《劇団四季 ウィキッド》2023.12.27 四季劇場[秋]
ウィキッド2回目。
初見では号泣しましたが、今回はストーリーがわかっていたので割と冷静に観れました。
ですが、最初と最後の真瀬グリンダの歌声は
無条件で泣けます😌
ウィキッド。
どの役に目線というか感情が入るかで
感想がかなり変わると思います。
そしてどの役にも善と悪が内包しています。
私は初見時、映画「オズの魔法使い」のみ予習をし、ウィキッド自体のストーリーは何も入れずに観ました。
一般的には聡明で優しく、正義感の強いエルファバがなぜ悪い魔女とされたのか、最終的にフィエロと結ばれ消えていく…という方に感情移入やすいのだと思います。
ですが、私。
初見も今回もグリンダ目線😅
世間知らずなお嬢様、みんなに愛される事を望みあざとく媚を売ったり、大好きなフィエロに一方的に突き進んで婚約したり…とやっている事はハチャメチャなんですが、実は事の本質は見抜いているんです。
「物事を別の角度から見ている」
フィエロとエルファバ、ふたりがこころを寄せ合うセリフとして出てくるワードなんですが、ふたりがそう話すよりも前に、グリンダはところどころでそのワードを示す言動を見せていて、その一言でエルファバはグリンダに何度も助けられているんです。
例えばそのうちのひとつ。
エルファバとグリンダが自分の秘密を打ち明けっこする…という修学旅行の夜にやりがちあるあるなシーン。
エルファバは、妹のネッサローズが先天的に脚が不自由なのは、自分が全身緑色で産まれてきた事を悲観した父親が妊娠中の母親におしろい草を食べさせ続けた結果。私のせいで母親は死に妹は歩けなくなった…
と、告白するのですが
グリンダはその話を聞き、特に同情する事なくあっけらかんと
「…それって悪いのはそのおしろい草で、あなたは全然悪くないわ(だから秘密事項ではない笑)」
と、話します。
(ちなみにそのシーンでグリンダが話した秘密は、フィエロに“サプライズ”で婚約発表をする!という…トチ狂ったものでした笑)
グリンダとエルファバ。
のちの善い魔女と悪い魔女。
ふたりを全く正反対のキャラクターにする事で示される「物事を別の角度から見る」
何不自由なく育てられたお嬢様のグリンダ
その姿から同級生だけでなく実の親からも迫害されてきたエルファバ
周りのみんなを愛し、愛されることを望んでいるグリンダ
誰からも愛されなくていいとみんなと一線をひくエルファバ
“魔法使いになりたい”グリンダ
“魔法を使えてしまう”エルファバ
そんなふたりがフィエロという王子と出会い、お互いに惹かれていくのですが…
さて。ここからやや辛口です💦
先にあやまります🙇♀️
大好きな方、ここでUターンしてください。
相当に他の方の感想やその考察と違うものと思います…
「物事を違う角度から見てるってことさ(ね)!」
フィエロとエルファバのセリフをお借りして
どんどん進めます。
このグリンダとエルファバが同時に好きになり、物語後半でそれぞれが持つ魔法のアイテム、ホウキ🧹と棒🪄をブンブン振り回して取っ組み合いのケンカをしてまでも取り合いっこをする
フィエロ。
初見の時にはさほど気にならなかったのですが、
今回。
登場からなんか…
イケスカナイ。(個人的な感想です)
一度そう見えてしまうと
もう最後まで違う角度でしか観れず…😅
初見で結末を知った上での2回目。
しかもグリンダ目線ですからね、ワタクシ。笑
終演後、すぐに娘に言いました。
私「…あのさ、フィエロのどこがいいんだろう。あの人、何にも考えてないじゃん。」
確かにイケメン。
♪ 人生踊り明かそうよ、何も考えずに[人生を踊り明かせ]
とか歌うし。
陽気で優しく女の子をエスコートしたりと女子との距離も近く、魅力的に見える。
グリンダが一目惚れしちゃうのもわからなくはない。
そこでグイグイグイグイグイグイ…とグイがいくつあっても足りないほどアピールし、強引に彼女になっちゃうグリンダも“アレ”なんですが笑
めちゃくちゃプリティなお嬢様グリンダに言い寄られ、テキトーに付き合っちゃうあの感じ。
まぁそこまではフィエロもグリンダもどっちもどっち笑…なんで、流せるんですが
次第にどんどんエルファバに惹かれていくんですよ。
聡明なエルファバに惹かれていくのは仕方ない。
でも、あの男フィエロ、一切謝らない。
「ごめんなさい」を言わない。
グリンダの気持ちを考えず、自分の感情のみ。
再び、終演後。
私「…あのさ、ふたりともフィエロのどこがいいんだろう。」
娘「なんで?」
私「あの人、何にも考えてないじゃん。」
娘「あー…だからカカシなんじゃない?」
(以下、完全ネタバレです)
「オズの魔法使い」で登場する
“脳みそ”が欲しいカカシは…
エルファバの魔法でカカシに変えられたフィエロ。
「君のおかげで自分を変えることができた」んだってさ。
カカシになったフィエロと水をかけて消えた(と周囲の人々に思わせた)エルファバはふたりの想いを成就させるため、姿を変え、消えた(死んだ)と見せかけてオズの国を出て行きます。
グリンダにその“事実”を伝えないまま。
やい、フィエロ!一言、謝れやーーーーっ!
