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はじめまして

はじめまして、原木しいたけ職人の野呂純也と申します。
隣は苦労かけてます、しいたけ嫁です。(おかげ横丁しいたけ屋台より)

まだまだ未熟なしいたけ職人ですが、
贈ってもらった人の喜ぶ姿を想像しながら
マジメにこだわりの原木しいたけを作っています。
私は大学卒業後、地元広告代理店と不動産会社の
営業マンとして約10年働いていました。
口先だけの営業トークでそれなりの成績を残してましたので「オレ、うまく人生を渡っているなぁ」と思っていた時期もありました。
でもある時、この10年間を振り返ってみると
自分の中に何も残っていない事に気づき
将来と生き方に疑問に感じるようになりました。
私の実家は野呂食品という小さな会社を経営しています。
戦争から帰ってきた祖父が雷おこしやお菓子の原料を作る会社として
1951年に創業しました。
父の代になって原木しいたけの栽培をはじめました。
今代表を務めている父は年齢的なこともあり、
数年前から体調があまり良くありません。
重い原木を一日何本も運ぶ重労働を親父一人で
続けるのはだんだんとつらくなってきていました。
会社のことを考えると、長男である私が父の後を継ぐには今しかないと
2008年に野呂食品に入社し、原木しいたけ栽培をはじめました。
サラリーマンを辞め、原木しいたけ栽培という全く違った環境に飛び込んだわけですが
一番の違いは得意の"口先"はまったく通用しないということでした。
肉厚でプリッとしたおいしい椎茸が作ることがすべての世界です。
一日中誰とも話さずに何千本もの原木と格闘する日が何日も続くこともあります。
自然の中で仕事をしていると自分の考え方がちっぽけに感じることもあります。
原木しいたけの栽培はとても奥が深く、難しいことの連続です。
気候や温度の変化、原木そのものの善し悪し、植菌のタイミングなど
どれか一つがダメでも満足のいく椎茸は収穫できません。
正直なところ、楽な仕事でもありません。
しいたけがニョキニョキ生えてくる原木は1本20キロくらいの重さ。
これが何千本もありますから、この移動だけでも大変です。
スーパーなどでたくさん売られている菌床(きんしょう)しいたけのほうが
遥かに簡単で楽に生産することができます。


それでも私が原木しいたけにコダワるのは味・香り・食感、そして安全性のどれもが原木栽培されたしいたけの方が菌床しいたけの遥かに上をいくことを確信しているからです。
こんな手間をかけて、肉厚のプリッとした旨そうなしいたけが採れるとお客さんにお届けせずに自分で食べて大満足していることもあります(笑)
しいたけ職人になってまだ十数年。
まだまだ未熟で親父には追いつけませんが
真面目に毎日椎茸と向かい合ってきて
ようやく満足のいく椎茸をつくれるようになりました。
今私は"原木しいたけ"の良さ・美味しさをお客様にお伝えできる
この仕事を誇りに思っています。
三重県の北勢地域の里山を守り、
みんなが喜んでいただけることを考えてながら、我が子同然の様に
まじめに真剣に育てた原木椎茸です。
大切なあの人に何を贈ろうか悩まれた際には
「野呂食品の原木しいたけ」を思い出していただければ幸いです。

原木しいたけを原材料とした加工食品の開発と福祉事業

また、今もうひとつ夢中で取り組んでいることがあります。
それは原木しいたけを使った面白くて美味しい加工食品の開発です。
きっかけは、もともと野呂食品がお菓子の原料を作っていました。生シイタケを栽培できても
営業で売りに行っても、何をしてもうまくいかない時期が続き毎日悩んでいました。 ある時、悩んでいても始まらないので断捨離しようと工場内を掃除していると小さな古いプレス型のせんべい焼き機が出てきました。200Vにつなぎ動作確認すると動くとわかりました。ここで不思議なんですがなぜか「生しいたけをプレスしよう!」となり、いざプレスしてみるとプシューと水分が抜け、パリパリのせんべいになりました。食べてみるとうま味凝縮した、もの凄くおいしいせんべいになりました。今まで生しいたけのみでしたが、ここから加工食品への転換となっていき、倒産寸前の会社をV字回復させることが出来ました。その後、めざましテレビでご飯のお供選手権で全国優勝した「あおさのりと原木椎茸の宝物」などヒット商品が生まれました。
昔ながらの栽培した原木しいたけを生しいたけ、乾燥しいたけだけでなくひと味違う加工食品の製造・販売ができるのは弊社の自慢でもあります。

カワセミが巣を作るしいたけ山と福祉事業への挑戦

椎茸山にやってきたカワセミ
収穫が終わった原木を次の収穫に備え休養させる場所、しいたけ山にカワセミが巣をつくりました。
大変珍しいことで、地元テレビ局にも放送されました!
幸せを運ぶ青い鳥がしいたけ山に来たときは私達も原木しいたけを栽培していて幸せになれるような気がしましたよ(^^)

また2014年より旧工場跡地で椎茸を食べる老人ホームの運営を開始いたしました。今まで苦しい時も諦めず原木しいたけ栽培が出来たのも、原木椎茸を購入していただいたお客様のおかげです。「美味しいからがんばれ!」「やめるんじゃないよ!」と多くの方から叱咤激励を頂けたから今があると思います。地元で地域資源を使った原木しいたけで残りの人生は恩返ししようと福祉事業の老人介護問題に挑戦させていただいております。
 

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