西野カナの歌に出てくる彼氏みたいな場所〜和光元住民インタビューVol.3とわ〜
平成最後のクリスマスが近づいてくる。
クリスマス商戦のために街にはモノが溢れ、忘年会シーズンで居酒屋は賑わう様子も、毎年見ている光景なのに、すこしだけ物珍しく思ってしまう。
年末の振り返り番組なんかを見ていると、あんなに騒いでいたニュースもいつの間にかに忘れてしまっていることに気づく。
そして、その時に考えていたことをふと思い出し、それを消化して来年の糧にする季節が今なのかもしれない。
今回インタビューする彼女は和光元住民の中では唯一のインフルエンサー・とわ。
中学生最後の春休みにプロジェクトを立ち上げ、80万円オーバーの支援を集めクラウドファンディングを成功させる。
「無名」で「か弱い」、「普通」の女子中学生が起こした奇跡は、経済的な理由で夢を叶えられずにいる多くの中高生の希望となった。
そんなティーンインフルエンサーである彼女は現在渋谷の株式会社CAMPFIREで働いている。
彼女が和光にいたのはクラウドファンディングの成功とCAMPFIREに入社するまでの6ヶ月のうちの1ヶ月。
「和光は人生の頂点と、どん底の両方のときにあった場所だった。」
4ヶ月ぶりに再会した彼女は、あの頃よりも大人になっていた。
和光住民としてはそんなに長く滞在していない気がするけど、
和光代表する住民はアキオーシャンと永遠だと思う。
ティーンインフルエンサーの今
ー いろいろお疲れ様!そして、何よりも就職おめでとう!
いえーい!11月7日付けでCAMPFIREにジョインしたぜー!!
ー ちなみにいくら稼げるの??...ふむふむふむ。すげえ!俺よりもずっと稼ぐじゃん!!
まあ、まだシェアハウスにいるから、完全な自立とは言い難いかもしれないけどお金が貯まったら、一人暮らしもやってみたいな!てか、ねえ、聞いて!永遠、今すごいんだよ!
ー 何がすごいの?
朝7時に起きて、おにぎり作って、出社して、夜12時に寝てるんだよ!!
ー 更生しすぎでしょ!和光にいたとき、俺の記憶では
永遠昼の12時に起きて、夜は寝てるところを見たことなかったぞ!?
まじウケるよね笑。
ー そもそも、どうして就職しようと思えたの?どう考えても、いわゆる「まともなところ」に就職できる生活リズムじゃないよね??
正直、働く抵抗まじやばかったよ。そもそも永遠が和光にいたときって、一番調子乗ってた時期だったのね。polcaを立てれば交通費からご飯代まで何でもすぐに集まったし、アポなんか自分から行かなくても全部向こうからきてた。永遠って、何も特別なものないのに、こんな生活を送れたのってマジで奇跡だと思う。だけど、ちゃんと働いて、自分でお金を稼いで、一つのところに身を置いて仕事した方が、永遠の力がつくと思って働こうって。
ー すごい覚悟だ…。
10時出社だから、はじめは一時間前くらいに起きてたけど、もう間に合わない笑
準備とかしなきゃいけないからもっと、余裕をもつために朝七時に起きて...
ー お...おう....。ちなみに、今回は和光の思い出をいろいろ聞かせてもらうインタビューなんだけど….
和光はやばい。
ー 笑 永遠が働くに至るまでの経緯とかいろいろ聞きたいよね。永遠の中で和光ってどんな位置付けかな?
もうとにかく楽しかったね。特にどうとかってないけど、とにかく楽しかった。
あ!
ー何か思い出した?
北さんが「スマブラ(注1)ができる女はモテる」って言ってたじゃん!? あれ、めちゃめちゃ役に立った!
(注1)スマブラ:和光においては任天堂ゲームキューブ専用ソフト大乱闘スマッシュブラザーズDXを指す。永遠が来ていた頃、かなりの高頻度でスマブラバトルが行われていて、和光住民必須のスキルと呼ばれることも多々あった。
ー やっぱモテるだろ?笑
二条のアオイエ(注2)に暮らしているときにもスマブラやってて、永遠と同い年くらいの子やちょっと年上の人とかともスマブラやってた。「永遠ちゃん、スマブラできるの?」って言われて、和光で練習したからできる!って言ったら、思いの外あのときのことを覚えてて、勝ったりしてた!
(注2)二条のアオイエ:永遠が京都にいた時に住んでいたシェアハウス。意識高い若者が集まってるらしい。
ー すげえな笑 そういえば、すごくしっかりとした格好してるね。
ま、渋谷のOLですから!
