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【PIT】ペイロールとトレード放出候補

約1カ月続いたポストシーズンが終了し、明日からストーブリーグが開幕します。今日は前回に引き続き、Pittsburgh Pirates(PIT)のオフシーズンについて書いていきます。

21-22年で2年連続100敗を喫していましたが、今季は昨オフにそれなりの補強をした事もあって76勝86敗(勝率.469)と再建モードから脱却。今オフはそれ以上の積極補強を行う可能性は高いでしょう。

という訳で今回のテーマは大きく分けて2つ、「ペイロール確認」と「トレード放出候補」です。前回と今回で現状の把握をして、次回で具体的な「FA・トレード獲得候補選手」を挙げたいと思っています。


◆◆ ペイロール ◆◆

▶来季ペイロール予想

そんな訳で今回はPITの懐事情を確認してみようと思います。まずは“Cot's Baseball Contracts”で各年の開幕時点でのアクティブロスターに入っていた選手達のサラリー総額を比較してみました。

表は左端から「年度」「地区順位」「サラリー合計」「最高年俸選手」「最高サラリー」となります。20年は60試合制の短縮シーズンで特殊なので、この年は参考になりません。

これまで最もペイロールが膨らんだのは16年。13年に北米プロスポーツワーストの20年連続負け越しから脱却して、そこから3年連続ポストシーズン進出を果たした翌年です。あと$4,500多ければ四捨五入で$100Mに出来たんですけどね。

そこからはチーム成績と共に萎んでいった訳ですが、今季は19年並みに戻しています。Ben CheringtonがGMに就任して明確に再建をスタートしたのが19年オフですから、ようやくスタートラインに立った感があります。

いきなり上げる様な事はしないでしょうから、19年→16年を目安にして段階的に上げていくと考えています。となれば来季のペイロールは(18年に近い)$85-90M程度になると考えました。

16年当時$507.5Kだった最低保証額は来季$740Kと約1.5倍になりますし、FA選手の契約規模も大きくなっているので、最終的にチーム初の$100M突破はしてくれるでしょう。 19年オフに放映権の見直しもありましね。※今年になってゴタゴタしてますけど


▶来季サラリー確定分

それでは続いて、現時点で確定しているサラリーを確認していきます。とは言っても確定しているのは長期契約中のKe'Bryan HayesBryan Reynoldsの2人だけなんですけど。

調停権を持っている選手達はMLB Trade Rumorsの予測記事を参考にします、そこまで大きくズレる事は無いはずなので。名前の後ろに“*”が付いていたら調停1回目、“**”が付いていたら調停2回目という意味です。

尚、前回の記事で書いた通りですが今季登板無しのJarlin Garciaのクラブオプション$3.25Mは当然破棄、調停3回目のMiguel Andujarはノンテンダーという想定です。

上記の7人で$33.6Mとなり、それ以外の19人を一律で$740Kで計算すると現時点でのペイロールは$47.7Mですね。つまり、今オフに使える金額は$40M程度と想定します。

参考のために今季サラリーが$2.0M以上の11選手も併記しましたが、昨季メジャー契約したベテラン7人が合計$35.1Mなので実はそこまで変わらないんですけど。

ありがたいのは昨季に8年契約(+クラブオプション)を結んだKe'Bryan Hayesですが、昨季・今季がそれぞれ$10.0Mと最も高く来季からは$7.0-8.0Mと、再建計画に沿った配分になっている事。


◆◆ トレード候補 ◆◆

さて、最後にトレード候補になり得る選手達を挙げておきます。昨オフはDauri MoretaJi-Man ChoiConnor Joeと地味ながら悪くない選手を少ない見返りで獲得しました。

ここまでコンテンドに向けた準備の話をしてきたので景気の良いブロックバスタートレードの1つでも妄想したいところですが…100%で勝負に振り切れないのがスモールマーケットチームの辛いところ。

"買いトレード"で戦力補強を目論みつつ、保有している選手達の“売り時”も常に窺わなくてはなりません。それではカテゴリ別にどうぞ。


▶ 若手・プロスペクト

下線はマイナー成績

マイナー低層はひとまず置いておいて、MLBデビュー済みの若手や2A級以上のプロスペクトで主な放出候補はこの辺りでしょうか。プロスペクトならRule 5 Draft案件を優先したいところ。

3A級でAVG .281/HR 14/OPS .886のNick Gonzalesと、MLBで111試合に出場して24盗塁を決めたJi-Hwan Baeはどちらかであれば放出可能だと考えています。

来季の2B/SSはOneil Cruzが戻ってくる事に加えて、今季後半にLiover PegueroJared Trioloが良い働きをしました。マイナー待機はTucupita Marcano Alika Williamsがいますし。 ※現地11月2日にMarcanoがDFA


▶ 状況次第で検討

これからコンテンドするというのにエースとクローザーを放出するというのもおかしな話ですが…Mitch Kellerは25年オフFA(残り2年保有)・David Bednarは26年オフFA(残り3年保有)です。

スモールマーケットチームでは保有残り3年を切れば立派なトレード候補です。おそらく今がセルハイなので、エクステンションが纏まらないなら今季続々とMLBデビューした事で枯渇してきたマイナーを潤すトレードの弾にする事も考えるべきでしょう。

今年のTDLでも多くの問い合わせがあった両者なので売る相手には困りませんが、無理して放出する必要はありません。来季サラリーは推定ですが2人足しても$10M程度、成立するのは充分な対価を提示された時だけですね。


▶ ブルペン

昨年のTDLからちょこちょこ小さなトレードやマイナー契約をしていたら、いつの間にかビッグネームはいないものの悪くないブルペンが出来ていました。Carmen MlodzinskiJose Hernandezら若手の台頭もあってトレードの可能性はありそう。

K/BB 8.25を記録した便利屋左腕のRyan Boruckiこそ来オフFAなものの、それ以外の3人はロングコントローラブルなのが魅力。29.0回で44奪三振を記録した長身左腕のAngel Perdomoは27年オフFA(残り4年保有)。

平均97.9mphのハードシンカーを投げ込むColin Holdermanと、投げて見なければどう変化するか分からないスライダーが武器のDauri Moretaは揃って28年オフFA(残り5年保有)です。


▶ 安価なプラトーン要員

最後に、野手では今季トレードで加入すると故障者の兼ね合いもあり予想以上の出場機会を得たConnor Joeをピックアップ。左中間が広いPNC Parkを本拠地にキャリア初の二桁HRを放ちました。

意外だったのは守備でも1B/LF/RFの3ポジションに就き、UZRとOAAはマイナス無しと堅実にこなした事でしょう。ただし、DRSは3つともマイナスですけどね。

右腕にはwRC+ 95ですが左腕にはwRC+ 122とツープラトン要員としては優秀ですし、31歳ながら27年FA(残り4年保有)で来季年俸も最低保証額。来季も1B/RFで使う想定ながら、興味のあるチームがあれば或いは?


【参考文献】


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