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【ライブ・ローズ・ランチ】 #2

打ちっぱなしのコンクリート、手を伸ばせばギリギリ届きそうな小さい窓から光が差す午後。ソファの両端にアイドル二人。
「うう゛~~カラダがシロノワールを欲している~」
ひじ掛けに上体を預け唸る緑髪。
「おっ行くか〜?ならこっちはカツパンに…」
乗り気の紫髪を慌ててさえぎる
「行かない!…行けないよ」
「あーヤバいんだっけ?質量が」
「質量言うな!合ってるけどさぁ」
「昼も普通にしっかり食べたしなーやめとくか」
「うう、シロノワール…」

一度会話が止まる。ほどなくして緑髪は再度未練を吐き始める。
「何か良い方法は…あ、そうだ」
天啓を得たような顔、既に呆れ気味の顔の紫髪。
「あった?上手いやり方」
「シロノワールの逆でさ、クロノワールってあったじゃん?」
「それはあったね」
「クロノワールはシロノワールの逆だから、両方食べればお腹の中で対消滅してカロリーゼロにならないかな!?いけるんじゃない!?」
「上手くないわ〜〜〜!まず逆でもないし〜」
「うっ、逆は無理があったか…」
「そもそもシロとクロが対(ツイ)になってるだけで"ノワール"の部分は一緒じゃん。ノワールって確か…『黒』って意味だったよね?何語だっけ」
すかさずスマホを取り出す二人。検索勝負、先手を取ったのは緑髪だ!
「フランス語!」
「負けたわ。じゃあ逆の白は?」
「えーと"フランス語 白"で…『ブロン』だって」
「じゃあシロノワールの逆は正しくは『クロブロン』ってわけだ」
「クロブロン!よしクロブローン!これなら対消滅いけるよね!?」
「ダメだと思う」
「ひぇ〜〜〜」
うなだれる緑髪。

静寂ののち、ふと紫髪が話し始める。
「…いや、あるかもしれない。」
「え?」
体を起こし紫髪の方を見る緑髪。
「そもそも考え方にミスがあったのかもしれない」
人差し指を自身の眉間に当てる紫髪。まるで名探偵だね。
「ミス…?」
「言葉の意味だよ。シロノワールの"ノワール"は…」
「もしかして、フランス語じゃない?」
「そう!そして"ノワール"の真の意味は…『カロリーの、罪人』」
「白の…悪(ワル)…ってコト!?」
「だから"真の逆シロノワール"は…"クロノヨーイ"!!!」
「モンスターファームじゃんか」
「ヨイワルって意図は分かるけどヘンな言い回しだよね」
……

〜30分後〜

ここは平和な例の喫茶店。結局来ちゃった
「食べると決めたら後悔しない!」
意気込む緑髪
「話してたら私もそっちの気分になったわ」
ニッコニコの紫髪
「お待たせ致しましたご注文お伺いしますー」
「私クロブロロローン!」
「こっちは白のヨイワル!」
「え…はぃ?」
店員さんごめんね

おわり


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