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口蹄疫から今日で10年


2010年4月20日は、宮崎県で口蹄疫が確認された日です。

写真にある『畜魂慰霊碑』は、口蹄疫で最大の被害を受けました宮崎県川南町にあります。

私たち県民でできることはないか。


「牛や豚のために使うバスタオルが足りません」


この川南町の農家さんからのツイートを元にして、全国からバスタオル、タオル類を集める『バスタオルプロジェクト』が始まりました。

最終的には、全国から8万6000枚以上のバスタオルが集まりました。

全国の皆さん、ありがとうございました。

このバスタオルプロジェクトの活動で、忘れることができない出来事があります。

口蹄疫の被害を受けていない牛や豚を含め、全ての殺処分が決まった日の夜の出来事です。

川南町農村環境改善センターが、口蹄疫対策の拠点でした。

全国から来られ獣医師さん、自衛隊員さん、農林水産省のスタッフは、このセンターのロビーの奥にある屋内運動施設(体育館みたいなところ)に寝泊まりしていました。

私たちボランティアはロビーの一画で、作業後のシャワーを浴びる獣医師さん、自衛隊員さん、農林水産省のスタッフさんに、バスタオルを手渡していました。

この夜も、晩飯の弁当を食べ、シャワーを浴びてからの唯一の楽しみは、バスタオルとと共に送られてきた寄せ書き、激励の手紙、保育園児の絵などを眺めたり、読んだりすることでした。

この日、新しく届いた手紙、小さい子どもからの絵を張り出したら、それらを眺めていた方々から、すすり泣きが・・・。


「何の影響もない牛や豚をなんで殺さなければならないのか」

「私たち獣医師は、命を守るためにやってきたのに、なんで殺処分しなければならないんだ」

という声も聞こえてきました。

そう、この日に全ての牛、豚の殺処分が決まったのです。

私は殺処分の現場には立ち会ってはいないのですが、毎日、この拠点からバスに乗って現場へ出かけ、夕方、疲れ果てて戻ってくる皆さんの姿を目にしていました。


なかには、晩飯の弁当も食べず、シャワーにも入らず、ロビー外の喫煙所でぼーっとしてタバコを吸ったり、なかには放心状態に近い人もいました。


殺処分される時の牛や豚の鳴き声が耳から離れずに、ずーっと聞こえてくるとのこと。

その話を聞いてだけでも、現場の壮絶さを想像することができました。

そういった皆さんを励ますために張り出した寄せ書きや絵も、この殺処分し決まった夜だけは、励ましにも何にもなりませんでした。






あれから10年。

殺処分のために来られた獣医師さん、自衛隊員さん、農林水産省のスタッフの皆さんはお元気でしょうか?

その節は、お疲れさまでした。そして、ありがとうございました。


そして、「自分ができること」を考えて集まった900人を超えるボランティアの皆さん、今、何をされていますか?

その節は、ありがとうございました。おかげさまで、バスタオルが必要なところへお届けすることができました。

そして、全国からタオル、バスタオルを届けてくださった皆様、まことにありがとうございました。皆様のご支援には感謝しかございません。

また、多くの芸能人の皆様からもご支援をいただき、ありがとうございました。

私たちは、この口蹄疫で起きた全てのことを、次の世代に伝えていかなければなりません。


命の大切さを伝えていかなければなりません。


現在、新型コロナウイルスの感染拡大が収まりません。

このような状況において、今、自分にできる最大のことをやっていきましょう。


ご覧いただきありがとうございます。



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