現場から見たイマ〜型枠大工編〜

お疲れさまです


今回は前回書いた「現場から見たイマ」の第2弾!
内容はインタビューです!
第1弾はこちらなのでマンガは1巻から見たいタイプの方はこれからどうぞ


第2弾は、ツイッターで熱いツイートをしている型枠大工さんで、たくさんいいねを押しまくるツイッタラーとしての一面も持ち合わせるコゲさんにインタビューさせて頂きました。打診した理由は単純に僕が聞きたい人だったからです(直球)

コゲさんのツイッターはこちら

コゲさんは現在、広島で型枠大工さんをやっている現役バリバリの職人さんです。よくツイッターで型枠大工さんの仕事風景を誰よりも詳しく、そしてわかりやすくアップしてくれてるので見てみてください。
同業者はもちろん、きっと他業種も楽しいですよ!
参考までに1つ見てください〜



ではではインタビューの記録をお伝えしていきます。
以下、「Q.」の部分は普通の大工さん(僕)になりますが、Qのみに略します。また、内容の一部を添削、編集させて頂いております。真意が伝わるよう努めましたが至らない点がありましたらご容赦ください。
返答を兼ねつつ、質問も混ぜながら進行しますのでよろしくお願いします。


Q.(普通の大工さん以降略)
今回はよろしくお願いします。
まずはコゲさんの型枠大工としての経験年数と、見習いから、おおよそ一人前とされる職人さんになれたのは何年目くらいでしたか?

コゲさん
『大工を始めたのは昭和59年です。15歳、中学を卒業する4ヶ月前からです。暦35年ですが、途中に大工から離れている時期がある為、実質30年です。
昔の育成環境が良かったので、5年目には今の一般的な10年選手より上にいたと思います。』


Q.
20歳で一人前は早く感じますね。それは環境もさることながら、人一倍努力をした証でもあるでしょうね。
コゲさんは、なぜ型枠大工さんになろうと思ったのですか?  また、その背景もあれば教えてください。

コゲさん
『佐賀出身のばぁちゃんのおかげで、生まれ育った環境がまんま「佐賀のがばいばあちゃん」でした。当時私は大分にいましたが、その環境が「高校に行きたい」を許しませんでしたので「中学を出たら働く!」という流れで、15歳の私は広島で型枠大工をしてる親父の所に行くことになりました。
他の選択が出来ませんでしたね。』



Q.
佐賀にルーツを持ち、大分出身で広島へ渡ることに。めまぐるしい変化に15歳の少年の苦労も伺えますね。
今までの型枠大工としてのキャリアや、今の労働環境はどんな感じでしょうか?

コゲさん
『一人親方としての外注扱いが多かったですね。10年以上前に法人化した今の職場で従業員に。
社長とは前会社でお互い現場を持ってやっていた職長同士でした。個人事業主としてやってる所に雇われてる形でしたね。
法人化はゼネコンの要請に近く、福利厚生費を別に払うから社会保険にも入ってくれと言われ法人化の流れになりました。ですが、社保、厚生年金等完備するも福利厚生費は1度も貰えず、今年の3月に残念ながら社会保険を切ることになりました。』 


Q.
一人親方の外注扱いには様々な問題点もありますし、福利厚生費の未払いはハシゴを外された気分だったでしょうね…。
広島をメインに働くコゲさんの周りや、仲間たちから聞く近県の情報などから、型枠大工さんの賃金形態や、コゲさんが体感している今の型枠大工さんの現状を教えて下さい!

コゲさん
『周りの状況ですが、労働者に限るとしっかりと貰ってる人は皆無の状況だと思っています。
最高日当が15000円、そこから道具等の経費は自分持ちです。20歳の子が日当7000円で入社、翌月道具代を5万円引かれるなんて普通に聞きます。
社会保険等があるところは日当が10000円前後なので、結局職人が負担してる状態かと…。

また、この記事の第1弾にあった木造の大工さんのように1人では仕事を請けにくく、1人分の仕事を貰える所はほとんど無いと思います。
なので、現場の職人単位では1日いくらの常用で働くのが精々ですね。
たまに雑仕事、外溝等の仕事がありますが、平米単価では絶対に割りが合わないので、結局常用になります。

