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私は一度も離乳食を作ったことがない

私は合理的なことが好きだ。合理的なことが子供や家族にとって最適なら、尚好きだ。長女は今2歳でとっくに卒乳したが、私は今まで一度もいわゆる「離乳食」を作ったことがない

我が家の「食」事情

旦那がイスラエル人だからかもしれないが、我が家はワンプレートご飯を好む傾向にある。パスタ、ひよこ豆の煮物と玄米、お蕎麦、サラダ、なんでも白い大きめのお皿に盛り付ける習慣がある。和食を作っても、カフェのワンプレート風にお皿に盛り付けている。

洗い物も少ないので時短。節水もできてエコである。食器も揃える必要がないので、モノを増やしたくない私たちには最適の食べ方だ。

そんな我が家に生まれた長女が、2021年の前半にいよいよ卒乳に向けた食事を開始する時期が来た頃だった。

煮た野菜をペースト状にしたり、すり潰したりするのは無理だ、面倒だ。

と、私は途方にくれていた。料理を作るのは大好きだが、離乳食は美味しそうに見えなかったので作るモチベーションがゼロだった。

BLWとの出会い

離乳食を始めるにあたり、開始時期や何から食べさすかをネットで調べているとBaby-Lead Weaning (BLW)という概念を発見した。従来の離乳食とは少し変わった考え方で、ざっくり下記のような違いがある:

  1. 開始時期:従来は早い人で4ヶ月から開始 vs. BLWでは6ヶ月頃から

  2. 基本的な考え方:従来は、食べやすく調理したものを大人が食べさせる vs. BLWでは素材にあまり手を加えず手掴みで本人に食べてもらう

  3. 内容:従来の離乳食は「赤ちゃん専用食」vs. BLWは一家揃って同じものを食べる(赤ちゃんもみんなと同じものを)

要するに、①家族と同じご飯でOK、②赤ちゃんに食べさせるという行為が省ける。この2点だけで私は乗り気だった。

BLWのメリット

Baby-Lead Weaningとは英語で、ざっくり訳すと「赤ちゃんが先導する離乳」である。なので、大人が主導して「何を食べさせる」か考えたり、食卓で座って待つ赤ちゃんにスプーンを運んで「食べさせる」という概念からは180度逆である。
バナナやアボガドなど、歯茎だけで噛み砕ける食材からスタートし、なるべく素材の形を変えずに赤ちゃんの前に置く。その食材に興味を持った赤ちゃんが自ずと手を伸ばし、口にその食材を運ぶ。

そこから少しずつ食べられる食材を増やし、早い段階から家族と同じものを(手掴みで食べやすいように切った上で)食べることができる。もちろん塩分はゼロか控えめにする。

驚くべきなのは、赤ちゃんは生理的に食べられないサイズのものを口に入れると喉の奥から「オエっ」と吐き出す機能を持ち合わせているので、案外喉を詰まらせるリスクが低い

この方法で卒乳した娘。
2歳になった今、振り返るとメリットがたくさんある:

  1. 食材の色、食感、手触り、匂い、味の全てを赤ちゃんが探究できる。食ベることに対する興味が湧く

  2. 興味が湧くまま食材を触ったり舐めたりしてから食べているので、特定の食材に対してトラウマや苦手意識が無い

  3. 不思議と好き嫌いが無い。(これはネットでもよく出てきたメリット)

  4. 野菜をすり潰したり、どろどろのお粥を作る必要がない。ご飯の準備が楽

  5. 色々な状態での食材を試してきたので、生野菜もOK。ドレッシング無しでピーマンや人参も生で食べます。(1歳半頃から)

  6. お出かけが楽(親と同じものを食べるため)

  7. 大人と同じスパイスや味付けを食べてきたので、味覚が発達している(酸味や苦味のある味付けも大好き)

BLWのデメリット

BLWに限ったことではないかもしれないが「いつも家族と同じ」ものを食べている生活しかしていないので「大人用」「子供用」のおかずや間食の概念がない

となると、お察しの通り、子供に食べて欲しくないものを、子供が見ているところで食べるわけにはいかないのである。

ちょっと食後にチョコレートを一欠片、なんて思ったら子供にもあげるしかない。おやつも同じものを食べるので、大人は高いタルト、子供はプレッツ、というわけにもいかない。

まぁこれをデメリットと思うかは人それぞれだが…

それから強いてもう一つ:とにかく食卓が汚い。マットをハイチェアの下に強いて、食後はしばらく拭き掃除をしていた(笑)

周りの理解

ちなみに、私の例に過ぎないが、家族に理解してもらうにはBLWは少しぶっ飛んだ概念だったようだ。食卓で、ご飯を手掴みで好きにさせている光景は、まるで「遊んでいる」ようにしか見えないそうだ。

また、本来なら「おかゆ」や「すり潰した人参」を食べている月齢の子に、サラダや果物をそのままあげている。窒息の心配もよくされた。
この点においては、赤ちゃんの生理現象として、喉を通らないものは飲み込まない機能があるが、万が一のために窒息の応急措置は知っておいて損はないそうだ。

我が家では、絶対詰まらないサイズに切るか、詰まらない食感のもの(バナナなど)を出していたため2歳の娘は一度も喉を詰まらせることなく、今日に至る。

6ヶ月後に息子も離乳への道を始めるとき、我が家はもっぱらBLWに限る。それくらい合理的でメリットだらけだ。


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