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【PIT】Bryan Reynoldsとエクステンション

Pittsburgh Pirates(PIT)がチームの顔であるBryan Reynoldsとのエクステンションに成功しました。今年に入ってからではAndrew McCutchenの復帰に次いで嬉しい出来事です。

ご存じの方も多いでしょうが、彼は昨冬にエクステンションの交渉が暗礁に乗り上げてトレード要求をしていました。PIT側が6yrs/$80Mを提示したのに対してReynolds側は8yrs/$134Mを要求と大きな隔たりがあったと言われています。

しかし、トレードは成立せずにPITのユニフォームで開幕を迎えました。GMのBen Cheringtonは彼がチームにいる事を望んでいた為、他チームから続々と届くトレードオファーに対して過大評価とも思える莫大な対価を要求したからです。

開幕前後に再交渉した時も「条件面はある程度合意しているがオプトアウトを付けるかで交渉が行き詰っている」と報じられて以来進展がなく、このまま立ち消えになるのかとおもっていたので驚きましたね。


◆◆ ここまでの成績 ◆◆

['19] G 134┃AVG .314┃OBP .377┃SLG .503
['20] G 055┃AVG .189┃OBP .275┃SLG .357
['21] G 159┃AVG .302┃OBP .390┃SLG .522
['22] G 145┃AVG .262┃OBP .345┃SLG .461
['23] G 022┃AVG .294┃OBP .319┃SLG .553

今季はまだ94打席なのでサンプル数は少ないので参考程度ですが…MLBデビューを果たしてから5シーズン、Reynoldsは短縮シーズンの20年を除いて素晴らしい成績を残しています。

昨季もwRC+ 125と優秀ではあったものの、他のシーズンと比べれば全体的に物足りない数字なので、「やや隔年傾向がある」と言えるかもしれませんね。

まぁ、昨季の成績を下限だと考えれば30代前半から緩やかに衰えても、打者としてサラリー分の貢献はしてくれるのでないでしょうか?

一方の守備は21年にCFでOAA +11を記録してGGの最終選考に残ったものの、実はDRS -5/UZR -5.3と評価が分かれていました。昨季にDRS -14/UZR -2.7/OAA -7と大きなマイナスを叩き出し、今年のSTからLFにコンバートされています。

かつてStarling Marteを起用していたことからも分かる通り、PITの本拠地PNC Parkは右中間が広いため、CFと同様にLFも高い守備力を要求されます。

ここまでReynoldsはLFに144.1回就いてDRS +3/UZR +0.5/OAA +1と無難なスタートを切っており、少なくとも“平均以上のLF”には落ち着きそう。このままコツコツと積み上げてくれれば。


◆◆ なぜこのタイミングか ◆◆

 年  (年齢)  サラリー 調停権
2019 (24) $0.6M
2020 (25) $0.6M
2021 (26) $0.6M
2022 (27) $6.75M ←Super 2
2023 (28) $6.75M ←Arb1
2024 (29) ? ? ? ←Arb2
2025 (30) ? ? ? ←Arb3

19年にMLBデビューを果たしたReynoldsですが、Super 2の兼ね合いで昨オフに初めて調停権を得ました。昨季開幕直後に調停を回避して2yrs/$13.5Mの契約を結んだため、今季のサラリーは昨季から据え置きです。

今季も含めればまだ3シーズン保有出来る訳ですが、PITの様なスモールマーケットチームはスター選手が調停権を得たあたりからエクステンションorトレードの両睨みになります。

サラリーが上がるほど選手側の要求する契約規模は大きくなりますし、逆にトレードするのなら保有年数が長いほど受け取れる対価は大きくなるもの。Reynoldsの場合は2.5シーズン保有となる今年のTDLが見極めの期限でした。

一度は破談しながらも次々届く魅力的なトレード案をはね除け、粘り強く交渉し続けたCheringtonは本当によくやってくれたと思います。


◆◆ 契約内容 ◆◆ 

signing bonus $2.0M
2023 (28) $6.75M ←Arb1
2024 (29) $10.0M ←Arb2
2025 (30) $12.0M ←Arb3
2026 (31) $14.0M
2027 (32) $15.0M
2028 (33) $15.0M
2029 (34) $15.0M
2030 (35) $15.0M
2031 (36) $20.0M ←team option (buyout $2.0M)

31年のチームオプションが行使されれば総額は9yrs/$124.75M、行使しなければ8yrs/$106.75Mとなります。加えて6チームに対するノートレード条項が付いていますが、争点のオプトアウトは盛り込まれませんでした。

契約4年目終了後のオプトアウトが当初の要求でしたが、それだと「実質FAイヤーを1シーズン買取しただけ」でPIT側にはほぼ旨味の無いものだったんですよね。これが消えたのはかなり大きいです。

8yrs/$106.75Mは開幕時期に“条件は合意している”とされた時に報じられていたのと同額ですし、Reynolds側がオプトアウトの代わりにノートレード条項で妥協した形でしょうか。

ちなみに、PITが部分的とはいえノートレード条項を盛り込むのは06年以降初めてだそうです。対象となる6チームは(固定ではなく)シーズン終了後にその都度変更出来るとの事。

これからもMLB全体で年俸が上がっていく事を考えれば、FAイヤーの5シーズン(26-30年)を$74.0Mで纏められたのはバーゲンでしょう。このままの成績を維持してFAを迎えれば、確実にもっと大きな契約を結ぶ事は出来ました。

Reynoldsはトレード要求後もチームへの愛着は何度も語っていましたし、「College出身OFのエクステンションとしては史上最長」であり「チーム史上初の$100M超の契約」というスモールマーケットチームなりの誠意を意気に感じてくれたのかなと。


◆◆ 今後の展望 ◆◆

今季開幕から好調なPITですが、本格的なコンテンドを控えてReynoldsとKe'Bryan Hayesという主力野手2人を(オプションを抜きにしても)29年までコントロール出来るのは非常に大きいですよね。

しかも、最高でも合計$23.0Mとリーズナブルに纏められたおかげか、Cheringtonは更なるエクステンションに意欲を見せています。報じられている候補はMitch KellerRoansy ContrerasOneil Cruzら。※個人的にはそこに地元出身のDavid Bednarも加えたい

やはり最優先は超大型SSのCruzになるでしょう。調停スタートが25年オフ・FAが28年オフとまだまだ先ですが、このスケール感の選手はなかなか出てこないだけに早期の囲い込みに期待です。


【参考文献】

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