あるいは権威的民主主義のままになる。しかしどちらの改革も基本的には同じだ。左派的な外観を兼ね備えた、強権的な半全体主義体制だ。
黒白赤連立ルートの戦後コンテンツは、保守党と祖国党の合併から始まる。
長年空想とされてきた、ドイツ保守右翼の合流がついに実現する。どちらの政党が連立を支配したかによって、ドイツ国家人民同盟(DNVB)は権威的民主主義か、父権的専制主義の政党(自称は無党派だが)になる。NFはルートごとに異なる。権威的・保守的な民主制度を形成するか、それとも「有機的」制度への断固とした改革を目指す。
そして3つのルートとは別に、シュライヒャーと黒白赤連立には失敗した際の独自コンテンツも用意した。皇帝は超党派の権威的民主主義政権を発足させ、大戦終結後に民主制を回復することもできる。憲法改正が実現しないため、SPDは与党になるチャンスを失い(さらに党そのものも衰退する)、実質的に1936年以前の状態に立ち返る。その後の選挙では社会自由主義か社会保守主義に変わる。
ドイツと世界
第二次大戦が終わっても、休んでいる暇はない。パックス・ゲルマニカを打ち立てるために、やるべきことは沢山ある。
戦後ドイツ喫緊の課題が、占領したフランスとイギリスの徹底的改革だ。サンディカリスムの心臓たる二大国家では、多くの国民が社会主義を支持しており、ドイツ占領軍をひどく敵対視している。ドイツは英仏の幅広い領域で脱サンディカリスム化を推し進め、文民政府を回復させなければならない。そのためには「Woe to the Vanquished」から始まるNFツリーを進めよう。
このツリーでは英仏傀儡政権のステートの迎合度を上げるか(両国とも本土は非中核州された状態で発足する)、あるいは二度と立ち直れないように絞り取ることができる。さらにこのツリーを使って、西ヨーロッパの国境を書き換えてもいい。スカパ・フローを併合して北海における海軍基地に変え、イギリスの領有権を放棄させることができる。また史実のザールラントのように、資源豊富で工業の進んだリール地方をフランドル・ワロンの占領地にすることもできる。
そして最後に紹介するのが「Deutsches Weltreich」から始まる戦後外交ツリーで、ここからさまざま戦争・拡張オプションが解禁される。
ヨーロッパに残るサンディカリスト国家に侵攻し、ドイツのイデオロギー・グループに沿わない東欧諸国の体制を転覆させ、ルーマニアに侵攻し、スエズを請求し、東アジアに戻って日本に挑むことができる。またゲーム中のタイムスパンでは実現はできないが、将来的な植民地政策の方針を決めることができる。漸進的な脱植民地化を目指すべきか、それともあくまで植民地を保持するべきだろうか?
戦後はこのツリーを使って多くのオプションやチャンスを手に入れ、世界を望むままに書き換えよう。
最後に
今回のドイツのリワーク作業の始まりは、今からおよそ2年前のことだ。それまで進んでいたリワークについてのドキュメントに手を付け、中身を改善しようとしたのがきっかけだ(結局全部やり直しになったが)。その後Lehmannmo(訳注:リワークの設定担当。この記事を書いているAugenis氏はコンテンツ制作とコーディングを担当)にも参加してもらった。
これまでのゲーム内容報告と設定解説で、リワーク後のコンテンツについておおむね紹介できた。それでは最後に、ゲーム開始時のドイツのNFツリーの全体像をお見せしよう。
さらにリワーク中、アーティスト・チームは作業を重ねて数々のポートレイトを作り直し、新たな彩色も施してくれた。ここではその一部もお披露目しよう!
最初に説明したように、今回はKaiserreichの国レベルのリワークにおいて、データ的には最大級の規模になっている。そしてMODに登場する他の国々も微調整が施されている。その中身については、アップデート後のゲームで確かめてほしい。
それではまた来週!
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