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赤に別れを

車の塗装が臨界点に達しつつある。
赤はホントに駄目だよね。新しい時はきれいなのに劣化が激しい。車を楽しみと思わない人は赤なんて買っちゃダメだ。と言わなくても赤なんて買わないか。だって日本の道路を走ってる車の7割くらいは白と黒と銀だもんな。
僕は昔から赤い車は好きだったし、このフィットは順子も「赤だとかわいいね」って言ったんで買った。うちへ来て今年で5年。初年度登録からは15年。まあ15年も紫外線に晒されていたらどんな色でも退色はするよな。

もう数年乗るなら赤で塗り直してもいいかな? と思った。
いつも髪を切ってくれる美容師さんが、「高校時代の友人に塗装屋さんがいる」というので紹介してもらった。出かけて行って診てもらうとルーフとリアハッチの状態がかなり悪く、今の塗装を全部剥がさないと塗れない状態だそうな。状態が良ければ今の塗装を剥がさずに重ね塗りでいけるらしい。自分は1人で商売してるから、このレベルの全塗装を受けたら他の仕事が止まっちゃうんで勘弁してくれと謝られた。

今はどこの工場も人手不足で手間のかかる仕事は嫌がるし、昨今のインフレで塗料の値段も爆上がりらしい。それでも「「従業員の多い工場なら受けてくれるかもしれないよ」と言われ、ネットで検索した何軒か塗装屋に電話をしてみた。だけどやっぱりどこも返事を渋る。車を持って行くから見積もりしてくれと言っても「今は忙しいから」とかなんとか。一軒だけ車を見もせずに「最低40万円から」っていう工場があった。まあ、要はやりたくないんだろうな。たぶん労力と作業時間を考えると旨味の少ない仕事なんだろう。そりゃどんな仕事だって手離れの悪い仕事は嫌われるよ。まして車なんて専有面積がでかいからなおさらだ。

僕は車が好きだけれど今まで新車を買ったことは一度もない。全部中古か大古車ばかり乗り継いできた。若い頃は欲しくて高価な中古車を買ったこともある。でも足車にするのはこの20年くらい2~30万円前後の車ばかり。だから登録から13年を越えて自動車税が割り増しになっても、燃費がひと昔前のレベルでも、5年くらい乗って取り替えていればトータルのコストは新車のエコカーを買うより全然安い。このフィットも2018年の暮れに35万で買ったっけ。だけど35万円で買った足車に塗装代40万円はかけられないよなあ。

順子との思い出がいっぱいある車だけど調度品や服と違い、雨風を問わずほぼ毎日屋外で使うものだからどんどん劣化は進む。車検切れまで乗って登録抹消したまま残すにしても場所を取る。そうやっていろいろ考えてたら、これも庭と同じで現状を維持しようとするのが難しいってことなんだろうなと思った。
それに本音を言うとね、赤い車を見ると赤い車が好きだった人を思い出しちゃうんだ。その人との思い出を大切にしたいけど、現状を維持していくには前述したように問題が多い。それで決断した。美容師さんに紹介してもらった塗装屋さんと話をして決断した。

もう赤い車、手放そうって。

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