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【PIT】2023年TDL展望

つい先日オールスターウィークが終わったばかりですが、次のイベントが間近に迫っています。現地時間8月1日18:00トレードデッドライン(TDL)を迎えます。 ※日本時間では8月2日7:00

現地時間7月19日にBALがOAKからShintaro Fujinamiを獲得したのを皮切りに、24日はATLがCOLからPierce Johnsonを獲得しました。これから徐々に加熱していく事でしょう。

果たしてShohei Ohtaniの電撃トレードはあるのか。そして、既にLADが興味を示しているLucas Giolito(CWS)を筆頭に大物選手達がどれだけ移籍するのか楽しみですね。

そんな訳で今回は我らがPittsburgh Pirates(PIT)のTDLの展望や、移籍する可能性がある選手達について書いていきます。


◆◆ チームの現状 ◆◆

NL最速で20勝到達と予期せぬロケットスタートを切ったPITですが、現在は44勝56敗(勝率.440)で首位まで11.5ゲーム差の地区5位に位置しています。

ワイルドカード圏内までも9.5ゲーム差()が付いており、残念ながら2015年以来のPO進出は難しいと言わざるを得ませんから「売り手」に回ると考えて良いでしょう。

ただ、昨年のKe'Bryan Hayesとエクステンションを結ぶと、若いOneil CruzJack Suwinskiらが台頭。今年は開幕後にBryan Reynoldsとエクステンションを結び、トッププロスペクトのHenry DavisEndy RodriguezQuinn PriesterNick GonzalesLiover Pegueroも揃ってMLBに到達しています。

主力を大放出して戦力をリセットする段階はもう過ぎているので、今やるべき事は「来季以降にコンテンド出来るチーム作り」ですね。売れる選手は売りつつ、買いの動きも並行して進めたいところ。


◆◆ 売りトレード ◆◆

今オフFAになる“レンタル案件”で、最も対価を受け取れるであろう選手はAndrew McCutchenでしょう。ここまで(時折RFを守りつつ)負担軽減のためDH中心で起用されAVG .266/OBP .384/SLG .415を記録。wRC+ 122はPHI時代の19年以来の高水準です。

少し前にTEXが興味を示しているとの報道もありましたし、間違いなく需要のある選手ですが…“Pittsburghの象徴”である彼はBlack&Goldのユニフォームを着て、満員のPNC Parkで引退しなくてはいけません。

本人がチャンピオンリングを求めているのであれば「トレード→オフに再契約」という道もありますが、それであれば昨冬に自らオーナーへ逆オファーしてまで復帰しないでしょう。可能性は限りなく0に近いです。

となると、Albert Pujolsの引退により球界最年長となった43歳のRich Hillの動向に注目が集まります。今季は初めてカッターの投球割合が15%を超えるなど5球種以上の持ち球を自在に操り、ERA 4.84/FIP 4.34と数字は平凡ながらここまで7勝(9敗)をマーク。

7.0回/2失点でHQSを達成した6月9日のNYM戦では119球を投げるなどスタミナは健在。プレーオフでの経験も豊富ですし、大きな対価を払わずにローテの末席を埋めたいチームに需要はあるでしょう。


また、1B/DHのCarlos SantanaJi-Man Choiもしっかり売りたいところ。両打ちのSantanaはここまで92試合でAVG .237/OBP .322/SLG .408、7月に長期離脱から復帰した左打ちのChoiも18試合でAVG .186/OBP.210/SLG .475とここまで打撃成績は物足りません。

ただ、Santanaは1B守備でMLB最高のDRS +7を記録しており、Choiは復帰後の9試合でAVG .259/OBP .300/SLG .630と復調の気配有り。どちらも実績は充分なので欲張らなければ少なくともどちらかは纏まるでしょう。

オマケと言ってはなんですが、打撃はAVG .177/OBP .231/SLG .228ととてつもない数字を残しているものの、(ポジション別で)MLB3位のDRS +8を稼ぐ守備型CのAustin Hedgesもオファーが来る可能性は0ではありません。

ただ、彼に関してはマトモな対価が貰えるとも思えないです。首脳陣からの評価が依然として高いですし、ST時期から若手に積極的にアドバイスをしているのでEndy RodriguezHenry Davisのメンター役として残しそう。


そして最後に可能性は極めてかなり低いですがエースのMitch KellerとクローザーのDavid Bednar、右打ちのConnor Joeの3人も挙げておきたいと思います。

Kellerは昨季ようやくローテ定着を果たすと、今季は初の球宴選出。エクステンションへ向けた話し合いも行われましたが、25年オフにFAなので2.5シーズン保有と売り時なのは間違いありません。ただ、直近の2試合連続炎上でERA 4.01/FIP 3.80と数字を落としているのがネック。

今季もERA 1.15/FIP 1.98と素晴らしい成績を残し、WBCアメリカ代表・2年連続球宴選出と名実ともにMLB屈指のクローザーに成長したBednarは、26年オフにFAで3.5シーズン保有。リリーバーの旬が短い事を考えればエクステンションよりも価値が高いうちにトレードも検討すべきかと。

今季(マイナー時代以来に)復帰したJoeはここまで1B/LF/RFを無難に守りつつ、AVG .240/OBP .330/SLG .421と右のツープラトン要員として地味にチームを支えました。こちらは調停スタートすら24年オフで、27年オフにFAで4.5シーズン保有となります。

「そこそこ優秀なベンチプレーヤー」という位置付けのJoeはともかく、KellerとBednarはこちらから差し出す理由は皆無なので、昨オフのBryan Reynoldsと同様にかなり強気な交渉になる事でしょう。


◆◆ 買いトレード ◆◆

現在はMLB勝率ワースト6位ではありますが、それでも来季に向けてファイティングポーズは取り続けなければいけません。放出可能な若手・プロスペクトを弾にして、最低でも2.5年以上保有出来るMLBレベルの選手を獲得して欲しいです。

最もダブついているのは若い2B/SSです。前半戦に2Bをシェアした24歳のRodolfo Castro(3A級調整中)と23歳のJi-Hwan Bae(10日間IL入り)、SSで多くの出場機会を得ている23歳のTucupita Marcano

そして最近昇格して積極起用されている、昨年までTOP100入りしていたプロスペクトの24歳のNick Gonzalesと22歳のLiover Peguero。これに加えて長期離脱している24歳のOneil Cruzも戻ってきますから、(Cruzを除き)1人ないし2人出しても構わないかと。


また、Ke'Bryan Hayesとの契約が29年(+1年オプション)まで残っている事を考えると、デビューしてから攻守でソリッドな活躍を続ける25歳のJared Trioloも充分可能性はありそう。

21年にGold Glove award(minor)を受賞した3B守備は185.1回でDRS +2/OAA +2をマーク。マイナーでは昨季までSS/CFにも就いていましたが、今季はそれに加えて1B/2Bの準備もしています。ひとまず堅実なUTにはなってくれそう。

ただ、Hayesが戻ってくれば満足なプレータイムを与えられないので、持ち味の3B守備を活かすためにも出してあげたいと個人的に思っています。3BのバックアップはCastroやGonzalesが出来るので。

他にはロスター入りしているCal MitchellやMLB公式で傘下25位のプロスペクトCanaan Smith-Njigba、今オフのRule 5 Draftで指名可能な傘下14位のMalcom Nunez・傘下15位のMatt Gorski・傘下20位のMatt Fraizerあたりも整理対象でしょうか。


【参考文献】


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