ー いつもジーパンにTシャツなイメージだったから
これ、カット!でも、あの頃たしかにそんな感じで、メイクとかも水でゴシゴシやって落としてた笑(注3)
思い出した!あと水シャワー!あれほんと死ぬかと思った。(注4)
注3:女装会のタイミングでクレンジングオイルが持ち込まれました。
注4:ガス、止まってません
ー なぜか住民全員水シャワーやりたがるよね笑 あれ、なんでなの?笑
そりゃ、家主がやってるからに決まってんじゃん!家主がやってるんだったら永遠もやらないとって思って!一回やってみて速攻無理って思ったから、お湯に切り替えたけど。
ー あれには技術が必要だからな。
北さん、毎日これだからすげーよなって思った。
なぜ、ティーンインフルエンサーは和光にやってきたのか?
ー そもそも、よく和光に来たよね。知らない人の家に行くのって怖くなかった?
永遠の周りの人たちってシェアハウスが当たり前だったから、そもそも誰かがいる場所に泊まるのってあんまり抵抗なかった。
特に北さんに関しては、一度顔合わせたこともあるし、永遠の信頼する友達も良く言ってたから、大丈夫かなって。
ー 本当にうちに来たときまじビックリしたもん笑 あの頃の永遠すごかったもんな。
たぶん、インフルエンサー的な意味では和光にいる時がピークだった気がする。まあ、調子に乗ってたよね 笑
だって、polcaすれば交通費もご飯代もなんでも手に入ってたからお金を稼ぐ必要もない。アポも勝手に向こうから来てたから予定にも困らなかった。正直、永遠って何もない人間なんだけど、ここまで来たのって奇跡だよ笑。
ー 逆に、そこまで人気だったら泊まるところくらいいっぱいあったんじゃないの?なんで、和光にい続けたの??
もちろん最初は他のところ行く気もあったけど、北さんとアキオーシャンが好きだったからつい長くいちゃった笑。
いこし(ぷろなぐられやー)とかもきて、和光すごく面白かったし。アキオーシャンとは東京に来てから何回も一緒にご飯行ったし!
ー 照れるな….って、飯、俺も混ぜろよ!
北さん、どこにいるかわかんないもん笑 特にあきおに初めて会ったとき、インフルエンサー「益山永遠」というキャラを一切通して水に1人の15歳の女の子として接してくれた。「15歳なのにクラウドファンディングでそんなに集めたの?!」とか「高校中退して起業?すごいね!」とか、永遠のやっていることでチヤホヤする大人じゃなかったのが大きいかな。
ー アキオ、愛されまくってんな笑。和光にいたときは自然体になれたって感じかな?
そもそも永遠はずっと自然体だし、気を張ってることもあんまないよ。
もう、とにかく和光は楽しくて、いい意味で消費してる感じだった。
北さんと話すの面白いし、アキオーシャンと話すのも楽しい。散歩するのも楽しいし、ケチャップスパゲッティつくるの楽しかった。
もう何をやってたのかわからないくらい楽しかった!
ー 逆に、二条のアオイエにいたときとの違いってある?
二条は楽しいっていうよりも安心感が強かった。あそこに住んでいる人たちは永遠の家族。無限に愛を与えられたかな。
和光は無責任に入れる場所って感じ。ブラックサンダー(注5)勝手に食べてたし。
(注5)ブラックサンダー:通称BTC。和光のガス代が一月で8000円ほどだったのに北がビビって創った和光コミュニティ通貨制度。1シャワー代を募金するたびに、ブラックサンダーがもらえるものの、代わりにブラックサンダーを置いてシャワーを浴びる人たちが現れた。
ー お前が犯人だったのか!!!!まあ、今ブラックサンダーないけどね。
和光は完全に永遠の家だったからね笑 東京にいるときは、とりあえず和光に行けばいいって感じになってた。例えば宿に困ったりしたらとりあえず帰ってきたり、話す場所に困ったりしたら和光にいればいいやっていろんな人連れて来てた。
でも、二条の時は「他の人がいるからどうしようかな」って迷ってた。人を連れてくるときとかも、いちいち相談してたし。
人生の頂点とドン底を経験したときにあった場所
ー どうして、そこまで気を使えるようになったんだ…。
7月くらいに和光に来たときって、まさに永遠が世界の中心!ってくらいいわがままだったけど、東京で思いっきり心が折れそうになることが起こって、思いっきりメンタルが崩壊したってのが一番大きいかもね。あと、七月の終わりから京都でインターンに行ったんだけど、そこでうまくいかなかったのもあって、それから八月和光に戻ってきてもなんでダメかわからなくて、そしてあのこと(注6)が起こって一気にドン底に落ちたって感じだったよね。
注6:内緒
ー あの日、大変そうだったもんな。
あの時、一番最初に電話したのがアキオーシャンといこしだった。あのときも無意識で「和光に行こう」って思ってて、まさに行こうとしてたんだけど、途中で友達に拾われて、渋谷で一緒に話を聞いてもらってた。それくらいに、和光は永遠の中で当たり前になってた。
