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がんのこと、アイドルのこと、クラポのこと/『Remember Girl's Power !! 2022』Day2-session1

父のこと

2020年2月xx日
最愛の父を見送った日のことは今もおぼえています。最期の瞬間……正直ドラマみたいにガクッとなるわけじゃないし、お医者さんもいなかったからどこが最期かよくわからなかったんだけど😅、けれど父がこの世に生きていた最後の最後に同じ空間にいられて、届いたのかどうかはわからないけど声をかけることができたのは幸運でした。

父は前立腺がんを患っていました。
世の中の人にしたら、後期高齢者のおじいさんが一人他界したにすぎない話ですが、やはり家族にとってはこの世に一人の大切な存在で、特に自分にとっては世界で最高に大事な人の一人だったわけで、今も心に空いた穴が埋まることはないわけです。

今日はCROWN POPが出演するということで「オンコロ × 豊島区 presents 『Remember Girl's Power !! 2022』」Day2-session1 へhttps://oncolo.jp/rgp2022/

我が家の場合

2〜3年前、自分が父の看病、というか父の看病をする母のケアだったり、両親と医療従事者の皆さんの間に入って話を噛み砕いて解説したり。週に二度三度と、片道2時間近い時間をかけて自宅と病院を行き来していた頃。

がんで苦しいのはもちろん患者本人だけれど、がんと闘うのは本人だけじゃなくて家族も含めてだし、多分、患者さんの分だけ、家族の分だけ、いろいろな形での病気との戦い方や付き合い方があるのだろうと、そんなことを感じていました。

当時の父は、抗がん剤の副作用が思いのほか強く出たり、せん妄(意味のわからない妄想とそれに基づく行動)がきつかったり、大変なことは山ほどあって、看護師さんともたくさん話をしました(お医者さんは残念ながらあまり話す機会がなかった。月に一回、数分ぐらい)。
ちなみに一番ひどい時期、父の頭の中で僕は警察に追われる身になっていて、父のところに助けを求めてきてることになってました。うわ言ではなく、その認識の上で会話をするわけです。むずかしい……。

正しいことを知るということ

そんなときに支えになったのは大きく二つあって、一つは父や母に対する愛情、そしてもう一つは知識です。
前者はまあ、父のことも母のことも大好きですという話なだけなのであれですけど、後者は、前立腺がんのガイドライン(標準治療の指針)を読み込んで、ときには論文も検索して読んだり、社会制度の資料をいろいろあたったり。病気に対する正しい知識をしっかり身につけるようにしていました。

きっといろんな患者家族が感じていることだと思うんですけど、目の前で苦しんでいる家族を見るのは何よりもつらいことで、ともすると医師がやるべきことをしてくれてないんじゃないか、もっと良い手があるんじゃないかなんてことも考えてしまいます。そんなときにやはり頼りになるのは正しい情報であり、知識であり、父に今起こってることを理解するために、勉強した内容は大いに役立ってくれました(し、悲しいけれど、エンディングの状態にあることを理解するに助けにもなってくれました)。

Remember Girl's Power !! 2022 へ

今日のイベントは小児がんとAYA世代(Adolescent and Young Adult/思春期・若年成人15〜39歳)のがんに関する各種啓発や治験へのチャリティーイベントとのことで、うちの父と状況は違いますが、がんに対する知識や情報はつねにアップデートしておきたいもの。今、目の前にがんにまつわる状況はなくても、正しい知識は大きな力に、生きる支えになってくれます。

そして、こういう普段のアイドルフェスとは違うステージで、いつもまっすぐに自分を魅了してくれるCROWN POPがどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。わくわくしながら、池袋西口へ赴きました。

初めて参加する「Remember Girl's Power !! 」
進行役は今年5月までnotall に所属していらっしゃった佐藤遥さん。ついこのあいだまでアイドルだった方がそばにいてくれるのですから、きっと出演するアイドルさんたちも安心。そして、ご自身もがんサバイバーでフリーアナウンサーの笠井信輔さん。以前からおなじみのやさしくて穏やかな語り口で、患者体験も交えてお話しくださることが耳にスムーズに入ってきます。

