【PIT】2024年戦力分析
現地3月28日から遂にMLBの2024年シーズンが始まりますね、我らがPittsburgh Pirates(PIT)は敵地で、昨季PSに進出したMIAとの4連戦に臨みます。
かなりギリギリになってしまいましたが他の担当者さんと同じ様に「戦力分析」という事で、開幕ロスターを見つつ各ポジションの雑感を書いていこうと思います。
◆◆ PITCHERS ◆◆
▶ ROTATION
開幕投手は昨季初めてASGに選出され、今月頭に5年契約を結んだMitch Kellerが2年連続で務めます。続くのは昨季初めて規定投球回に到達したJohan Oviedo…の筈でしたが、昨冬にTJ手術を受けて早々にシャットダウン。
ローテ5枠のうち4枠が空席という異常事態でオフに突入しましたが、ひとまず12月中にトレードでMarco Gonzalesを獲得し、FAのMartin Perezと契約して2枠を堅実なベテラン左腕で埋める事に成功。
その後はMichael Lorenzen(現TEX)に興味を示したり、MIAとEdward Cabreraらのトレードトークをしたものの大きな動きは無く、残り2枠をチーム内で争う形になりました。
最大のサプライズはMLB公式のランキングで全体62位に選出されている22歳のJared Jones。常時95mph超のファストボールを武器に16.1回を無失点に抑え、MLBデビューの権利を見事に獲得しています。
残り1枠はマイナーオプションが切れているBailey Falterをオープナーとして、3年目のLuis L. Ortizがバルクガイとして起用される模様。Falterは開幕数試合が勝負ですね。
23年ドラフト全体1位のPaul Skenes、昨季はMLBで苦戦したものの元TOP100プロスペクトのQuinn Priester、マイナー契約したEric LauerやDomingo Germanらも3A級に控えています。
22年開幕投手のJT Brubakerとスピン量が自慢のプロスペクトであるMichael Burrowsの2人も今季途中にTJ手術のリハビリから復帰予定で、層はかなり厚くなったと思います。
▶ BULLPEN
先日MLB公式のブルペンランキングでPHIとATLに次ぐ3位に選出されたものの…ST期間中にDauri MoretaのTJ手術を受けて今季絶望となり、昨季セットアッパーのColin Holdermanと2年目のCarmen Mlodzinskiも調整が遅れて開幕は15日間ILで迎える事になりました。
それでも、セットアップのAroldis ChapmanとクローザーのDavid Bednarのコンビはリーグ屈指。彼らに繋ぐ7回担当はひとまず昨季K/BB 8.25を記録したRyan Boruckiが務める事になると思います。
TBで便利屋として活躍していたJosh Flemingと、ローテ争いから脱落していたRoansy Contrerasがロングリリーフとして待機。HoldermanとMlodzinskiの抜けた枠は、STで結果を残したRyder RyanとHunter Strattonが掴みました。
3A級で待機するのは招待選手として悪くない投球をしていたBrent HoneywellとWily Peralta、Rule 5 Draftで加入して昨季50登板のJose Hernandez、昨季デビューのKyle NicolasやColin Selbyら。
◆◆ POSITION PLAYERS ◆◆
▶ CATCHERS
昨季MLB昇格を果たしてから正Cとして起用されたEndy Rodriguezがオフのウィンターリーグで右腕に大怪我を負いました。再建手術を受けて現在はリハビリ中で、今季は全休が決まっています。
ただ、チームとして中長期的に見ればそれほどネガティブな事では無いかもしれません。代わりに21年ドラフト全体1位指名のHenry Davisがレギュラーとして起用される見込み。
このSTでは16試合でAVG .310/OBP .400/SLG .667と文句無しで、課題の守備も(デビュー2年目の打撃型Cというフィルターを通せば)我慢出来る範囲内ではないかと。
Rodriguezが健在であればDavisは昨季の様にRF中心での起用になっていたでしょうからね。うまく行けば25年はDavis&Rodriguezの強力な若手Cコンビが出来上がります。
