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【体験談】期待値を追わないで -中編-

こんにちは。のりです。

この記事は3部作の中編です。前編を見ていない方は以下の記事を先にご覧下さい。


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まろんにカッコつけるために切り出した結婚式の想定外の費用に悶絶した私は、資金の足しにするために日々J-RUSH3の稼働に熱が入っていました。本業が終わってからは毎日稼働へ行く。土日も可能な限り稼働に時間を充てる。重度の期待値病の本領発揮です。

この店のJRUSHの客層は完全に高齢の常連客で固定化されていたのですが、その中に常連全員に顔が効くリーダー的存在の60歳くらいのおじさんがいました。その方は息子に代表を譲った中小企業の社長のようないで立ちで、金色のロレックスに髪はオールバックでポマードべっとり。台パンなど素行も荒いためまろんは隣に座るのを怖がっていました。

ただポマードは潜伏確変の可能性があるところでバンバンやめていくため、いつもおいしくおカマを掘らせて頂いていたのですが、僕がポマードが捨てた潜伏ぽい台で即当たりすると、移動先の台からこちらをぎろりと睨んできて、常連客とごにょごにょ陰口を言っています。

期待値稼働する上で常連客を敵に回すことは愚策なのですが、潜伏確変がおいしすぎたことと、この時はお金を稼ぐことに前のめりになり過ぎていて、自分の立ち回りを冷静に評価できていなかったのかもしれません。

そんな自分勝手な素行のプレーヤーに、期待値の女神が微笑むことはありません。JRUSHを打ち始めてから、年1、いや、5年に1回レベルの大欠損周期が訪れます。

とにかく当たりが引けない。連チャンしない。潜伏確変を拾っても突然通常で出玉無しで終わる。JRUSHを追い始めてわずか2か月で80万円以上の欠損を叩いてしまいます。

「ねえ、JRUSHの期待値計算て本当にあってるの・・?」
「あってる。ネット情報と手計算のトータル確率に大差ないのよ」

まろんも初めて訪れる大欠損に困惑しています。期待値稼働をしていると避けることはできない欠損周期。その対策は原則「とにかく期待値を信じて稼働する」しかないのですが、まろんは想像以上の金額に疑心暗鬼になってしまっています。

私自身欠損慣れしているものの時期が悪かった。結婚式の足しにしようと頑張っているのに結果がついてこない。稼働に熱が入っていた理由のひとつは、この大欠損で少し冷静さを欠いていたこともあるのかもしれません。

稼働に偏重するあまり、肝心のプライベートがおろそかになってしまいます。結婚式を4か月後に控えて、招待状の発送や式の詳細などを詰めていかないといけないのですが、期待値病あるあるで稼働以外のやるべきことを後回しにしてしまいます。もう明日には招待状の印刷をしないといけない段階で、私は招待客の名簿の整理すらできていない(まろん側はとっくの昔に完了している)状態。それでもその日JRUSHを打ちに行き、深夜遅くまで夜なべして名簿を完成させる始末です。

さらにこの頃自己管理できていない象徴的なミスを犯してしまいます。

本業の休日に朝からJRUSHを稼働しているとまろんからラインが入ってきます。

「あれ、待ち合わせ場所に着いてる?」

はっとしました。そういえばその日はホテルのプランナーと結婚式の音響を決める打ち合わせで、まろんと東京駅で待ち合わせをしていたのです。私はうっかり忘れていて朝から稼働に行っていました。今からすぐ東京に向かっても2時間以上掛かります。

「ごめん、明日と勘違いしてた。。音響打ち合わせはまろんに任せてもいい?」
「分かったよ」

今思うと、この時は謝ったのちに「すぐ向かうよ」が正しい振る舞いだったかもしれません。期待値稼働をしていると、稼働していない時間は機会損失となってしまうのでデジタルに行動を考えてしまいます。そこには、金額に換算できない「彼女の気持ちに対するフォローや思いやり」が完全に欠落しているのです。

トラブルは続きます。それから数日後にまろんと二人でJRUSHの稼働をしている時でした。ポマードがいつものように時短抜け直後の潜伏可能性があるところで上皿の玉を抜き、手元の箱を持って交換しに行きました。私はその時当たり消化中だったため、まろんにラインで「ポマードの台うって」と指示を出します。

まろんが台移動して打っていると、戻ってきたポマードが、なんとまろんの肩を荒々しく掴み、声を張り上げているのです。私は驚愕しまろんのもとに掛けつけます。

「お前、なに人の台勝手に打っとるんけ!」
「落ち着いてください!空き台だったから僕が彼女に指示して打ってもらったんです!」
「下皿にタバコ置いとるだろうが!これから打つのに何勝手にやっとるんだ!」
「・・・すいません、きちんと確認していませんでした」

状況を理解しました。ポマードは台をまだ打つつもりで、下皿にタバコを置いて台をキープしたまま離席しただけだったのです。私も当たり中だったため、台が完全に空いているかどうか目視確認しておらず、思い込みでまろんに指示を出していました。

上皿に入れた玉はそのままにしてポマードに台を譲り返します。まろんはかなり動揺しており、私の当たり消化次第稼働を中止し車で帰宅することにしました。ポマードは渡した上皿の玉と少しだけの貸玉を回して、その後すぐに離席していました。


「ごめん、俺がちゃんと見てなかったのが悪かった」
「・・・肩叩かれた・・。痛かった」
「本当ごめん」
「・・周りの人たちもニヤニヤしててすごく嫌だった・・」

それからお互い無言になり、車内は張り詰めた空気が漂います。しばらくして

「・・・・ひっぐ、・・ひっぐ、ひっぐ・・ふえええええええ・・・」

まろんが声を上げて泣き出してしまいました。

「えっぐ・・もういや。パチンコは勝てないし、結婚式の準備も真剣にやってくれないし。こんな怖い思いを何でしないといけないの・・」

大欠損、打ち合わせのすっぽかし、ポマードトラブル。
立て続けにやってしまった負の3連疑似連で、まろんの心は完全に悲鳴を上げてしまったのです。

「・・もう期待値を追わないで」

この日、JRUSHの欠損金額は100万円の大台を突破しました。


以下の後編に続く



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