冒頭のオンコロ・コンテンツマネージャーの柳澤さんのあいさつでは、なぜこのイベントが開かれているのか、そしてなぜ女性アイドルグループの参加を仰いでいるのかという話を聞き、なるほどと納得しつつ、今日のイベントはnotallさんのライブからスタートしていきます。

notall と Gran☆Ciel

ピンクの衣装も鮮やかで、すごく溌剌とした5人の皆さん。アメリカ出身の音井結衣さんはオンコロライブのグローバルアンバサダーを務めて、日米両国の言語で情報発信されてるそうで、ただ呼ばれたから来てるんじゃないんだよという、グループ全体の誠実さも伝わってきます。

notall の皆さん

次いでステージに登場したのは、Gran☆Cielの7人。個人的には六本木アイドルフェスで拝見して以来の「二度目まして」で、あのときも今日も、グランシエルの名前にふさわしい屋外だなあと思ったり。ライブは六本木での印象と同じで、ふざけたり、おどけたりということがなく、汗だくになりながらひたむきさが伝わってくるパフォーマンス。メンバーの中には、お母様が今まさに闘病中という方もいらっしゃるそうで、一日も早く快復されるよう願いつつ、7人の素敵なステージに拍手を贈らせてもらいました。

Gran☆Ciel の皆さん と 大きな空

今日、ここに行ったからこそ知れたこと

しえるさんのライブ後にステージに登壇されたのは国立成育医療研究センター・松本公一先生。
コンパクトにまとめてくださったお話から、今の小児がんを取り巻く環境を知り、先進国では80%以上が治るようになっていること、しかしそれは必ずしも後遺症や合併症と無縁ではないこと、治るといっても辛い闘いを子どもたちは乗り越えていること、そして親御さんと引き離されるコロナ禍の入院生活でビデオチャットがいかに心の支えになっているかなどなど、短い時間で数多くのことを教えてもらえました。

こちらもきっと患者さんの数だけ、ご家族の数だけ、さまざまな形の闘病があって、「治る病気になってきている」という言葉だけではまったく伝わらない、苦しくて大変な苦労があるのだろうと思います。自分に出来るのは、それを想像することぐらいしかないんだけど、これからもっと世間の認知や理解が進んで、多くの小児がん患者さんとそのご家族の負担が軽減するように願わずにはいられません。

この後、CROWN POPのライブだったのですが、それは一旦飛ばして……
(と言いつつちょっと追記)
クラポのライブ後のトークセッションで、笠井さんから「以前はがんの告知もしないケースがあったんですね。(死を想起させるような)あまりにもつらい話だから本人には伝えないでおこうみたいな」というような話があったとき、クラポの5人がすごく驚いた顔をしていたのに、おじさんは驚いてしまって……。
ある一定の年代以上の方なら、がんの告知ってすごく大きなテーマで、(具体的には思い出せないけど)それだけで映画やドラマのテーマになり得るような話だったわけですよ。それが今や、クラポ世代には、告知を躊躇していた時代があることすら知られていない。それって、それだけがんが治る病気になってきたということだし、がん医療が長足の進歩を果たしてきた証ですもんね。すごいなあ。ありがたい時代に生きてるんですねー。
(追記ここまで)

クラポのライブ後には聖路加国際病院AYAサバイバーシップセンター・橋本久美子さんからAYA世代のがんについてのお話。
この世代の患者さんはがんを患うことが、病気の悩みだけではなく、個々の人生そのものの悩みにつながること。進学、通学、就職、恋愛、結婚、出産……。ハイティーンから30代にかけては性別を問わず、病気を患ってない人だって悩みが尽きない年代です。そこにがんが加わることで、どれだけ悩みが深まることか。
そしてAYAサバイバーシップセンターのように、仮にその病院に通院していなかったとしても相談できる窓口が増えていること。精子や卵子の凍結保存が可能になり、化学療法等による不妊に対する備えも可能になっていることなど、こちらも今まで知らなかったことを知ることができ、本当に良い機会を頂戴しました。

そしてトリはまねきケチャさん……だったのですが、自分的にこのあとちょっと用事があったのでここで失礼。ごめんなさい。きっと素敵なステージだったことと思います。

ここからクラポ

すごく感じ取れることの多いイベントだったので、ここまでダラダラとえらく長く書いてしまいましたが、さてクラポのお話(ようやく)。

笠井信輔さん、佐藤遥さん と CROWN POP

今日披露したのは4曲(alright!,Cheerful Butterfly,僕らの証,LIFE)。
つねづね、自分の勝手な解釈ですが、CROWN POPは多面的な引き出しを持っていると思っていて、それはかわいいはもちろんのこと、かっこいいであったり、ひたむきであったり、切なさであったり、楽しいであったり……。

