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大学受験準備ー日米の違い

アメリカの大学を受けるにあたって、受験準備という言葉が実はピンと来ない。日本の大学を受けるように一斉に共通試験を受けたり、各大学の入試試験を受けるような体制ではないからかもしれない。アメリカの高校生たちは実に広範囲の大学入学のためのチャンスがある。日本のように受験に失敗して、翌年まで浪人というケースは稀である。一見羨ましく感じるかもしれない。しかし、実際に我が娘がその準備段階の真っ最中にいるとアメリカ方式は非常に手ごわい。日本方式の方が悪くないのかも、と思い始めた。その理由と広範囲のチャンスとは、について説明をしたいと思う。

「ドラゴン桜」を見て、日本の大学受験は巻き返しが可能なんだな、ということを思い出した。仮に高校2年までの内申書がかなり低くても共通試験の点数と当日の入試の点数が合格圏内に達していれば合格の可能性は誰にでもある。しかしアメリカの大学受験は違う。一番大切なのは内申書。しかも難しい科目をいくつ取っているかが大切。基礎レベルの科目で5段階中の5よりも難しいレベルの科目で4のほうが高く評価される。また日本同様、部活活動も大事だ。ただ参加しているだけではなく、いかにチームに貢献したかが評価される。そして個人エッセー。数多くの志願者から自分を選出してもらうための利点は何か、自分はどういう人間なのか、という個人エッセーを高3になる前の夏休み中に仕上げる必要がある(アメリカの学校は9月が新学期)。そして共通試験にあたるSAT(Standalized Assesment Test)だが、コロナ以降、SAT提出はオプションに変わった。より内申書の中身が重要になってきた、ということであろう。

先に述べたように日本式の受験方法もアリだな、と思うのは最後の最後で巻き返しが効くかもしれないから。アメリカ方式だと、土壇場での巻き返しは非常に難しい。とは言え、日本のような受験を目的とした浪人生活を送る生徒は少ない。意識的に高校卒業後、”ギャップ・イヤ”(gap year)を取って自分を見つめなおしたり、海外留学をしたり、働いてお金を貯め学費にあてる生徒もいるようだ。

土壇場での巻き返しが難しい代わりに入学方法が一つだけではないがのは注目したい。まず受ける大学の数だが平均14-15校。滑り止め、合格圏内校、希望(憧れ)校の3レベルにそれぞれ願書を提出。通常の申請方法であると3月までに結果が知らされ、その中から選ぶことになる。

もし絶対的な希望校があれば、その意思を現すべく ”早期決断”方法(EarlyDecision)を選択することが出来る。通常申請より合格率からすると多少有利になる。というのも合格通知を受けた時点で即答をしなくてはならず、他校からの合否を知ることをあきらめなくてはならない。アイビーリーグや有名な学校を受ける場合はこの方法を選択する人も多い。アメリカの私大は年間で700万円前後はかかるのでEDで入学を決意するということはそれなりの資金も必要である、ということだ。世帯の収入によっては奨学金(返済不要)やローンを組むことも出来るが、それにしても4年間で家一軒建ってしまうような値段は尋常ではないと思ってしまう。

公立大学の場合でも年間200万円前後はかかるから驚きだ。有名私大に優秀な生徒が流れてしまうのを留めるために”フル・ライド”と言って授業料免除制度で優秀生徒を魅了する。知り合いのお子さんでもアイビーリーグに受かったが、結局授業料免除での推薦をもらったので地元の州立大学を選択した。このような推薦をもらえる生徒は全体受験生のうちの3%ほどらしい。大学卒業段階で借金(学生ローン)があるのとないのでは、新社会人生活を始めるのに大きな影響となるのは確かだ。

また地元の短大(コミュニティカレッジ)で基本的な科目を履修してから4年制大学に転入する方法もアリだ。4年制大学は新入生のほとんどが寮生活となるが、地元の短大は実家から通う場合が多い。18歳で親元を離れた生活を満喫するものもいれば、最初のうちはホームシックになるものもいる。近くの学校で慣れてから遠くの大学に編入するのは賢明な方法かもしれない。 テラスハウスのハワイ編に出演していたシェリー(不動産業者)も確か、ハワイの高校卒業後、カリフォルニアの短大を経て州立大学へ編入した、と言っていた。アメリカの大学は編入生枠もちゃんと用意している。

親や祖父母が卒業した学校に入ることを”レガシー”と呼ぶらしい。日本の国公立大学に入ることがプレッシャーであるように、レガシーが期待される場合は、かなりのプレッシャーになると推測する。

いかに高校生活で勉学に勤しみ、部活動やコミュニティーサービス、アルバイトなど学業以外にも精をだしたか。それぞれをバランスよく成し遂げられたものが希望校に合格できるようだ。有名私大となると10万以上の願書を受けても驚きではないらしい。その中で受かるというのは実力も運も全てを味方につける必要があるだろう。もちろんどこへ行くかではなく、何を勉強するかが大切だが、どのような環境で学ぶかも重要であることは否めない。






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