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息子1のこと(2)

早いもので、もう1週間。息子1の試験の最終合格発表は先週火曜だった。

11月終わり頃に三次試験を受けて、長い長い待ち時間。受かってるようでもあり、ほんの何人か落ちる中に入ってるようでもあり。三次試験が脳波検査で出来不出来がないのもあって、自信は滔々と湧き出したり、カラカラに干上がったり。

しかし、順調に時は流れて、ついに発表の朝。あれだけ二次の発表の時に大騒ぎしたにもかかわらず、詳細な発表時刻が分からなくなっちゃって、朝ドラ視聴後からそわそわドキドキ。多分8時半かねぇと震える手でスマホを持つも、更新なし。

県ごとのページか、全国のページか、近隣県はどうか、強豪県はどうか、ぽちぽちポチポチ。まだ。まだだ。

「先に見ていい?」「いいわけないだろ」「えーいいじゃん?」「だめ、俺が先に見る」と二人とも不安と期待がないまぜな変なテンション。そして今回は殴られないようにちょっと離れて座って。

「やった、受かった」

軽い声が聞こえた。今思えば、上ずっていたのか? またまたー、と完全にその手には乗らぬの体で答えて、手持ちのスマホでページを更新したら発表になってた。

えっ、、あっ、、、

受かってるー!! 確かに番号がある。空からもスライド合格があるから、県名があるというだけでは息子1とは限らない。んだけど、ちゃんと番号まで、正真正銘息子1。

そこからはあまり記憶がない。すぐ書けばよかったのに、何してたんだか。二次試験の方が殴打事件という劇的なオチがあっただけに、なんとも印象の薄い最終合格。

とにかくまずは連絡を、と単身赴任中の夫にライン。「補欠?」と何度目か分からないボケをかましてきた。落ちても受かっても必ず返信は「補欠?」。もしかして渾身のボケ…?

それから、両実家と、友達何人かと加藤くんと会社の飛行機マニアの人とかにもお知らせ。自分のことじゃないのにおめでとうって言われた時、ありがとうって言っていいのかよく分からなくて、変な応答をしてみたり。

程なくインターホンが鳴って、通販で届くものあったっけ?と思って出たら、なんと合格通知。早い。素早い。

合格通知はそこそこ見て、その後の手続きのお知らせなどを熟読。ここでようやく、これを読める幸せがじんわりとお尻から上がってきた。(電気毛布を敷いたソファに座っていたからだ。) こっち側の人にしかできない体験が始まってるんだ、と思ったら、4月の入隊式でスカートがきつくてホックを気にしながらパイプ椅子に座って膝をつけて座るのは辛いなぁ、でも馬子にも衣装というか、やっぱり制服の息子1はカッコよさ10割増しだなぁとニヤニヤと手を組む自分が想像できて、可笑しかった。

なぜだかいつも、「その時」を想像する時、指先に神経がいく。お城に行って当時のままという板張りの廊下に立ったら、当時の人が着物の袖を触ってるのが見える。大きな会で慣れない挨拶をする人を緊張してるだろうなぁと思う時は、汗ばんだ手でハンカチを握りしめてるのが見える。イメージはいつも指先。指先が好きすぎて、笑っちゃうくらい。

さらに不思議体験があって、一昨日くらいに夕飯の買い物をして駐車場からマンションまで歩いて帰る途中、丸い大きな花壇の横で不意に「合格」が実感として襲ってきた。なんなんだ。夢なんて何にもなさそうだった息子1がとにかくスタートラインに立てたことが嬉しくて、ほんのちょっとだけ涙が出たかもしれない。

おめでとう、おめでとう。でも大変なのはここから。覚悟を持って飛び込んでいらっしゃい!

そういえば、二次発表の時に歪んだ眼鏡、まだ直してなくてちょっと緩い。直そうと思いつつ、それなりに馴染んできちゃって、これはきっとこのまま使い続けそうな気がする。

私を見つけてくれただけで充分です。そんな奇特なことはなさらず、美味しいコーヒーでも飲んで下さいね。お供にnoteを読んでもらえたら、それが何より嬉しいです。