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【PIT】ブレーク間近のPhillip Evans

皆さんはPhillip Evansという選手を知っているでしょうか?おそらくPittsburgh Pirates(PIT)ファン以外で知っている方はかなり少ないと思います。

「PITで一番良い野手を挙げて下さい」と言われれば、多くの人がKe'Bryan Hayesを挙げ、次点はAdam FrazierBryan Reynoldsあたりになるはず。

ただ、総合指標のWARを見ると野手で…というより投手も含め、PITの選手で最も貢献度が高いのがこのEvansなんです。fWARは0.6・rWARは1.0を記録。

MLBデビューを果たしてから昨季までの4シーズンで通算45試合に留まっていた(現在)28歳ですから、知らなくても無理はありません。

しかし、このまま行けばもっと騒がれる存在になるはず。その前に是非とも彼を欲しいという事で、このnoteで初となる選手1人をピックアップする記事を書きましたよ。

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【プロフィール】

経歴を簡単に紹介すると、彼は11年ドラフトの15巡目指名でNYMに入団。その後もランキング上位に選出される様なプロスペクトではありませんでした。

17-18年にMLBで合計34試合に出場したものの、打撃はAVG.241/0HR/OPS.606と平凡な成績に終わっています。

19年はCHCへ移籍するもシーズン通して3Aで過ごしており、翌20年にPITが獲得した時も当然の様にマイナー契約。

同年にマイナー契約を結んだ選手なら、MLBで実績のあるDerek Hollandや(今季から日本ハム入りの)Robbie Erlinらの方がずっと注目されていました。

ただ、STが始まると首脳陣からの評価がかなり高かったんですよね。実戦18試合でAVG.333/2HR/OPS1.042と結果を残した事もあり開幕ロスター入り。

順調に結果を残していましたが、出場11試合目で守備中に他の野手と衝突…脳震盪&顎の骨折という大怪我でそのままシーズン閉幕となってしまいました。


【好調な打撃と最大の特徴】

2020年
G 11┃PA 45┃AVG .359┃HR 1┃OBP .444┃SLG .487
2021年
G 12┃PA 50┃AVG .326┃HR 3┃OBP .420┃SLG .581
PIT通算
G 33┃PA 95┃AVG .341┃HR 4┃OBP .432┃SLG .537

まだ移籍して合計33試合・100打席足らずですのでサンプル数が少ないのは承知の上ですが、非常に良い打撃を続けています。

まず特筆すべきはExit Velocity…つまりは打球速度です。今季はここまで平均92.8mphを計測しておりMLBの打者で上位14%に入っています。

彼はゴロ率が63.6%と非常に高いので長打がそこまで出てはいないものの、痛烈な打球が内野手の間を抜けていくので高い打率を残せています。

すぐには難しいでしょうが、うまくFBR(フライボール・レボリューション)を取り入れて長打力も磨いて欲しいところ。これは今後の課題ですね。


【見かけによらず?】

ガッチリ体型のメキシコ系アメリカ人で打球速度が速いと聞くと、何となくフリースインガータイプの粗い打者を想像するのではないでしょうか?

彼はそんなイメージとは真逆。BB%はMLB平均(9.3%)に対して8.0%とそれなりですが、K%はリーグ平均(24.4%)に対し14.0%しかありません。

O-Swing%が24.5%(平均30.4%)とボール球に手を出しておらず、尚且つZ-Contact%が91.8%(平均83.5%)とストライクゾーンはほぼ空振りをしていません。

つまり彼の打球速度が速い要因は徹底した"好球必打"と言えるかと。こうやって書くのは簡単ですが、それをMLBの投手達を相手に実践出来ているのが素晴らしいよすよね。

この辺りの数字があるので一時の好調で終わるのではなく、打席数が増えてもある程度の成績は残せるのではないかと予想しています。


【汎用性の高さ】

今季はKe'Bryan Hayesが離脱している影響で本職の3B中心になっていますが、それでも既に合計4ポジションでスタメン起用されているんですね。

Colin Moranの欠場時は1BBryan Reynoldsの欠場時はLFGregory Polancoの欠場時はRFという様に、内外野両翼をケア出来るのが嬉しいです。

SprintSpeedがMLBで上位24%に入っている様に意外と走れて、60.0回と最も多く守っている3BではDRS+3を記録しています。

それに加えて、(マイナー含め)14-19年には6シーズン連続で2Bにも就いていました。バックアップ程度なら充分にこなせるでしょう。

打撃型ユーティリティとして重宝しそうです。現地のファンサイトでは最近、11-18年に活躍したJosh Harrison(現WSH)と比較していました。



【これからの起用法】

Hayesが近日中に復帰する予定ですので、3Bでのスタメンは彼の休養時に限られますが…便利屋としてベンチに座らせておくという選択肢は無いですよね。

最も収まりが良いのはReynoldsを過去2シーズンでDRS+3とそれなりに守れるCFへ回して、彼をLFとして起用する事でしょう。

次回の振り返り企画で詳しく書きますが、CFは現在チームで最もネックになっているポジションですしね。

あとは1BのMoranとRFのPolancoがどちらも左打者で、左投手にあまり強くない(ただ前者は今季そこまで悪くない)のでツープラトン的な起用も考えられそう。

どちらにせよMoranはこの調子でいけば今夏のTDLでトレード出来そうですし、Polancoは今季が契約最終年(オプションは破棄が確実)なので直にポジションは空くでしょう。

Evansは遅咲きなので彼らと同世代ですが、調停権を得るのが22年オフ・FAになるのが25年オフとまだまだ格安で保有出来ますから。


そんな訳で「PITのユーティリティ・Phillip Evans」に是非とも注目して下さい、きっと損はしないはずです。

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