〈劇団四季 ゴースト&レディ〉2024.5.18 S 四季劇場[秋]
観てきました。
観劇後、初見の第一印象
「なんという幸福感」
120%のハッピーエンドではないのですが、
しあわせな空気に包まれる感覚。
◆
「近代看護教育の母」ナイチンゲール。
上流階級に生まれ、女性は家庭に入る事が当たり前だとされてきた時代、神の啓示…神の声を聞き、それに従い家族の大反対を押し切り看護の道へ。
近代看護教育の基礎を築いた、誰もがその名を知る偉人です。
そのフローレンス・ナイチンゲール[フロー]の活動の裏には、
彼女を励まし支えるゴースト[グレイ]の存在がいた…としたら。
本作の原作は
藤田和日郎氏の
「黒博物館 ゴーストアンドレディ」
という講談社発行「モーニング」に掲載された
漫画です。
この作品を劇団四季がミュージカル化するにあたり、ミュージカル「ノートルダムの鐘」を演出したスコット・シュワルツ氏を迎え、彼を中心に各国の精鋭たるクリエイターが集結。
企画を演出家に持ちかけたのが2019年だということですから、足かけ5年を経てようやく開幕を迎えました。
ちなみに私は予習と称して原作漫画を読みました。
ナイチンゲールについてかなりのざっくり知識はあったものの、正直知らないことばかりでした。
もし、これから観られる方は
ナイチンゲールについて少し知識を入れておくとストーリーがわかりやすいかもしれません。
こちら、日本赤十字社の動画をお借りし添付しておきます♪
◆
いつもながら
前説が長くてすみません。
ネタバレ(なるべく)なしにしようと思うので、今回は「感想」のみにしたいと思います。
私は原作を読み、ストーリーを把握していたので、原作に忠実な場面、カット(改変)した場面、舞台化にあたり漫画の世界[絵]を表現どうしたのか…等を観ることができました。
また、原作が史実に沿っており、私は歴史に弱すぎるのでクリミア戦争などの歴史的背景を理解した上で観劇できたので、物語について行けました笑
漫画よりも物語の展開が速いので、その辺りが頭に入っているとテンポ良く感じていいのかな…と思います。
スコット・シュワルツさんの演出。
私がノートルダムの鐘にハマったのはストーリー・音楽はもちろんなのですが、
その“演出の素晴らしさ”がかなりのウエイトを占めていまして。
とにかく全てのシーンに無駄がないんです。
舞台ではプリンシパル(メインの役)を中心に物語が進められますが、そのまわりで演じているアンサンブルの動きやセットの見せ方が緻密に練られており、決して広くはない舞台空間がそれによってより立体的に、より深みを増しているのです。
今回の作品は特に、照明の演出ひとつひとつにとても意味があり、見応え抜群!です。
◆
突然ですが。
今回の『ゴースト&レディ』初見の観劇後。
とにかく言葉が出なくて、浜松町までの帰り道、無言。。。
ズドーンと気持ちが堕ちた訳ではなく、期待外れでは絶対になく…
なんか、ぼーっとしてしまっていたのです。
冒頭にも記しましたが、とてもハッピーエンドとは言えないラストではあるのですが、とてもしあわせに包まれるというか…
とても不思議な感覚。
これ、実は次の日まで引きずりまして…
しあわせな気持ちは残っているんです。
なのに、時間が経っていくとだんだん自己嫌悪に落ちていきそうで、必死に心の中で歌ってました。
♪ 行こう〜クリミアへ行こう!