これが観劇2回目。
グリンダ目線(ひいき)の感想でした😅
◆
一般的には
それまでの人生で迫害を受け続けてきたエルファバが「生まれて初めて、しあわせ」と言い、フィエロと結ばれるストーリーに感動するのだと思います。
ですが、前述したとおりこの「ウィキッド」という物語、登場人物ひとりひとりにそれぞれ「善」と「悪」が内包されていて、どのキャラクターに感情移入するかで感想がかわります。
グリンダ…人気者になりたがりなお嬢様、自分で「私はいい人だから」ととにかくあざとく振る舞う。初めはエルファバの見た目を揶揄い、イケメンフィエロにグイグイアピールし婚約までしてしまうという相当な反感を買うキャラ。
なんですがね…
このブリッコ(死語)さとか、バカ明るさとか、フィエロの気持ちをなんとか引こうとする姿とか…とにかく“一生懸命”に見えるんです。
“一生懸命”というよりはめっちゃ自分に“強迫的”。
いい人でいなくちゃいけない
周りから評価されなきゃいけない
誰かから愛されるためには自分が愛さなきゃいけない
そんな“強迫的”な“一生懸命”が垣間見えてしまう。
それが空回っている事、グリンダは百も承知。
▲ グリンダは全てわかってる…😭…からの、愛し合うふたりのデュオ😔
物語の結末は…結局、グリンダの願いは何ひとつ叶わない。
フィエロに気持ちを受け入れてもらえない。
魔法は使えない(身につけていない)。
人気者、いい人でいなきゃいけないという“強迫的”な部分は解消されず、「善い魔女」でいるというエルファバとの約束に縛られたまま。
グリンダだけが「願い」や「自由」を手に入れなかった気がしてしまったんです。
自分軸が強く自分勝手なようで、実は人の評価で自分を保つ他人軸なグリンダ。
妹の世話をしたり弱い者に対して優しい他人軸なようで、自分軸がしっかりしているが故、しあわせを掴み取れたエルファバ。
前回、ウィキッド初見の感想で
自らの人生は自分で切り開き、掴むもの。
誰かの幸せの裏には、それを掴み取れなかった者がいる…
と書いたのですが
自らの人生を切り開こうとするも掴めなかったグリンダが「善い魔女」としてオズの国の人々のために生きるという自分の宿命を受け入れた気がします。
そこにはあきらめもあるように見えてしまう…切ない…
それを踏まえて聴くウィキッドの冒頭と最後…グリンダのソロ。
あの歌声…真瀬グリンダの歌唱。
めっちゃ泣けます😭
あと1回、チケットがあるのですが…
エルファバに気持ちを寄せることが出来るかな😅
◆
長くなったので自分メモとして次回書きたいポイント。
ウィキッド最大の名曲
[Defying Gravity ]
劇団四季による邦題は[自由を求めて]なんですが直訳は[重力に逆らう]。
これ、圧倒的に直訳の方が内容に合っているんです。
[自由を求めて]という邦題に引っ張られ、初見時に「あの曲…思ってたんと違う!」と思ったのかもしれません。
ってことを次回書くか、そーっと追記します。笑