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夕日の後の夜に。(B.O.L.Tの話)

◼️はじめに
スタプラ後輩組では私はB.O.L.Tさんが最近好きで、
ももクロ後輩枠や浪江で高井千帆さんと内藤るなさんはよく出てくるし、フェスなどでチラ見する機会も多いんじゃないかなと。
一見の印象だと『ロジャポ年上組と若い子達のグループ』『盛り上げ曲が多そう』『土下座の曲が楽しそう』くらいが多いのかな?と思うんですが、
楽曲も人柄もよく、楽しいだけじゃなく深みもあるので、ぜひ興味を持ったら少し音源やライブなども深掘りしてみて欲しいなと思い、少し書いてみます。

ここでは特に私が惹かれた、楽しいだけに留まらない、エモーショナルな楽曲群について綴りたく思います。

◼️『軸』axis

1stアルバムのリード曲『axis』。私が惹かれたきっかけがこの楽曲で、まだ好きになる前の頃にも、この曲が素晴らしいという記事をamebloで書きました。

B.O.L.Tさんの新曲axisがとてもいい曲だった話。

若者の焦燥感。
思春期特有の、得体の知れない、漠然とした不安感。

それが、居てもたってもいられず走り出しているうちに、段々すべてがポジティブに感じられていって、
最後、この地球すら自分が回しているんだと思えた。

そんな、謎の高揚感と万能感。
心の変遷が3分にギュッと濃縮されて表現されていて、その鮮やかさと青春感に感動したのでした。

B.O.L.Tに最初に注目したのはその時で。

1stアルバム『POP』も、『1日の時間の流れを楽曲順に表現する』というコンセプトのもと、丁寧に作られた傑作で、こうしたコンセプト的な拘りや、バンド生音を軸にした楽曲群も好みで、一気に好きになりました。
(たぶんキングレコードというか、EVIL LINEのこういう部分が個人的な好みに刺さるのかな)

その後にリリースされたシングルや2ndアルバムのリード曲は割とポップでキャッチーな曲が多く、前述の通り、対外的なグループのイメージはこの印象が強いんじゃないかなと。

(この感じ)

この辺は、若者が悩んでいた時期を越えて、前を向けたとも取れるのかなと思い、
axisの路線は好きだけど、単純に明るく楽しく盛り上がれるし、グループコンセプトとしてそっちに進むのならそれも良いのかな、などと考えていました。

そんな時、ハッとさせられたのが、2周年ライブ当日にリリースされた楽曲『夕日の後の夜に』と、その日のMCでの高井千帆さんの言葉でした。

◼️夕日の後の夜に

https://youtu.be/TpMTbHDojwY

『夕日の後の夜に』

『走り続けて ずっと苦しくても 
 この足で この心で 明日を作ってゆく 
 今が大事な一歩』

アンコールのラスト、この歌詞が、
『今の私の心境そのもの』と語られて。

『夕日の後の夜』という、情景としてはaxisとちょうど同じような時間帯のはずで、
でも、この楽曲では、もがいている若者が、最後まで完全にポジティブにはなりきれず、
なんとか自分を奮い立たせて、悲壮なまでの覚悟をもって、明日も進むんだ、と歌っている。

そう。
axisでは、がむしゃらに走ってたらなんだかテンションが上がってきて、前向きな雰囲気で終わるけど、
それは、あくまでその瞬間のもので、きっと根本的な解決はしていない。

だから、axisの結びも『果てのない夜空の下で 進む僕ら今夜を越えていくんだ』で、
まさに『今夜』しか越えていない。
その裏には、悩みを抱えたまま、それを逃げずに直視して、それでも進むと決めた若者がいる。

『夕日の後の夜に』がスポットを当てているのはまさにそこで。そして、それこそが、実際の今の心情と重なると語った高井さん。

この事実に、楽観的に考えていた頭をぶん殴られたような衝撃を受けました。

そうだ、高井さんも内藤さんも、10年近く活動してきて、周りの風景も、同じく活動してきた仲間達も変わっていく中で、何も思わないはずがない。

割とマイペースで、いつも明るく、ニコニコ笑っていることが多いように感じる彼女らだけど、
数々の試練、別れや挫折、解散や再結成なども経て、
それでも続けようと。前に進もうと。
そう決めて、ここにいる。

その、内に秘めた意志の強さ、熱さに、改めて胸を撃たれた思いでした。

◼️『POP』から『Attitude』へ

その後、リリースされた2ndアルバム『Attitude』も、比較的ポップでキャッチーな曲が多めになりましたが、『夕日の後の夜に』はアルバム前日譚と位置づけられ、そこには収録されず。

