自然と人間、それぞれの「時」の集積が生み出した輝き〜「カルティエ、時の結晶」展〜

つい先日、意を決して長年の憧れだったタンクソロを購入したこともあり、「カルティエ、時の結晶」展が気になったので行ってみました。
購入のきっかけは、アンディ・ウォーホルが愛用していたから。
彼はタンクを「身につけるのに最高の時計」と言っていて、時計としての機能はどっちでもよかった(ネジをずっと巻かないでただ付けていただけ)そうです。
ポップアートのスターにここまで言わせるほどの魅力ってすごくないか?と思い、彼だけでなく、タンクにも強く興味をひかれていたのでした。

さて、ようやく本題の「カルティエ 時の結晶」についてですが、今更ながら気づいたことがありました。
それは、カルティエが挑戦するブランドだったということです。
老舗のブランド力で十分生き残っていけるのでは?思っていただけに、「挑戦」という言葉はしっくりきませんでした。
3代目のルイ・カルティエが中東やインド、中国や日本の造形文化を積極的に学び、ジュエリー制作のインスピレーションとしていた点、また、ルイの後を受け継ぎながらも、女性ならではの発想で新しいモチーフ「パンテール」を世に広めたトウーサンの存在。
参考にしていた資料や作品の展示を観ながら、彼らの創作姿勢はものすごく貪欲だったことが知れました。確かに、ヨーロッパのブランドなのに配色が東洋的だと感じていたけれど、その理由はここにあったんですね。

長い時間を経て結晶が大きくなり、宝石が生まれる。
またその壮大な時間を凝縮した宝石は、人間の長年の試行錯誤によって新しい形となり、より一層魅力を増していく。
自然と人間がそれぞれに、長い時間をかけて生み育ててきたその壮大な時の流れを感じさせる展示でした。そして、その大切な時の流れを知った上で、カルティエのジュエリーをあらためて見てみると、その魅力も前回とは異なる魅力を発揮しているように感じました。
また、その時の流れを象徴するかのようなカルティエの時計。

時代に寄り添い、常に革新を続けてきたカルティエのクリエイションの重みをいつも腕に感じながら、私も背中を押されたような気がしました。

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