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【PIT】Austin Hedgesと契約

ウィンターミーティングが終了して以来、何の音沙汰も無かったPittsburgh Pirates(PIT)ですが、現地12月17日にDansby Swanson(CHC)の契約に隠れてひっそりとFA選手との契約に合意しました。

彼の名前はAustin Hedges。カリフォルニア出身の30歳で、ニックネームは“Hedgey”。11年ドラフトでSDから2巡目(全体82位)指名を受け、15年にMLBデビューを果たします。

21年のTDLでMike Clevingerらの対価として、Cal Quantrillらと共にCLEへ移籍。8年目の今季は(17年の120試合に次ぐ)キャリア2番目に多い105試合に出場しました。

オフのロスター整理により、PITの40人枠に捕手は実質(詳しくは後述)いなかったんですよね。市場から捕手が次々と消えていたので、ひとまず1人確保出来て良かったです。

['15] G 056┃AVG .168┃OPS .463┃DRS +05
['16] G 008┃AVG .125┃OPS .321┃DRS -01
['17] G 120┃AVG .214┃OPS .660┃DRS +21
['18] G 091┃AVG .231┃OPS .711┃DRS +10
['19] G 102┃AVG .176┃OPS .563┃DRS +20
['20] G 035┃AVG .145┃OPS .521┃DRS ±00
['21] G 088┃AVG .178┃OPS .527┃DRS +12
['22] G 105┃AVG .163┃OPS .489┃DRS +08

※20年は60試合制の短縮シーズン

ご覧の通り、Hedgesの持ち味は守備力です。8シーズンで稼いだ通算DRSは+75、これは同期間(15-22年)でMLB全ポジション8位・捕手では最高の数字。

今季もDRS +8は捕手10位と堅守は健在で、statcastのデータを見てもPop Time 2Bは上位36%Framingは上位24%に位置しています。

それにShane Bieberら強力投手陣を牽引して今季CLEを地区優勝に導いた経験は、若手中心のPIT投手陣の大きな後押しとなるはず。

しかし、一方で打撃は壊滅的。14HRを放つなどwRC+ 90を記録した18年こそそこそこでしたが、それをピークに直近4シーズンはいずれもwRC+は50未満です。

つまりは“MLBの平均レベルな打者と比較して半分以下の貢献しかしていない”という事。今季MLBで300打席以上立った打者は277人いますが、wRC+ 42は276位でした。

以上の事から「Austin HedgesはMLB最高クラスの守備とMLB最低クラスの打撃を有する守備特化型の捕手である」と言えるでしょう。

19年オフにBen CheringtonがGMに就任してからというものの、20-21年はJacob Stallingsが正捕手を務め、彼をトレードした翌22年はRoberto Perezを獲得するなど守備に定評のある捕手を据えています。

オフに入ってからRoberto Perezとの再契約やTucker Barnhartの獲得も噂されましたが、前者は2年連続で長期離脱しており、後者は2年連続守備でプラスを出せていません。

rWAR -0.4/fWAR -0.6という数字だったのにも関わらず、1yr/$5.0Mとそれなりの契約を与えたのは守備力だけでなく耐久性も高く評価したと考えられます。 ※今季は$4.0M

まだ2番手捕手が不在なので更に捕手を獲る可能性も無くは無いですが…おそらくマイナー契約に切り替えたJason DelayTyler Heinemanで凌ぐのではないでしょうか?

彼らもHedgesを同レベルで打てませんが、Delayは今季436.2回でDRS +2・Heinemanは386.1回でDRS +5と守備は破綻無く守れそう。2-3番手の繋ぎであれば問題ないかなと。

さて、冒頭で「PITの40人枠に実質捕手はいなかった」と書きましたが、"実質"という事は実際にはいる訳で。このオフにEndy Rodriguezをロスター入りさせています。

RodriguezはMLB公式のランキングで傘下6位、BaseballAmericaでは傘下1位に選出されたトッププロスペクトです。Joe Musgroveの三角トレードでNYMから獲得しました。

昨季はA+/2A/3A級でプレーしており、マイナー合計でAVG .325/HR 25/OPS .997と圧倒的な打撃成績を残した上、守備でも捕手だけでなく1B/2B/LFに就いています。

来季開幕ロスター入りを期待する声もありましたが、Cheringtonは開幕をマイナーで迎えさせたいという意向を示しました。とはいえ、来季のMLBデビューは既定路線です。

更に2A級には21年ドラフト全体1位指名のHenry Davisが控えています。彼も死球が多く離脱しがちではあるものの、順調なら24年にはMLBに到達するでしょう。

彼ら2人は絶対にコアプレーヤーに育てなければなりません。素晴らしい守備力と経験を持つHedgesには(若手投手だけでなく)若手捕手のメンターとしての役割も期待です。

チームにケミストリーを起こしてくれる選手だと思います、Austin Hedgesのグラウンド内外での活躍に期待しましょう。

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