見出し画像

ガレージキットの制作の流れ

2023.08.30加筆

norikazzです。
今回は普段行っているガレージキット彩色の作業の流れを記事にしてみたいと思います。以前記事にした土佐と重複(ちょうふく)する箇所も多いですが、予めご了承ください。

興味がある方のみ記事を読んでいただければと思います。


ここでは、私が普段行っている作業の流れを記載します。人の数だけやり方があると思って下さい。あくまでも一例に過ぎませんので、ふーん、くらいに思ってください。

作業の流れ
1.打ち合わせ
2.キットお預かり
3.パーツチェック(状態がひどい物は要相談)
4.仮組(湯口処理を含む)
5.表面処理(粗処理)
6.嵌合の確認(調整を含む)
7.仮組
8.表面処理(粗〜中目処理)
9.仮組(軸打ち)
10.彩色打ち合わせ
11.色見本作成(おまかせの場合は省略)
12.パーツ洗浄(超音波洗浄機使用)
13.基本塗装(エアブラシ)
14.色付け状態の確認(このまま進めて良いか)
15.加飾塗装(瞳塗装や筆塗りのウェザリングなども含む)
16.最終確認
17.仕上げ
18.展示台作成
19.写真撮影(自撮り、外注選択式)
20.納品

展示台(ベース)に関しては、付属の有無を事前に伺って用意します。最近ではベースに加飾塗装を希望される方が増えてきました。

上記の流れは一部ご依頼品として承った場合も含めて記載しました。

1.打ち合わせ
DMやメール、直接お会いし、相談を受けます。私もオールラウンダーではないので、制作物によってはご要望に添えない場合も多いので、まずはお話を伺い、制作可能かを検討させていただきます。

2.キットお預かり
引き受け可能となったらキットを預かります。

3.パーツチェック(状態がひどい物は要相談)
お預かりしたキットを開封して内容物の確認をします。パーツの欠品や壊れに関しては、写真を撮り通知します。双方で解決策を模索しますが、対応できない場合は作業を中止して説明し、承諾を受けた場合は返品処理をします。それでもそのまま使って欲しい、という場合もあり、その場合は免責事項を追加して双方合意の上作業を継続します。

パーツリストでチェック

破損やパーツ過不足に関して、交換対応期限内であれば頒布元に連絡したほうが良いです。自分でどうにかなると思っても、一声かけておきます。なぜなら、こういう事例があったという事実がわかれば、次回対策に活かしてもらうことができるからです。実際、そういう報告のおかげで見直しができた、という頒布元さんはいるので、SNSで拡散するよりは、直接連絡をしてみると良いと思います。

4.仮組(湯口処理を含む)
先ずは湯口を処理して仮組を行います。
湯口のないものはそのまま組みます。

仮組


5.表面処理(粗処理)
その他仮組時に問題となりそうなところを番手の粗いヤスリで段差を消していきます。

表面処理


6.嵌合の確認(調整を含む)
パーツの合いを確認します。

合いが悪い状態
調整後


7.仮組
調整しては組み、確認しては調整を繰り返していきます。

8.表面処理(粗〜中目処理)
360〜800番手くらいで処理を進めます。

9.仮組(軸打ち)

ドリルで穴を開ける
真鍮線を差し込む

軸打ちは特に決まり事はありません。目的はパーツが外れないようにすることです。ですから、最終的に接着してガッチリすれば大丈夫です。接着しない場合も、差し込むことでガタつき抑制したり出来ますので、軸打ちはしたほうが良いでしょう。マグネットを仕込む方法もあります。

10.彩色打ち合わせ
ある程度組めたら、どのような仕上げにしたいのかをもう一度確認とります(おまかせの場合は省略)。実際に立体物が見えてくると意識や認識が変わってくるものです。

11.色見本作成(おまかせの場合は省略)
打ち合わせが終わったら色見本を作り、先方へ送付します。写真で見る色味と実際の色味の違い、それに、双方の色味の認識のズレをここで最小限にする狙いがあります。