むしろ誤算なのはST直前に獲得したベテランのYasmani Grandalが足の故障でいまだ走れていない事。バックアップは昨季に引き続き、優れたフレーミング技術を持つJason Delayが務める事に。
▶ INFIELDERS
昨季初のGG賞に輝き後半戦は打撃でもひと皮剥けたKe'Bryan Hayesと、1番打者としてもSSとしても規格外のスケールを有するOneil Cruzは確定。1Bは左のRowdy Tellezと右のConnor Joeがプラトーンで起用されるでしょう。
1B/OFはどちらもマイナー契約で加入したBilly McKinneyとJake LambがSTで良いアピールをしていました。Lambは若手のメンターとしても期待出来そうで、3A級でも良い影響を与えてくれるはず。
そして争点だった2BはJared Trioloが掴みました。本職は3Bながら1B/2Bもこなし、マイナーではSSやCFも経験したUT。昨季MLBで54試合に出場してAVG .298/OBP .388/SLG .398、STでは16試合でAVG .310/OBP .383/SLG .500を記録しています。
控えは昨季途中にRobert Stephensonとのトレードで加入したAlika Williamsが入りましたが、これに関しては悪い言い方をすれば「雑に使えるから」でしょう。
Trioloが開幕から躓いたりCruzが故障した際にスタメンで起用されるのは、3A級スタートになったLiover PegueroやNick Gonzalesの方。ベンチに塩漬けにするよりもマイナーで打席数を稼ぐ措置ですね。
それ以外だと現在は離脱中ですが韓国出身のJi-Hwan Baeや、堅実にマイナーの階段を上っている台湾出身のTsung-Che Chengが控えますが…層は薄いのでTDLで買いに回るならベテランが欲しいところ。
ただ、良い意味で予想外だったのは22年ドラフト全体4位指名でまだ19歳のTermarr JohnsonがSTで大活躍した事。もしかすると今季後半にMLBデビューを果たし、2Bの定位置と中軸の座を奪ってしまうかも?
▶ OUTFIELDERS
昨季は左から「Reynolds-Suwinski-Joe/Palacios」という形が多かったですが、堅守のMichael A. Taylorが加わった事でポジションシャッフルが行われました。Andrew McCutchenは今季も基本的にはDHです。
Jack Suwinskiが左投手にやや弱いので、彼がスタメンを外れる試合では昨季KCで二桁HR&二桁盗塁を記録した右打者のEdward OlivaresがLFに入る事になるでしょう。
故障で出遅れてSTがボロボロだった昨季二桁HRのJoshua Palaciosと、一度はウェーバーでSEAへ移籍するも出戻りしたCanaan Smith-Njigba、マイナー契約で積極起用されていたGilberto Celestinoがデプスとして3A級で待機となります。
◆◆ TEAM ◆◆
McCutchenやCarlos Santana、Austin HedgesやRich Hillなどクラブハウスのリーダーや若手の指南役をかき集めていた昨オフと比較すると、今オフの方は明確に"戦力補強"という側面が強い動きでした。
規律を重視するGMのBen Cheringtonが、Aroldis ChapmanやDomingo Germanといった訳あり案件に手を出した事からもそれは明らかでしょう。
とはいえ、$10.0M超を出したのはChapmanのみで、複数年契約を与えた選手は無し。トレードでも傘下TOP30など有力選手には一切手を付けていません。
Hayes→Reynolds→Kellerと3年連続でエクステンションを結んで土台を作りつつ、JonesやDavisらスター候補の若手を登用しつつ、再建の柱となるSkenesやJohnsonなどトッププロスペクトのデビューを待つ というのが今季の位置付けか。
昨季は76勝86敗(勝率.469)でPS進出ラインまでは8.0ゲーム差でしたが、今季の目標は「最低でも勝率.500・あわよくばWild Card滑り込み」だと考えています。
PITファンが黒い服や物を身に付けてPNC Parkのスタンドを埋め尽くす光景…通称"blackout"をそろそろ観たいですね。決して夢物語では無いでしょう。
【参考文献】
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