【PIT】22年ウィンターミーティングまとめ
ロックアウトが続いていた昨オフとは打って変わって、今オフは毎日の様に大型契約が決まりますね。やはりMLBはこれくらい動いてくれた方が面白いです。
さて、大型契約とは無縁な上にチームの顔からトレード要求されている我らがPittsburgh Pirates(PIT)ですが、つい先日まで行われていたウィンターミーティングでもちょこちょこと動いていました。
今回は簡単にではありますが、今年のウィンターミーティングでの成果をまとめたいと思います。
◆◆ FA選手と合意 ◆◆
1人目は6シーズンで通算285登板の実績があるリリーフ左腕のJarlin Garcia。契約は1yr/$2.5Mで、翌24年シーズンの$3.25Mのクラブオプションが付いています。
平均93.8mphのフォーシームが投球の42.9%を占めており、残りはチェンジアップとスライダーがほぼ半々という投球スタイルです。
20年も(162試合に換算すれば)51.3登板ペースですし、6シーズン中5シーズンでフル回転している耐久性が魅力。今季はやや成績を落としたものの、まだ29歳と若いので持ち直せるでしょう。
詳しく数字を見るとフォーシームのRun Valueが-12→+4と大きく数字を落としています。過去のシーズンを見ても19-21年がマイナス・17-18年と22年がプラスなので、フォーシームの改善がカギを握りそう。
オフに入りEric StoutとManny BanuelosをDFAにした事でPITのロスターに左腕がゼロでしたが、Garciaの加入により大きなアップグレードとなりました。
Wil CroweやColin Holdermanと並び、クローザーのDavid Bednarに繋ぐセットアッパー候補ですね。彼はある程度計算しています。
Garciaとの契約がほぼ満場一致で良い動きだと評された一方、懐疑的な意見が多かったのが直後に報じられたVince Velasquezとの1yr/$3.15Mの契約。
確かに18年を最後にrWARもfWARも1.0に達していませんし、通算ERA 4.93/FIP 4.53と結果にしても内容にしても平凡な数字です。
CWSに移籍した今季は開幕から結果を残せず5月末からはローテを外され、その後は閉幕までロングリリーフとして起用されています。
スターターとしてはERA 5.26/FIP 5.20・リリーバーとしてはERA 4.25/FIP 3.22と明暗がハッキリしていますが、おそらくスターターとしての獲得でしょう。
ここ数年ではJordan Lylesはフォーシームの割合を、Jose Quintanaはチェンジアップの割合を増やし、スターターとしてプチ復活させました。
Statcastのデータを見てもFB SpinやExtensionはMLBでも上位クラスと見どころはありますし、勝算があって獲得している筈ですから期待しましょう。
◆◆ ドラフトロッタリー ◆◆
今季の勝率が28位だったPITは、従来の方式であれば23年ドラフトの全体3位の指名権を得るはずですが、来年からロッタリー制度が導入される事が決まっています。
要は「勝率の低いチームほど有利になる、指名順を決めるくじ引き」ですね。その抽選が現地12月6日に行われ、見事にPITが全体1位の指名権を獲得しました。
勝率28~30位の3チームはそれぞれ16.5%の確率で全体1位の指名権を得られる様になっています。ちなみに、27位なら13.2%。26位なら10.0%と徐々に可能性は低くなります。
僕はこういう賭け事の類は「得したい」というよりも「損したくない」と考えるタイプなので、とにかく「3位より後ろにはなるなよ」とだけ願っていました。無欲の勝利ですね。
実際のところ、全体1位と全体3位で指名する選手の質が劇的に変わる事はあまり無いでしょう。どちらにせよアンタッチャブルなプロスペクトが手に入ります。
ただ、22年ドラフトでいうと全体1位のスロットバリューは$8.85Mなのに対して、全体3位は$7.59Mですから$1.26Mもの差が生じています。この差が非常に大きいのです。
21年ドラフトでPITは全体1位でHenry Davisを指名してアンダースロットで契約、その差額を2巡目以降に上乗せしてBubba Chandlerなど有力なHSを青田買いしました。
貧乏球団と見られがちなPITですが、以前からドラフトへは惜しみなく投資するチームです。来年はどんな指名をするのか非常に楽しみ。
◆◆ Rule 5 Draft ◆◆
MLBフェイズではLAD所属のJose Hernandezを、MiLBフェイズでSF所属のWei-Chieh HuangとWSH所属のJoshua Palaciosを指名しています。
全体3位(こちらは完全ウェーバー)で指名したHernandezは、今月25歳の誕生日を迎えるドミニカ共和国出身の左のリリーバー。
平均95mph超・最速101mphのファストボールとチェンジアップ&スライダーを操り、今季はA+/2A級で合計51登板してK/9 10.41を記録しました。
前述した通りGarciaを獲得するまでロスターに左腕が皆無でしたから、充分チャンスはあるでしょう。MLBで1シーズン通して戦って欲しいですね。
Huangは台湾出身の29歳で、TEX時代の19年にMLBデビューを果たすしたものの、その後3シーズンは登板機会無し。
とはいえ、今季3A級でK/9 11.88を記録しているのは見逃せません。80mph未満のスローカーブが印象的です。
Palaciosは昨季TORでMLBデビューして13試合・今季はWSHで29試合に出場した27歳のOF。CFにも就いていますが主にRFで起用されています。
MLBでは通算AVG .207/OBP .267/SLG .232と結果はイマイチも、今季3A級では.294/.379/.439とまずまず。盗塁も21個成功させました。
MiLBフェイズで指名した2人はどちらもMLBデビュー済みで、3A級でもそこそこの成績を残しているのでデプス要員に数えられそう。
一方でPIT傘下から指名されたマイナーリーガーもいる訳ですが…なんとその数12人ですよ。3人加入して12人放出って絶対におかしいですよね。
とはいえ、痛いのは唯一MLBフェイズで指名されたC/OFのBlake Sabolくらい。他のMiLBフェイズで指名された11人は(勿体無いとは思いつつ)今後の再建計画に影響はありません。
それよりも有力候補だったMalcom NunezとMatt Gorskiという大砲候補2人が指名されなかったのが良かったです。前者は1B専門で、後者は三振が多い事がネックになったのでしょう。
今オフに獲得したJi-Man ChoiとCarlos Santanaがどちらも1年契約ですから、2人と入れ替わりで彼らが台頭してくれれば万々歳です。※Gorskiは本職OFですが1Bも守れる
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