ファッションは擬態

ついさっきハサミで親指を切ってしまった。右の親指だから絆創膏を貼るとスマホもスクロールできないし指紋認証もできない。ゲームするのも大変だ。まさか親指を負傷するだけでこんなに不便とは。もしかしたら現代で一番大事なのは指かもしれない。
最近、とても寒くなりいよいよ冬本番が来る。そのために服をまた買わなければならない。インドアの自分にとっては季節の変わり目が一番服に困る。1年ぶりに出した服はシワが目立つし少し色落ち黄ばみが目立つし結局新しいのを買おうとなってしまう。
個人的には服は攻めなくても良い。一般人に擬態できれば良いくらいのクオリティで良いのだ。だから値段は安い方が良い。となると行く先は自然とユニクロ大明神になってしまう。
そうして気づけば大体ユニクロを買ってしまっていた。安くて普通に良い商品が多いので庶民の自分には本当にありがたい。しかし、ここで人間の欲が出た。ユニクロ以外の服を着てみたいと。人間というのはなんて傲慢なのだろうか。外に出る時に一般人に擬態できれば良いと思っていたのに、服なんて着れれば良いから値段は安い方が良いと言っていたのに、一通り揃うと違うものが欲しくなり、良い商品が欲しくなるのだ。
そこで今まで被ったことのない帽子に手を出すことにした。帽子なんて小学生の赤白帽と中学生の部活で熱中症対策に被った以来である。勿論今も1着も持っていない。だからこそ、可能性が広がると思ってチョイスした部分もある。ウルトラマンを夢見て赤白半分ずつで被っていた自分が、大人になってまさか服のコーデとして帽子を買うとは思ってもみなかった。
さて、帽子を買ったのは良いがあと一つクリアしなければならない大きな壁がある。それは、友人と会う時だ。普段帽子なんて被らない自分が、ある日突然帽子を着用してきたときの反応が怖い。特に似合わないと言われてしまったらこの世の終わりである。あと、うわっ、こいつキメてきてるな…と思われるのも嫌だ。また自分も自分でかなり帽子に意識してしまうのでぎこちなくなるだろう。そういった壁を乗り換えて初めて帽子をかぶったファッションができるのだと思う。
とは言うものの、基本はやはり良くも悪くも目立たない服装が自分の目指すところだ。帽子も色を黒にして形も普通のものを選んだ。これだけでも自分にとっては大きな進歩だが、最近はますますファッショナブルになってきてオシャレが当たり前になってきてしまった。つまり外に出かけるハードルがかなり上がってきていると思う。そんな中でいかにオタクにみられず一般人として認められるか、いかに世界に溶け込めるかというのが自分にとっての喫緊の課題だと思う。帽子のように少し滲み出てきたオシャレの心にあまり惑わされず、身の丈にあったファッションをしていきたい。

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