夫の失言の巻

当面買い物に行かなくて済むよう様々取り揃えてきた
娘の段取りの手早さに感心しながら感謝。

玄関で倒れたままそこで寝させているのをシーツ毎引っ張りながら、隣室に移して娘は帰りました。

2週間後に入院するというのに、倒れた主人の洗面の準備や、お湯で体をふいたり、飲食の上げ下ろし等世話をする日が始まりました😅

「あ~すまんね、お前の世話をしてやるつもりが、俺がこんなことになって、すまん。」

私は笑いながら「ホント、ホント。しっかりしてよね。
こうなってしまったのは仕方ないから、早く治すことしかないね。」

私はその頃、階段の登り降りだけでくたびれてしまう時だったのですが、夫の泣き言をきいては、励ますということを繰り返しました。

「ガンのことで心配かけてしまったけど、私は大丈夫。入院して治療を受けたら良くなるし、頑張るからね。」

夫を慰めるつもりで言っているのですが
「肺癌は治りにくい。なんでもっと、早くに健康診断を受けにいかなかったんや!
俺は、それが残念で仕方ない、なんでここまで悪くなるまでほっといたんや、残念で残念で…。」と
同じことを言っては号泣する主人。

今の私にかける言葉じゃないのが、わからないのかなぁ?

何度も言われているうちにある日
なんだか可笑しくなってきて、
やーめた!夫をただ慰めるでは意味がないから止めよっと!…と決めました。

「私に後悔しろと促しているの?お互いに後悔して、何かいいことがあると思う?
入院して、治療を受けて良くなっていこうと頑張る私の気持ちをへし折りたいの?」

スイッチをいれてある日わざと、ちょっと強めに言いました 笑

これには、夫も
「いや、そうではない…」
あとは言葉が出ずきまり悪そうにしてそれ以上この件は言わなくなりました。

すると今度は
「庭で育てている野菜が枯れないかと気になるから、水をやってきてくれるか?」というので吹き出して
わらってしまいました。

ふつう、ステージ4を宣告された妻にそんなこと頼む?笑笑

もう私が死んでしまうと思ってあんなに泣きながらも、
それと同時に野菜のことが気になっている様子が漫画みたいで
笑えてきたのです。笑笑

でもまぁかなりしんどかったけれど、夫に言われたからじゃなくて、
私が新鮮な野菜を食べたいと思うと体は動きました。

「すまん、すまん!水をやってくれたのか、ありがとう」


また、こんなこともありました。
「お前は、骨にも転移してるから、最期は痛みで相当苦しくなるらしいから、それだけはかわいそうで、避けてやりたい。その痛みを軽減する専門の病院へ初めから、入院させた方がいいかな?と布団の中で色々考えたりしてて」と話している途中で声が詰まらせながら泣くのです(普段は何事に対しても、超強気な人)

苦しまないようにと、心を砕いてくれる優しさは分かるけれど、いま、そのはなし?というかんじ。

全てがそんな調子で
娘がいる時は
ほらほらお父さんがまた始まった(^_-)と目配せをして、
娘たちと呆れて目で笑っていたことが多々あり。

昨年、肺癌で亡くなった夫の親友。
「あいつは余命半年と言われて、2年は生きた。
お前も、なんとかあと5年は頑張ってくれ!それ以上は言わん、そこまで生きてくれたらもうええから。」

…人の為に、私が生きたり、死んだりなんてことはないのに…

「あらあらー、お父さんより私の方が長生きするかもやん」
と、ふざけたら
「それはない!」言いきった真顔が可笑しくてまた吹き出した私。

なにか言っては泣く父親の姿をみて娘たちがまずは、
お父さんのケアをしてあげないとね~と
夫が希望を持てるようにと娘ふたりが、それぞれに色んな方面から調べて、それを気休めや慰めではなく、事実としての話を未来に向けてたっぷりとしてくれた甲斐があって、主人は徐々に前向きになっていきました。

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