竹田ダニエル『世界と私のA to Z』を読んで
こうして文章を書くことで、自分の何かが活性化して、癒されている感覚がある。
誰かが読んでくれるかもしれない、という期待はある。それがなければ、書いていない。
でも、1番の理由は自分の為に書いている。
書くことがこころの活性化になっている、と感じている。
身バレしない程度の脚色をちょっとだけまぶすけど、ここに書いていることに嘘は一切書かない。
それだけは、心に強く決めている。
それこら、自分自身に酔うことは、ある程度許している。
だって、自分自身の為に書いているから。
私は十代の頃に父親の仕事の都合で、2度転校をしている。どちらも県外だ。
それから、実家という概念が薄い。
というのも数年前に、かろうじて実家という感覚を持ち得た賃貸マンションから、母の生まれ故郷に父と2人移住している。
小さな古い平家の一軒家。
去年、初めて末期癌の母親に会いに行ったが、当然そこに実家という感慨もなかった。
若い頃から宙ぶらりん、という感覚がある。
ぽっかりと大きな穴が空いているような感覚もある。
拠り所となるアイデンティティも希薄だ。
それは小学生時代を広島で過ごしたことが大きいかもしれない。
当時、チェルノブイリ事故のニュースを見て、世界は終わるんじゃないかと、真剣に母に問いかけた。
母は苦笑してたけど。
それから暫くノイローゼのように毎日被曝する夢を見た。
世界は、平等ではない。
そんな大きな厭世観が染み付いた。
私はいわゆる就職氷河期世代。
ニートという言葉が生まれた頃に20代を過ごし、まさにそんな感じで、流されるように生きていた。
時代に取り残された感覚が常にあった。
世代論で語られたとしても、自分はそこには属していない、属せてない感覚。
充分な稼ぎを得たこともない。
つい先日、Twitterで世代別所得分布の比較グラフのようなものが話題になっていた。
まさに私の世代が悲惨な状況で、若い人だと思うが、それを嘲笑していた。
初めて自分自身のことだと、感じてぞっとした。
なんたる皮肉。
まあ、でもそれなりに幸せだからね。頑張るよ。
竹田ダニエルさんのことは少し前にTwitterで知っていた。
何のつぶやきだったか覚えてないが、何かカルチャーのことの捉え方に心惹かれるものがあったのだと思う。
図書館で棚を何の本を探すともなく眺めていると、この本があって手に取ったのだ。本当に偶然。
世代論で語られる事は苦手だ。
そこに私自身がいない、と感じさせられるだけだから。
だから、多分読まないかなあと思いつつ、ページを捲ってみると、カルチャーのことが書かれているよう。
カルチャー中毒としては、これは読まなければね。
読んでいると、自分のことが書かれているような錯覚を何度も感じる。
まるで当事者がそうだ、そうだと共感を覚えて両手でガッツポーズをするような感じ。
50のおっさんが何言ってんだとツッコミを入れつつも、そう感じているのだから仕方がない。
読書は壮大な思考実験でもある。
若い世代に起きてる具体的な事象は、初めて知ることばかり。
TIKTOKはやってないし、銃乱射を心配することはない。ドラックも日常的な存在ではない。多分。
でも、アメリカの若いZ世代が感じている気持ちや考え方にはほとんど共感しかない。
限定的ではあるけれど、連帯ができることが羨ましい。
誰かに感じていることを直ぐに伝えられることが羨ましい。
そこには大きな落とし穴があることも、分かってはいるし、これからの世界事情を考えると、羨ましいだけでは、もちろんない。
そんな無責任なことでは済まされないと、この本にも正される。
若い人は絶対読んだ方がいい。
アメリカと日本では大きな違いはあるけれど、でも当然、同じ時代に生きる若者として、共通することもあるだろう。
少しでもあなたがあなたらしく生きるヒントが、そこかしこに散らばっていると思う。
私の若い頃は連帯する、という発想がなかった。
人は人。無関心。虚無。自虐的。
シニズムを装って自分はどこにも属さない、何も縛られない、ってカート・コバーンに憧れて、ギターを手にしたり。
選挙?やっても変わらないでしょ?ってな感じで。
なんたる愚かさ。
それでも、新たな一歩を踏み出せることもあるんだと、最近思う。
そんな時に背中を押してくれるた本でもある。
こんなおっさんでも。
竹田さんの意図をすっ飛ばしてはいるかもしれないが、私自身の今いる立脚点のようなものをアップデートされた気分。
ごめん、一度使ってみたかったんです、アップデート。
今、『#Z世代的価値観』って本も読んでる最中。
これもすごく面白い。
竹田ダニエルさんの視点というか明晰さは、ブレイディみかこさんを思わせる。
傷病手当で生活している身分なので今は申し訳ないけど、今年、何冊か新著があるようなので、それは買おうと思っている。
ちなみに別の媒体でXGを取り上げていて、テンション上がりました。
最後まで読んでくれてありがとう。
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