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11. 社員とコミュニケート(対話)する

■Keynote
市民の声を聞く政治家が必要なように、社員の声を聞くトップが必要です。声に耳を傾けないトップは、都合のいいところだけ聞いています。上司に対してものを言いづらい社員から、意見をうまく引き出し、それをもとに決断していく。これがトップとして当たり前なのに、偉くなったら上から下へドーンとトップダウン。だから売上、利益一辺倒になってくる。
By 安藤忠雄 (建築家)

■従業員に、経営に対する意思表明の機会を提供する
従業員の声を経営に反映させ、従業員と企業の間の利害関係の対立を調整するための仕組みとしては労使関係、制度的には労働組合が大きな役割を担ってきた。

だが、より大きな枠組みで捉え直すと、労働組合以外の方法はいくらでもありうる。

目安箱のように従業員個人から経営へ投書できる仕組みや、経営者が各部署と車座やラウンドテーブルを行なうことなどがある。

いずれにせよ、従業員が会社について思うことを意思表明できる機会を提供することが大切だ。従業員は経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報・技術)の中で唯一、心を持つ存在である。「自分は人として尊重されている」と思えるようにコミュニケートしていくことは経営において欠くことができない。

では社員の権利と経営者の責任を果たすために取り組むべきことは何か。「対話」を中心に据えることで、情報が上下双方向でやりとりできるようになり、あらゆる情報が経営に上がってくるようになる。しかも、社長自らが従業員の働く現場に出向いて行き、自然体で話しかけ、本音を聞くことから始めることが効果的だ。社長自ら出向くことで社長に親しみが湧き、本音を言いやすくなる。もし逆に従業員を社長室や会議室に呼び出すと、従業員は警戒し本音を言いづらくにくくなるだろうし、そうした会議では大勢の社員から何度も話を聞くことは困難であろう。

社長との対話を通じ、従業員に「経営に意見できている実感」「自身が貢献している実感」を持ってもらうことができたらそれは双方向の「コミュニケート(対話)ができている証だ。このレベルを目指して、従業員に向き合い、自ら話しかけ、現場の本音=改善の種をキャッチしていきたい。

人事には、社員と経営陣との対話の場をデザインし、ファシリテートし、双方向コミュニケーションを実現すること、聞こえてくる声を真摯に受け止め、施策に生かすことが求められている。

(並行参照:第4章-24.「社員全員が活き活きと働ける職場環境を実現する」)

■Let's Think!
 □ 過去にあなたは、自社の経営者とどの位の頻度でコミュニケートしていたか?その量は十分だったか?

 □ これから先、社員は経営陣とどの位の頻度・量・方法でコミュニケートしていけるだろうか?

 □ 対話の場をデザインする際に、大切にしたいことは、どんなことか?

 □ 対話の場をファシリテートする際に、大切にしたいことは、どんなことか?

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