そんな中でも「寄り添う」「ともにある」ということを感じさせてくれるのも、この5人のすごく輝かしい特長だと思っていて、今日はオンコロライブということで、誰かに寄り添いながら、ともに未来に向けて歩みを進めていこうというメッセージにあふれた曲目だったのではないかと、そんな風に感じました。

どんなときも(Hey!)
その笑顔でGonna be alright!
CROWN POP alright!/作詞:IMAKISASA
扉を蹴り開けて 飛びたて大空へ
Cheerful Butterfly 夢をあきらめないで
頑張る姿に力もらって もっと
ミラクル パワフル 私も頑張れる
CROWN POP Cheerful Butterfly/作詞:稲葉エミ
この歌がいつでも いつまでも
君のためになれるように
そう 同じ時間を紡いで
CROWN POP 僕らの証/作詞:こまつみえ
あなたと分け合える毎日の
全部が恋しくて
CROWN POP LIFE/作詞:NOBE


おそらく自分の両隣にいた方はポッパーさんではなくて、他グループのファンの方だったんだけど、明らかにクラポのときは大きく手拍子してくれたり、見様見真似で振りコピしてくれたり。
会場の空気に煽られるようにクラポのステージを楽しんでくださっていた様子が伝わってきて、本当にうれしかったし、それだけ会場の一体感を作り上げたメンバーの頼もしさよ……。

アーカイブを見られないので正しい文言はわからないのですが、途中、いぶいぶ(三田美吹さん)が「私たちのライブから、元気だったり、勇気だったり、人それぞれ違うと思うけど、いろんなことを感じてもらえたら」みたいなことを言ってましたよね。
ここで「人それぞれ違うと思う」って言葉にしてくれてるのが誠実だなと思うし、ファンとしてはすごくうれしいんですよね。

がんの闘病と同じで、応援しているアイドルグループにファンが向き合う姿勢、ライブへ参加する心持ちって、十人十色、千差万別。すべての人の分だけいろいろな感情や状況がある中で、クラポはちゃんとそれが違って当たり前だと感じてくれてるんだと、こっちが一方的にそう感じてるだけですけど、でもそんな気持ちが伝わってくるのが僕としては本当にありがたいんです。
なんか、自分もこの人達を応援していていいんだっていう気がしてくるっていうのかな……よくわかんないけど、安心する。

だんだん期間限定ロングヘア(エクステ)が板についてきたりなてぃー(里菜さん)は、今日も芯のとおった歌声でチームをリードしてくれたし、Cheerfulを踊ってるときの田中(田中咲帆さん)はとにかくニッコニコのニッコニコで楽しそうだったし、あいたん(藤田愛理さん)はいつもどおりすごく情感あふれながらに前向きなalright!を披露してくれたし、LIFEでのみぃあ(雪月心愛さん)はどのパートもすごくファンに対する心持ちが伝わってきて、そりゃ神様に「イジワルだ」って言いたくもなるよなと(笑)。
そしてそして、僕らの証のいぶいぶ、特に2番のサビが近づいてくるときの「来るぞ、来るぞ……」というドキドキともわくわくともつかない高揚感とそこからのカタルシス。今日も圧倒的でした。

本当に満足のライブだったし、満足のイベントでした。
オンコロさん、豊島区さん、笠井信輔さん、佐藤遥さん、ほか関係者の皆さん、素敵な機会を本当にありがとうございました。
個人的にはせっかくの機会なので、クラポをはじめとしたアイドルの皆さんが専門家の方の話を聞いて、どんな感想を持つのか、講義的な形でのセミナーも見てみたかったけど、それはまた来年以降の楽しみにしておきます。

そして、CROWN POPの5人は今日も最高のライブをありがとうございました。
この5人ならどこへ出ていっても大丈夫。絶対にもっともっと魅力が世の中に広がっていくはずだと、強く感じられる時間でした。
次は10日(土)のいぶちゃんの生誕祭。今日のライブでクラポに関心を持った方が、お一人でも横浜ベイホールに足を運んでくださいますように。

9/10(土)@ Yokohama Bay Hall 三田生誕LIVE「CROWN POP BIRTHDAY!」
https://eplus.jp/sf/detail/2160890001


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