暴言:「アイヌもういない」 札幌市議、ネットで自説 協会「あまりに不勉強」毎日新聞2014年8月17日

 札幌市議会の最大会派「自民党・市民会議」に所属する金子快之(やすゆき)市議(43)=同市東区選出=がインターネットの短文投稿サイト「ツイッター」に今月11日、「アイヌ民族なんて、いまはもういない」などと書き込んでいたことが分かった。アイヌ民族でつくる団体からは「不見識だ」と批判の声が上がっている。

 金子市議はツイッターに「せいぜいアイヌ系日本人が良いところ」「利権を行使しまくっているこの不合理。納税者に説明できません」などとも投稿。今年3月には「同じ日本人に無理やり色を付けて、不透明な特権を与えることが一番の問題ではないか」とも書き込んでいた。

 アイヌ民族をめぐっては、2007年の国連による「先住民族の権利宣言」を受け、国会が08年6月にアイヌを先住民族とする決議を全会一致で採択した。決議では「日本が近代化する過程でアイヌの人々が差別され、貧窮を余儀なくされた」として、アイヌの人々を先住民族と認め、総合的な施策を取るよう政府に求めた。

 今年6月には、政府がアイヌ文化の復興を促進するため北海道白老町に整備する「民族共生の象徴となる空間」の運営の基本方針を閣議決定。札幌市には、アイヌ民族を対象に低金利で住宅新築資金を貸し付ける制度がある。

 金子市議は毎日新聞の取材に「同じ日本人を区別し出自によって公的補助をするやり方は間違っていると批判したかった。誤解を与えるような表現があったかもしれない」と説明した。

 北海道アイヌ協会の阿部一司副理事長は「いつアイヌがいなくなったのか教えてほしい。国も先住民族と認め、復権に向けて歩んでいるなかで、議員としてあまりにも不勉強で歴史を踏みにじる発言だ。国際的にも恥ずかしい」と反発している。

 金子市議は道内のテレビ局勤務などを経て、11年にみんなの党公認で初当選し、現在1期目。13年11月に無所属となり、今年5月から「自民党・市民会議」に所属している。【山下智恵】

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