地域によって違いもあるとは思いますが、私の周りほとんどの1人親方は、名ばかりの事業主で必ずどこかの班等で従業員と同じ様に働いています。
違うのは賃金体系、保証だけです。

仕事内容、労働環境は昔と比べ、平米辺りの仕事量が倍、3倍になっています、エレベーターの足場は大工がするとか、クーラースリーブや、ドレン(設備)等は当たり前のように大工の仕事、酷いときにはスリーブの補強筋(鉄筋)まで大工です。
昔は別単価請求だった目地打ち込み、断熱材、インサート、アンカー等も最近では込み込みになってます。

限界をとうに超えてますので、育成出来てるところは皆無に等しく、入ってもすぐに辞める状態です。
これ以上は育成にかけるお金が出ないと不可能だと思います。そして今いる若い子は安く使われているので、常に辞める事を考えてると思います。
育成ができていない今、高齢の親分たちが引退するとどうなるのでしょうね…

私らは育成をメインにやっていますが会社はほぼ全てを還元で無理やりやっています。
それでも社会保険を切る事になりました。
儲けているのは、ゼネコン一次で安く職人を使ってる会社の上層だけに思います。


Q.
これはなかなか厳しい環境ですね。職人さんだけじゃなく一般の方にもわかるように以前、1日2万円稼ぐ職人さんの経済状況を試算したエントリーを置いておきますので、どれだけ厳しい環境かこのエントリーを見ているみなさんにも知ってもらえたらと思います。

さて、本題に戻らせていただきます。
重層請けの構造には問題点ばかりですよね。コゲさんたちのような踏ん張ってる会社は全国にたくさんあると思うので早く対策できるのを願うばかりです。
コゲさんの予想では、ご自身や周囲の型枠大工さんは今後どうなると思いますか?
また、どうすれば改善されると思いますか?

コゲさん
『型枠の今後は正直わかりません。
何もしなければ何も変わらないと思います、30年変わってないどころか悪くなってますから。

そして若手は育たず、現行の職人は徐々に減っていく、衰退の流れですね。ただ、AIやロボットに変わるにはまだ30年ぐらい必要だと思います。

現状を改善する為には、集団の力(労働組合等)が必要で、最近各地で起こっている、港湾のストや自販機業者のストみたいに、過去に無い動きが必要だと感じています。建設業だけでなく、日本全体の労働環境が変わるべきだと思っていますし、もうその時期だと感じてます。

日本中が限界まで膨らんだ風船状態のイメージなので、どこかで切っ掛けを作れば、弾けて大きなムーブメント引き起こすと思ってます。
足掻くしか無い。そんな気持ちです。』

Q.
ありがとうございました。何もしなければ何も変わらない。足掻くしかない。。。なんかグッとくる言葉でした。
最後になりますが、コゲさんからこれは何か伝えたい、言いたいことなどはありますか?


コゲさん
『日本人は「主張」する事が苦手で、特に職人は寡黙な人も多く、アナログ人間も多いです。
選挙しかり、でしゃばらない、荒立てない、発言しない人が多いのです。

もっともっとみんなの声が欲しいですよね。
どんどんみんな煽って下さい( *´艸`)』

※インタビューは以上になります。快く引き受けて頂いたコゲさんには厚く御礼申し上げます。


多くの経験、時代の流れを見てきた現役の型枠大工さんから聞いた話は、育成環境の悪化、単価の低下や仕事内容の増加、形だけの福利厚生など、様々な部分の問題点がありました。重層請けの問題点も関わるでしょう。

何もしなければ何も変わらない。変えるには集団的な力が必要。もっともっとみんなの声が必要。

コゲさんのこうした考え方や価値観には、共感できる方も多くいるのではないでしょうか?
記事を書いてみて、僕の価値観や考え方と違いがあっても、再度考えさせられる事もありました。そんなふうに、皆さんの考えや行動、そんな部分を少しでも揺り動かす何かになればいいなと思っています。


次回、第3弾は未定ですがお楽しみに〜
(誰にインタビューするか未定、自薦、他薦あれば教えてください笑)

以上、今日もご安全に!

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