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【PIT】Mitch Kellerを信じろ

のば

ロックアウトが明けてから開幕までの準備が駆け足で進み、気付けば開幕まで約2週間に迫っています。

今回はPittsburgh Pirates(PIT)のキーマンの1人であり、今季が野球人生の分岐点となるMitch Kellerについて書きたいと思います。

Kellerは14年ドラフトで2巡目指名を受けると、18年にはMLB公式のランキングで全体16位に選出された元トッププロスペクト。

当時のスカウティングリポートには「悪くても堅実な3番手にはなれるだろうが、それ以上の存在になる将来性を秘める」と評されていました。

それから4年の月日が経ちましたが…Kellerについてファンが議論しているのは「エースになれるのか」ではなく、残念ながら「チームに留まれるのか」です。

19年に待望のMLBデビューを果たし、昨季まで3シーズン(※20年は60試合制)で全て先発として通算39登板するも7勝17敗。

まだ打線の援護に恵まれず勝ててないのなら良いんですけどね。いくら通算FIPは4.30と悪くないとはいえ、流石に通算ERAが6.02では言い逃れ出来ません。

昨季は降板後に呆然自失という様な顔をしている所を、監督のDerek Sheltonから激励されているシーンもありました。


なぜ今季が彼にとってターニングポイントになるかと言えば今オフから年俸調停が始まるからです。オマケにマイナーオプションも0になります。

今季までは最低年俸で保有出来る上に炎上が続けばマイナーへ落とせば良いですが、来季からはそうもいきません。

毎オフRule 5 Draft対策で枠空けをしなくてはいけませんし、徐々にコンテンドへ向けて戦力を整えなくてはいけないので、チームとしても我慢には限界があります。

下の世代を見れば既にRoansy ContrerasとMiguel YajureがMLB Readyで、主要な投手プロスペクト達の多くが今季2A級で開幕する見込みとなっています。

●Quinn Priester (傘下4位)
●Michael Burrows (傘下11位)
●Carmen Mlodzinski (傘下14位)
●Kyle Nicolas (傘下19位)
●Tahnaj Thomas (傘下29位)

最新版の公式ランキングで傘下30位以内に入った上記の5投手を筆頭に、昨季は故障に苦しんだCody BoltonやRicky DeVitoも素材は高い評価を受けています。

おそらく数人は今季中に3A級へ昇格するでしょうし、うまくいけばMLBデビューまで漕ぎ着ける投手もいるかもしれません。

Keller自身の置かれる立場も変わるだけでなく、(彼もまだ若いですが)下からの突き上げもあるので、今季中に残すべきだと思わせる活躍が必要な訳です。


殻を破れなかった原因はもちろん1つではありませんが、ファンの目から見ても明らかなのはファストボールの球速低下です。

マイナー時代はバリバリの速球派として知られていたKellerですが、スピン量こそ多いものの昨季の平均球速は93.8mph。

肩肘に大きな故障があった訳でも無いのに、MLBデビューを果たした19年から1.5mph以上も低下していたんですね。

それに危機感…そしてフラストレーションを覚えたKellerはこのオフ、元同僚のClay Holmes(NYY)の勧めでTread Athleticsの門を叩きました。

この施設でトレーニングを積みながら投球フォームの見直しをした結果、ブルペンセッションでは100mph超を何度も計測して一部で話題に。

先日のST初登板ではそれほど力んでいる様子も無いのに平均球速は96.7mphですよ。数年前の水準に戻すどころかMLBトップクラスまで上昇しています。

それ以外だと有利なカウントで勝負出来る様にストライク先行を意識する事、以前からカーブとスライダー(とチェンジアップ)を投げていましたが新たにスラーブの習得に取り組んでいる様ですね。

ちなみに、この試合では打球が足に当たり途中降板となり心配されましたが、翌日は元気に歩いていた様ですし、現地時間3/24(日本時間3/25)に先発予定なので全く無さそう。


もちろんまだSTで1.2回しか投げていませんから過度な期待は禁物ですが、ようやく数年前にファンが求めていた姿になってくれた感はあります。

ローテーションに定着してくれれば万々歳ですが、あれだけ球速が出るなら(仮にスターターとして結果が出なくても)ブルペンに回す選択肢も出てきます。

100mph超のファストボールと高スピンのスラーブで奪三振を量産する、支配的なリリーバーになっている姿は容易に想像出来ますよね。

ローテの3番手なのか、セットアッパーなのか、はたまたクローザーなのか分かりませんが、今季終了時には自分のポジションを確立して貰いたいです。

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