【PIT】Mitch Kellerとエクステンション
Pittsburgh Pirates(PIT)が昨季の開幕投手を務め球宴にも選出された生え抜きエースのMitch Kellerと5yrs/$77.0Mでエクステンションに合意に達しました。
本人やチーム編成にとって大きな意味を持つのはもちろんですが、スモールマーケットチームであるPITにとっては決して少なくない金額ですし、チーム史に残るものとなりました。
Kellerが契約するまでPITの歴代大型契約TOP10がこちら。 ※どれもオプションや出来高は含まないベースサラリーです。
総額$77.0Mは昨年のReynoldsに次いでチーム歴代2位であり、投手の歴代最高額を10年振りに更新。そしてAAV $15.4Mは文句無しでチーム歴代最高となります。
Kellerはこのオフに2回目の調停を回避して$5.4Mで契約を結んでいます。今回のエクステンションが無ければ25年オフFAですから、今年中のトレード放出不可避でした。
昨春にも話し合いが行われたといいますが、この時はKeller側が拒否。今オフは噂こそあったものの、チームからの正式オファーはなく暗礁に乗り上げたのかと思っていましたよ。
Paul SkenesやQuinn Priester・Jared JonesなどMLB readyな若手スターターたちは控えているものの…再建期からチームに在籍している中堅の役割というのは予想以上に大きいですからね。
さて、気になるサラリーの配分はこちら。
来季分の調停を$15.0Mで、FAイヤーを3yrs/$54.5Mで買い取る形になりました。総額を見た時は「そこそこするな」と思いましたが、こう見ると妥当でしかありません。
今オフに3年契約を結んだスターターと比較すると、金額が近いのはSonny Grayの3yrs/$75.0Mと、Seth Lugoの3yrs/$45.0Mでしょうか。数字的には確かに「Grayよりは劣るがLugoよりは優れている」というところ。
ただ、彼らは共に今年で35歳になります。一方のKellerはFAイヤー初年度が30歳とまだまだ働き盛りなので、市場に出ればもっと良い契約を引き出せたはず。そう考えると(チーム側が)うまくやりました。
もちろん昨季が初めての規定投球回到達なので継続性という面で不安が残るのも確かではありますが…ここに至るまでの彼の道のりを見ていると全くダメになるとは思えないんですよね。
マイナー時代は最高級のピッチングプロスペクトと評されていたKellerですが、19年にMLBデビューを果たすもなかなか結果を残せず3年が経過。21年が終了してマイナーオプションがなくなり、崖っぷちの立場に。
しかし、そのオフにTread Athleticという施設でトレーニングを積んで球速アップとスイーパーを習得し、シーズン中には元同僚のClay Holmesから教わったシンカーを、昨オフはカッターをレパートリーに加えてエースの座を勝ち取ったんですよね。
元々才能のあった投手が壁にぶち当たるも、ありとあらゆる手を尽くして這い上がってきた訳で。もちろん他チームから研究されるので結果を出し続けるのは一筋縄ではいかないですが、彼ならそれを上回る進化を続けてくれるはず。
仮に昨季並のパフォーマンスが維持出来なかったとしても、昨今のFA市場(スターターの高騰)を見るに規定投球回投げてくれれば大損はしないでしょうし。
とまぁ、御託を並べてきましたが…2年前は「そろそろ見切られるんじゃないか」と思って見ていたKellerがこれだけの評価をされたことが純粋に嬉しいですよ。
かつての自分の様にメカニクスが安定せず球速低下&制球難に苦しんでいたRoansy Contrerasのメンターになったり、このSTでもSkenesにアドバイスを送ったりとすっかり投手陣のリーダーですし。
今季途中にJT BrubakerとMichael Burrowsが、来季にはJohan OviedoがTJ手術から戻ってきますから、来季のローテ候補は少なく見積もってもこれくらいいます。
そこに昨季は2A級で投げたBubba ChandlerやAnthony Solometo・Braxton Ashcraft・Jackson Wolfあたりも加われば、非常に魅力的なローテを形成しつつ何人かトレードの弾にする事も出来そう。
黒い服を着たファン達がスタンドを埋め尽くす"blackout"状態のPNC Parkで、先発としてまっさらなマウンドに上がるKellerを観たいものですね。
【参考文献】
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?