色見本を作る

色見本の送付は1回まで無料で行っています。

12.パーツ洗浄(超音波洗浄機使用)
打ち合わせが終わったら、色付けをするための準備を始めていきます。

洗浄し乾燥させたパーツ群

洗浄は専用の洗剤を用いて超音波洗浄機で洗浄します。乾燥はエアブローとキムワイプで水分を拭き取り、塗装ブース内で乾燥させます。すぐに乾くため、特に乾燥機などは使用しません。

13.基本塗装(エアブラシ)
基本塗装を進めていきます。主にベタ塗りのことを指します。テクスチャーのない単色塗り分けの工程です。

基本塗装をする

私が基本塗装で用いる道具はエアブラシです。ソリッド用、メタリック用、クリアー用を、広範囲用と狭範囲用でも使い分けています。ノズル径は0.2〜0.5mmを使い分けています。

14.色付け状態の確認(このまま進めて良いか)
上記の様なパーツを塗ったら、一旦先方に連絡を入れます。見本通りになるとこの様になりますよ、という連絡です。基本的にはそのまま進めることになりますが、場合によっては想定していた色味と異なる場合がありますので、早めに連絡を入れます。この時点で問題ない場合やこの時点で問題を解消しておくと、後がスムーズです。なお、おまかせの場合はこの工程も省きます。制作過程はSNSで随時更新しているため、そちらで進捗を確認してもらうことになります。

淡々と塗装が進んでいく


15.加飾塗装(瞳塗装や筆塗りのウェザリングなども含む)
基本塗装をおえたら、加飾塗装に移っていきます。テクスチャーをつけたり、陰影をつけたり、瞳を塗ったりと、仕上げに向かって楽しくも苦労も味わえる工程です。

肌に陰影をつける


時計の加飾(文字はデカール)


瞳塗装に関しては下の記事に載せていますので、宜しければご覧ください。

16.最終確認

全ての塗り分け工程が完了したら、パーツを全て組み上げて確認します。この時点で最終のご連絡をします。

全てのパーツを組み上げる


17.仕上げ
問題なしと判断をいただけたら、艶の調整をして完成です。

艶を調整して完成!


18.展示台作成
展示台(ベース)はこちらで簡易的なもの(アクリルベース)はおつけしています。ご要望によりベースを加飾する場合もあります。

ベース加工例1
ベース加工例2
ベース加工例3


キット付属のベースはキットの一部として取り扱いますが、これらベースは別途ご相談ください。

19.写真撮影(自撮り、外注選択式)
SNSで公開するための写真を撮ります。また、自分が作った記録として残すためにも大事な作業です。

簡易撮影

私は写真を取るのが上手ではないので、急いでいない時は知り合いのカメラマンに撮影していただいたものを掲載する場合もあります。

20.完了(納品)
全ての工程が終わったら、完了です。自分用ならこのまま展示会に出展したり、お店に展示してもらうことがあります。

イベント出展
依頼品は納品へ

如何でしょうか?やってることは皆さんと変わりないと思います。

ご依頼に関して

作れないけど欲しい!という方のお力になればと制作代行をたまにさせていただいております。個人の方で、もしご興味があればご相談ください。

たまに原型師さんからも非商業の個人用イベント用としてオーダーいただくこともあります。この場合、やや複雑で、彩色金額に塗ったものを含める、という場合があります。この場合は(つまり彩色見本が対価の一部としたい場合)、彩色料金から頒布価格を差し引いた差額を現金やキットを対価として請求することで承っておりました。ただ、打ち合わせの行き違いからトラブルに発展したこともあったので、現在はキットを対価として請求することはやめております。

当方は個人の方を応援している観点から、現段階で商業案件はお引き受けしておりません。また、引き受け出来る手技を持ち合わせていないのでお断りしているのが現状です。あらかじめご了承ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?