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カスタマーパスにおけるインサイドセールスの役割

日々是ベストプラクティス、noriharaです。

今日は、カスタマーパスにおけるインサイドセールスの位置づけと題して、インサイドセールスに期待される役割を書いてみる。本稿では、インサイドセールスの役割として、「インバウンドリードへのマーケットレスポンス」の役割と「アウトバウンドでのリードジェネレーション」の役割の双方を念頭に置いている。

【目次】
・カスタマーパスとは
・インサイドセールスの役割は?
・踏み込んだ検討例

・カスタマーパスとは
「顧客が課題や機会と向き合い、情報を収集し、決定を下し、ソリューションを導入するプロセス」のこと。具体的には、下記の図のように定義されている。

出典: バイロン・マシューズ, タマラ・シェンク(2019):"営業力を強化する世界最新のプラットフォーム セールス・イネーブルメント", p.68

認識フェーズがマーケティング施策、購買フェーズがセールスによる商談推進、導入フェーズがオンボーディングとカスタマーサクセスの活動であるとすると、インサイドセールスは認識フェーズと購買フェーズの間に位置づけられることになる。

インサイドセールスは、マーケ部門で作られたホワイトペーパーやキャンペーン施策などを用いながら、自社を認識していない顧客にアプローチをすることもあるかもしれない。
しかし、ほとんどの場合は何らかの認知を獲得している顧客に対するナーチャリングの役割が期待されることが多いだろう。

そして、インサイドセールスは、セールス部門(ここではAEのこと)が担うクロージングまで期待されていない。
むしろ、自社のターゲット企業でなければ情報提供はしつつ継続の対応はお断りすることもあるし、自社のターゲット企業だとしても、すぐにアポイントを獲得するのではなく、相手の関心や事業の状況を把握して、自社が提供できる価値を理解してもらえるまで引き上げていく活動がメインになる。

相手の状況に共感を示し、相手に適応した情報提供を継続しつつ、場合によっては相手が気づいていない真の課題や目指すべき理想状態を指導することにも取り組みたい。

・インサイドセールスの役割は?

上記の前提のもとインサイドセールスをカスタマーパスに位置づけると、下記の図のようになる。

筆者作成

認知と購買の間で、顧客ひとりひとりの視点に立って、当事者化を進めるコミュニケーションが求められる。
自社のサービスを知っている状態(認識フェーズ完了)から、顧客の事業の中で自社のサービスを使ってみたいと思っている状態(購買フェーズ開始)に持っていくことが期待されている。

「当事者化」とは、主に、相手を以下のような状態にすることを指すと思っている。
1.「知っているだけ」の人に、「話を聞きたい」と思わせる
2.「(話を聞いて)わかってる(つもり)」の人に「自分が解決しなきゃ」と思わせる

「知っているだけ」の人に、「話を聞きたい」と思わせるには、信頼の獲得が必要になる。
そのためには、こちらがプロであることを会話の中でご理解いただき(「あなたの会社の**について、あなたが知らないことを私は知っています」的な)、話を聞かないことが損失であると気づいてもらい(「いま考え始めないと取り残されてしまうかもしれません」的な)、いま話を聞いたほうがよいと思わせる特別感(「いまだけ、ここだけ、あなただけ」的な)を演出してみたい。

さらに、「(話を聞いて)わかってる(つもり)」の人に「自分が解決しなきゃ」と思わせるというのは、態度変容を促すということに他ならない。
そのためには、理想状態を想起させ、自社の状況を把握することを支援し、課題と向き合うことを促し、自分が解決できると自信を持たせ、解決に向けてのロードマップをともに描くようなアプローチが必要になる。

・踏み込んだ検討例

当事者化の中身を認識フェーズの流入経路ごとに考えてみると、例えば、以下のようなケースがありうる。

①自社サイト経由での問合せ
自社サイトまで到達しているということは、相手は確実に自社のことを認識している。自社サイトまで来て調べなければならない理由があったのだろうか、資料請求をしようと思ったきっかけがあるはずだ。
自社サイトの何を見て、どんな資料やホワイトペーパーをダウンロードしたのか、ファクトに基づいて、深ぼっていくコミュニケーションをとってみたい。

②比較メディア経由での資料請求
比較メディア経由の場合、相手は自社を他社と区別して認識していない可能性がある。どんなテーマに関心があり、どのような課題認識を持っているのか、比較メディア経由ということは、テーマに対するソリューションの全体感を把握したいはずだ。
相手の現状の課題認識を明確にしたうえで、自社がそこにしっかりフィットしてソリューションを提供できること、他社との差別化のポイントをわかりやすく伝えておくことが肝要になる。比較メディア経由の場合、すぐに商談化しないことが半数くらいなので、検討タイミングが来た時に、自社が検討の俎上に乗るように意識してコミュニケーションをとってみたい。

③他部署からの紹介
展示会でたまたまであった人から担当部門の方を紹介してもらったり、過去に商談をした方から新しい担当者を紹介してもらったりあったり、といったことはよくある。(よくある状態を維持できるように、紹介してもらえるコミュニケーションを心がけたい。。)
紹介の場合、相手は自社のことを全く知らないことがあり得る。さらに言えば、現状の業務に対して必ずしも課題感を持っているわけでないことも珍しくない。
相手の業務の状況や達成すべき目標と現状のギャップ、相手の方が追っているミッションについてなど、関心を持って教えてもらうことが肝要になる。ヒアリングというと尋問になってしまうケースがほとんどなので、相手に共感を示しながら対話を深めていくスタンスで臨むのがよい。相手のことがわかったら、お伺いした内容を踏まえて、相手がまだ気づいていない課題を示唆し、より全体感のあるコンセプトを指導するようなコミュニケーションをとってみたい。

インサイドセールスを含め、BtoB Salesはつくづく奥が深いなと思う。
今日のところはここまで。

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