『Attitude』には『POPよりもさらに能動的・自発的に』という明確なコンセプトがあり、(※)
おそらく、それに則って作りこんでいるから、あえてここには収録はしなかった。
(このあたり、ももクロでGOUNNがアマランサス・白金に収録されなかったことにも似た感じかなと)

でも、あのaxisの若者がこの世界線にたどり着く前に、その裏に、確実にこんな物語があったんだよ、という。

そんなメッセージを込めた楽曲を、シングルともアルバム曲とも独立に、ポッと、2周年記念日の夜に唐突にリリースする。

そんな制作側のこだわりや愛情もとても好きです。

(※なお、『Attitude』の雰囲気が比較的明るく楽しく、前向きになったのは、発足まもなく、とにかくまず良い作品を作ろう!という感だったPOPの時期から、2ndに至ってメンバーの人柄、明るく優しい平和な空気が作品作りにも自然に反映されてそうなったように感じて、その流れもとても好きです)

やはり、B.O.L.Tの根底に流れるラインの1つに、この『焦燥感に駆られる若者』の物語は確実にあり、
それがあるからこそ、キャッチーな曲たちの中にもまた深みが生まれて、相乗効果でとても味わい深くなってるのかな、なんて個人的には思っています。


◼️続く物語

実は、おそらく意図的に、こうした路線の楽曲は棲み分けられていて、シングルのカップリング曲は、どれもA面とは違う雰囲気の、エモーショナルな楽曲群になっていたりします。

淡い空

OUR COLOR

Reborn

どれも切ない感情を熱く歌い上げている名曲で、ライブでも要所で演奏され、大変盛り上がります。

特に最新の『Reborn』は、
冒頭『あの日描いた夢の色を塗り替えていくから』、
末尾『描いていた夢の色は、もう塗り終えたから』と、

『いつか来る旅の終わり』までが想起されていて、この『焦燥感に駆られた若者の物語』の、現状の最新の到達地点という感じで大変名曲で必聴です。

(インタビューで内藤さんが『塗り終えた』とはまだ言えない、いつかやり切った時にさらに素敵に歌えるんじゃないか、的なことも語っていて更にエモです)https://natalie.mu/music/pp/bolt05/page/2

短時間のフェス等では元気な面の方が印象に残りやすいかもですが、単独ライブ等ではこの両方の世界が重奏的に楽しめたりするので、
なんとなく元気な子達だな、って思っていた人も、axis等でエモーショナルな曲が気になった人にも、ぜひ少し音源やライブ映像に触れてみて欲しいなと。

とても見応えあるグループだなと感じていて、今後も楽しみにしています。

■おわりに

以上、長々と恐縮ですが、
『夕日の後の夜に』を例に、私がB.O.L.Tの魅力の一旦として(勝手に)惹かれている、『焦燥感に駆られた若者の物語』について綴ってみました。

こうした深みを踏まえながらも、B.O.L.Tが描き出している空気感の基本は、広く伝わってる通り、
『明るく前向きな優しい子達が、楽しく幸せな空間を作っている』という感じで、とても平和で爽やかで青春で、何だかそこに物凄くスターダストを感じています。

8/10には初のEPもリリースされるということで、
このB.O.L.Tの明るさとエモさの両輪がまた、どういった形で発揮されていくのか、これからも楽しみです。

春の一大事やスタプラ関連イベントなど、目にする機会は多いのかなと思われ、もしも気になったらぜひ足を止めてみて欲しいなと。

あと内藤るなさん、浪江やももクロ関連では面白い後輩枠っぽい立ち位置ですが、こちらではエモーショナルなパートも多くダンスも煽りもキレてて、楽しいしカッコいいし、優しいお姉さんという感じだったりします。

ぜひ一見を。


<余談>

こんな感じで思い入れがあるので、
初ツアー最終日の1部が、Attitudeの曲順に披露しながらPOPの主要曲を織り込み、オーラス『夕日の後の夜に』という構成だったのは、2ndアルバムまでの世界の集大成という感じで大好きでしたし、
先日のPOPリバイバル公演のアンコール曲がやはり『夕日の後の夜に』だったのもまた感動でした。

(前者は円盤化されず惜しんでいたところ、なんと映像特典という形で2曲だけ抜粋収録されることになり、個人的に物凄く湧きました(全曲収録に拘ったのかなとも思いますが))

この辺のライブの構成なんかも、個人的な好みにすごく刺さってたりします。

とにかく、B.O.L.Tいいですよ、とは書いておきたく。この先もずっと楽しみです。

続けていくことを選んだ人達に、幸せな未来が待っていてほしいなとは思うのです、本当に。

https://natalie.mu/music/news/473398

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