参議院 法務委員会 10号 2016年04月26日

○小川敏夫君 今行われているヘイトスピーチ、ヘイトデモ、これを防止することに寄与するというお話でしたけど、どういうふうに寄与するのか全く具体性がない話でして、この法案ができても、施行されても、ヘイトデモ、何一つ変わらずに行われますよ。行われたとして、それを何もこの法律を根拠に規制することができないと。
 ただ、提案者がおっしゃる趣旨は、この許されないという精神が様々なところで、行政なりなんなりで反映されるでありましょうから、そうした精神が広まればいいですねぐらいの話であって、ヘイトスピーチをやめようと思っていない人がヘイトスピーチをやる、ヘイトデモをやろうとしているわけですから、法律で規制されなければ構わないといってやっているわけですから、そういう人たちに対して何の法律効果も及ぼさないですね。
 ですから、寄与するとか、風が吹けばおけ屋がもうかるみたいな話じゃなくて、この法律の効果として私は聞いているわけです。ヘイトデモが申請されたらデモを不許可にする根拠になり得るかどうか、あるいはヘイトスピーチが行われている、それを規制するということの根拠になり得るかどうか、その法律効果、これについてもう一言でお答えください。私の質問について何かえらく長々と答弁するんで、私の質問について一言で端的にお答えください
○西田昌司君 なかなか一言で答えられるような質問をされていないんですね。
 それで、先ほど私は、民進党が出されているのと変わらないというのは、その方向性の話なんですね。それで、ちょっと思い出していただきたいんですが、平成二十七年の八月六日、参議院法務委員会、この本委員会で、これは仁比議員から質問があって、小川議員がこういうふうに答えられているんですよね。
 してはならないという差別的行為をしたということがあっても、この法律で、つまり皆さん方が出された法律で、直ちに刑罰を科するという構造にはなっておりません。また、刑罰を科さないというだけでなくて、この法律をもって直ちに何らかのそうした差別的行為が行われたことに対する行政的な措置がなされるという意味の規制があるという趣旨でもございません。これは、ですから、具体的な処分がなされるというのではなくて、あくまでも、してはならないという理念を定めて、その理念に基づいて、これからの国の施策あるいはこれからの立法や条例の制定におきまして、様々なそうした行政の分野、立法の分野におきまして、この理念を生かした形で行ってほしい、こういう意味で理念を定めた理念法でございますと答弁をされているのは小川委員であります。まさに我々が言っているのも同じことを言っているわけです。
 そして、なぜここで、それじゃ禁止じゃなくて理念にしたかというと、もし禁止規定を置きましたときには、しっかりとした定義をしなければならない、違法それから合法の判断をしなければならない、その外れるところの問題、それが出てきますし、また、まさに違法行為があった場合にはそれを排除しないと、違法と国が定めていることを放置するのかという話が次出てまいりますね。ですから、そういう様々な立法上の問題が出てくることを踏まえて我々は理念法にしていると。
 そして、この効果はあるのかないのかということを一言でおっしゃれというふうにおっしゃいましたけれども、先ほど申しましたように、理念法でも行政の判断に、そこに作用して防止ができるという、そういう趣旨の発言を小川委員がおっしゃったように、我々もこの理念法で一つ一つ対応していく、そのことを申し上げたいと思います。

参議院 法務委員会 10号 2016年04月26日

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