ー 頂点とドン底を同じ場所で過ごすってなかなかないよね
まあ、あの頃は無責任さが極まっていたからね笑。さっき、和光のことを永遠の家だって言ったけど、あそこにはアキオーシャンもいるし北さんもいるしで、こういうときに和光は誰のものでもないって思った。そして、永遠にとって自分が何者にでもなれる空間は和光だけだった。
ー あのときは、アキオとかがいてくれて本当によかったな。
あのときの永遠って、期待されることに対するプレッシャーが大きかったし、だけど期待されないことも嫌だった。
なんでも完璧にやろうって、完璧じゃないのに、見栄を張りまくってた。とにかく、劣等感がいっぱいだったけど、それが#NSEU20で一緒に登壇した他のメンバーと関わることで、ものすごく強くなった。で、その劣等感をむりやり隠してた。
優しいけど、たまに叱ってくれる。劣等感だらけの私の「和光」
ー 隠してたっけ…?俺のイメージでは、永遠は劣等感バリバリに抱きまくってたけど。
北さんに話してたのは、北さんが永遠自身のことを言ってくれることが多かったし、永遠の思考を北さんが整理してくれたから、北さんと話すたびに永遠が自分のことをよくわかったから言ってたんだよ。「自分探しは未来にあるわけでも、旅先に落ちているものでもなくて、過去の自分の中に落ちているものを拾っていくんだ」って誰かが言ってたけど、まさに北さんと話すことはそれ。
ー そんな感じだったのか。
特に、北さんとアキオーシャンは容赦なく痛いとこついてくるからな笑
北さんから「永遠って高木くんの話ばっかしてるね」って言われたとき、「あぁ〜!」ってなったから。
あのときの永遠ってめちゃめちゃ調子乗ってたし、みんなもどんどん褒めてくれるから、2人みたいに永遠にちゃんとした言葉をかけてくれて、永遠の現在地を教えてくれる人が必要だったのかも。
ー ちなみに、アキオは永遠のことを妹だと思ってるみたいだけど、永遠は俺ら2人のことをどう思ってるの?
う〜ん…西野カナの彼氏みたいな存在?笑
めっちゃ優しいけど、たまに叱ってくれる存在。
ー マザコンのママ感あるな。
あの時は、うかれまくってたから、自分を良いように評価してくれるところに自分の身を置いてた。
2人は、永遠のことを評価しながらも、ちゃんと考えないと行けないところをついてくれた。でも、2人と自分を比べなかった。
ある程度、どうでもいい存在だったのが大きかったのかも。憧れてもなかったしね。
ー ちょっとは憧れ,....いや、憧れるな!俺たちを見習っちゃいけない!
永遠にとって「憧れ」って悪い意味だからね。笑
北さんとアキオーシャンと話しているときはびっくりするくらい惨めな気持ちにならない。
ある意味、はけ口にしてた感があって、見栄を張っている自分をさらけ出してるみたいだった。
「和光はいつもここにある。」
ー ちなみに、和光にもどりたいと思う?
和光はいいところだけど、北さんとアキオーシャンがいてこその和光だったから、北さんもアキオーシャンもいない和光に帰りたいと思わない。八月の段階で、北さんなかなか和光にいなかったし、アキオーシャンは出て行っちゃったから、特別なイベントない限りは行く必要ないだろうなと思う。でも、あのときに和光に関わった誰かがそうなったときには、何かしたいなと思う。でも、和光特有のあの匂いはきっと忘れないだろうし、もし和光がなくなった時に和光みたいな景色を見たらいろんなことを思い出すんだろうなって思う。
ー そういう意味で、和光は一つの役割を終えたんだろうなって思う。
学校の卒業式みたいな感じで、いいコミュニティはその場所なしでも生きていけるような人を育てるんだと思ってる。
だから、和光は、和光がなくても生きていける人をたくさん輩出したんだろうなって思う。そういうコミュニティを作る上での大事な何かがいっぱい詰まっている場所だったんだよ。和光って。
永遠も和光のコミュニティーに所属しながら、和光がなくても生きていける用意なったから、和光はいいバランスで、サポート側にも回ってるよね。その空気作りすごいよね笑
ー ありがとう。ただ、来年には和光なくなっちゃうんだよな。
正直、永遠は和光がなくなっても全く悲しくないんだろうなって思ってる。だって、和光は常に永遠のそばにあったから、もともと目に見えない空気みたいな存在だったんだよ。「ある」とか「ない」とかそういうものじゃなくて、永遠の中にずっとあるようなイメージ。
てか、別に北さん関西に行くって言っても、どうせすぐ東京戻ってくるでしょ?笑
ー お…おう…笑
第一弾:でっち
第二弾:翼
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