なんだろう…自己嫌悪なんです(個人の感想です)。あー、笑
あのしあわせに包まれる感覚…
カテコでたくさんのスタオベ&拍手の中、
グレイとフローが満面の笑みでハグしたり💖
そんな場面を目にしたから…
いや、そんな簡単な事じゃない。
うまく文にまとめられないのですが…
ひとえに…
フローレンス・ナイチンゲールの
深い深い[愛]に触れたから
だと思うんです。
《フロー》
家族の反対を押しのけ、戦火の最前線という地獄の中で看護体制を整え、嫉妬の渦と罠にも負けず、仲間との別離の孤独に耐えながらも懸命に看護を続ける
のですが、
真瀬はるかさんのフローは
自らの信念を押し通していくような、
一本気な女性ではなく、
ただ“神の啓示に従う”だけを信念に持ち続け、
その都度、ひとつひとつ丁寧に困難を乗り越えていく「健気さ」にとても惹かれます。
ただただ目の前のひとを救いたいという気持ち…
そこにはゴーストの《グレイ》という精神的な支えがある、というのがこの物語の支柱なんですが、そこにも切なくて儚い[愛]があり…
[愛]にあふれた物語
なんです。
ボーっとしてしまいます。
◆
またまたしつこく長くなったので、
メモ書きで。
《グレイ》
萩原隆匡さん。まるで藤田先生の漫画から飛び出して来たような、ビジュそっくりでめっちゃカッコよかったです。
言わずもがな、ですが冒頭の歌声で一気に引きこんでしまう歌唱👏
《デオン》
宮田 愛さん。デオン様についても本当はフロー並みの長文で語りたい!(次に取っておきます)
いや〜っ!カッコエエ👍✨
一幕ラストでの登場姿…目に焼きついてます
愛ちゃんといえばダンス。
デオンとグレイの闘いのダンス(?)シーン。
エビータとチェのワルツを思い出したんだけど、そのダンスがなんとも美しい😍
その流れからの擬闘…これまたすごい👍
剣の速さ、キレ、動き、間合い…
稽古はずっと愛ちゃんと萩原さんでやっていたと思うので、息ぴったり👏
《ホール》
野中万寿夫さん。…またまた悪いなぁ笑
ホールでキャスティングされた時、もう目に浮かんでました。なのに、舞台で見たらもっと悪かった笑
野中ホールと愛デオン。やっぱりバスティーユでのやりとりを彷彿させるものでしたが、
ヴィラン愛ちゃんデオンの高笑いで一掃👍
《シャーロット》
松山育恵さん。今回の別班(開幕キャストのWチーム)、ノートルダムの鐘のキャストが多くて、鐘オタとしては嬉しいチーム。
エスメ役だった育恵さんがグレイの◯◯なんですが、セリフに「匿って」というのがあり、めっちゃ既視感😊
あー、グレイが泰潤さんだったら完全にエスメとカジ…とその時、直前キャス変を不意に思い出しました笑
《ヴィクトリア女王》
鳥原ゆきみさん。めっっちゃくちゃいい👍✨
さすが元宝塚女役さん。
ドレスの着こなし、女王の風格、歩き方(ドレス捌き)、そしてそして歌唱。
あのシーンは漫画に無いのですが、一見の価値ありあり✨
終演後、もう一度観たい!と真っ先に思った場面です♪
フロー真瀬さんとの並びは元宝塚のオーラというか、四季の舞台の空気感が少し変わる雰囲気を持っている気がします。
◆
《音楽》
すごくいいんです。
早くサントラ欲しい…できればオリキャスとダブルの両方バージョンが欲しい(アンサンブルも別で)。
ちょっとお高くても買います!
特に好きだったのが、よく耳にする
♪ 行こう!クリミアへ行こうー!
の[クリミアへ行こう]の曲。
このシーンの演出もめっちゃ良かった!大好き!
フローに賛同する仲間が徐々に増えていき、
最後、フローを先頭に戦地「クリミアへ行こう!」と団結する歌です。
完全な主観ですが
勇気が出ます✨
《演出》
前述しましたが、スコット・シュワルツさんの演出は、一度では味わいきれません。
もう一度観たくなる“仕掛け”がたくさんあります。
本作にはイリュージョンが所々に盛り込まれていて「…えっ?」と思うシーンがいくつもありまして、私には次回はそこをオペラグラスでガン見する、というミッションができています笑
SNSにて観劇された方のレポを読み、初見では気付かなかったスコットさんの仕掛け(そこには深い意味が隠されていそう)を観たり…
忘れないうちに早くもう一度観たい!
SNSを読むと、初演オリキャスのチームと別班とでは、やはり印象が違うようです。
今後、キャストがシャッフルされて毎回“違う”ゴースト&レディが観れる(舞台観劇の面白みです♪)のですが、そのベースとなる初演と別班の両方を観ておきたい…😌
そうやって、
沼にハマり、四季オタクが出来上がっていく…のです😅
※お席について。
今回の初見は2階下手席からでした。
2階の上部にもランプがあり、どの場面かは控えておきますが、劇場全体に光るランプ…とっても綺麗です。これは2階からがいいかな。
ですが、最大の見どころ。
フロー・グレイ・デオン・ホールのカルテット(四重唱)は1階からの方が(たぶん)いい気がします。次は真逆の1階上手なので確認事項📝
この四重唱、ヤバいです👏
どちらも、秋劇場2階フロアにあります♪