【PIT】どうする？2021年Rule 5 Draft問題

今日はPittsburgh Pirates(PIT)の編成の話です。

先月(7月)に行われたドラフトと多くのトレードを成立させ、多くのプロスペクトや若手を獲得しました。

しかし、このTDLで生じたのが「Rule 5 Statusのプロスペクト多過ぎ問題」です。

一応、簡単に説明しておくと…

【初めてのプロ契約が18歳以下】
　　→5年以上経ってマイナー契約の選手
【初めてのプロ契約が19歳以上】
　　→4年以上経ってマイナー契約の選手

これに該当する選手はオフに行われるRule 5 Draft(以下R5D)の対象となる為、他チームへ流失する可能性があります。

それを避ける為にマイナー契約からメジャー契約へ切り替えて“プロテクト”する訳ですが、枠は40人分しかありません。

誰かを新しく枠に入れる為には、当然ですが他の選手を放出して枠を空ける必要がある訳ですが…これが非常に難しい。

まず、現在のロスターを確認しましょう。

【✔】
現在アクティブロスター入りしている選手
【IL】
現在IL入りしている選手

現在7人がIL入りしていますが、そのうちCahill＆Cederlind＆De Jong＆Sorianoが60日ILのためロスターに43人も居ます。

ちなみに、CederlindとSorianoは今年TJ手術・De Jongは先月末に膝の手術を受けてそれぞれ今季絶望ですね。

まずはR5D以前に、現在のロスターから4枠空けて40人に戻すところから始める必要があります。

ただ、今オフにCahill&Shreve&Tsutsugoの3人がFAになるので、再契約が無ければちょうど40人にはなります。

問題はここからです。R5D対象の選手を何人プロテクトするか、その為に何枠空ける必要があるのか。

もし指名されてもほとんどの選手は1シーズン完走出来ずに“返却”される訳ですが、それでも流失は極力避けたいですよね。

とりあえず今オフにR5Dの対象となる主な選手を一覧にしました。ソースはRosterResourceです。

名前の前にある2つの項目は…

【✔】
昨オフから今季中にかけて獲得した選手
【数字】
MLB公式のランキングで傘下30位入りした選手

早いもので18年全体10位指名のSwaggertyが対象に。今季はMLBデビューが確実視されるも右肩の脱臼(利き腕は左)で手術を受け、早々に今季絶望が決まりました。

他にもSSのPegueroや1BのMartinを筆頭に将来の主力候補が多く、傘下30位以内の選手を守るだけでも9枠も空ける必要があります。

また、このランキング圏外の選手達も疎かには出来ません。Yeanなんかはこの間まで傘下10位以内でしたし。

このTDLに獲得したCastilloとSuwinskiは昨年どこからも指名されませんでしたが、今季の活躍なら可能性は充分ありそう。

そもそもCastilloはR5D以前にマイナーFAの対象なので、ロスターに入れないとFAとなってしまいます。

とりあえず最優先で守るべきは…

● Travis Swaggerty
● Mason Martin
● Diego Castillo
● Tahnaj Thomas
● Liover Peguero

この5人でしょうか。

5枠くらいなら何とか空けられそうですが、逆に言えばDFAやノンテンダーの候補を数えてもこれ以上はなかなか厳しい。

しかし、順調なら来季MLBデビュー出来そうな左腕のCruzや、Smith-Njigba&Mitchell&SuwinskiのOFトリオあたりを外して良いものか…

という事で、今オフはこれまで通り主力を放出する“売りトレード”一辺倒ではなく、1歩前に進んだ動きが必要になるのかなと。

R5Dの対象になるor既にロスター入りしているプロスペクトや、MLBに定着出来ていない若手をうまくトレードの弾にして欲しいです。

多少不釣り合い(こちらが損)でも、R5Dまで時間のあるマイナー低層のプロスペクトに切り替えるのか。

もしくは“売りトレード”の時にプロスペクトを付けて、貰える対価をグレードアップさせるのか。

後者なら特に、MLBデビューを既に果たしている長期保有が可能な若手を狙いたいです。

とまぁ、ゴール地点が定まらないまま蛇行運転の様な文章になっていますが、要は「このオフが大事になる」という事です。

1年前の20年夏に16位だったファームシステムランキングは開幕前に8位、そして先日の更新で4位にまでなりました。

プロスペクトの層が厚くなればなるほど悩まされる問題ですから、再建がうまく行ってる証とも言えるでしょう。

我らがGMのBen Cheringtonは、18年オフにNYMやSFといった資金力のあるチームの誘いを受けるも「1からチーム作りがしたい」とお断り。

翌年にPITのオファーを受けた男ですよ。この状況は望むところでしょうし、必ずや上手く立ち回ってくれるはず。

今季の最終戦まで約5週間。とても楽しみな、でも少し不安なオフシーズンがもうすぐ始まります。