「コイツちょっと嫌い」じゃないと主人公に出来ない。

ふと思ったのでメモ代わりに書きます。

「左ききのエレン」読者で結構多い感想が「光一ムカつく」なんですが(笑)それはそうだろうと、イキった事を言うし浮気もするし実力中途半端だし、それは多少ムカつくだろうと思います。

そもそも、ぼくは主人公に嫌いな所がちゃんと無いと、しっかり書けないんだなって気がつきました。主演クラスは全員嫌いな所あるんじゃないかな。というのも、物語の主人公って良いことも悪いことも経験させなきゃいけないから、本当に純粋で完璧な美しい人格者だったら悪い目に合わせなくないんですよね。かわいそうと思っちゃう。でも光一が苦労するのは、なんかしょうがないと思える(笑)なに辛そうにしてんだ、お前が望んだ地獄だろ!みたいな気持ちで。

思えば、ぼくはニューヨーク辺りのエレンにも嫌いな部分があります。さゆりとイチャイチャして絵も描かずに過ごしてて、そのくせジェイコブスにはブチ切れるって言う横柄さ、あの頃のエレンは特に自分のことを棚に上げてる時期で自分に甘過ぎる。だって、ちょっと前に学生時代あかりにブチ切れた事(男に承認されて満足するなら辞めちまえ発言あたり)を全て自分でやってるんですよ、ムカつくでしょ?ムカつくんだけど、そこが最高に愛おしい。ダメになってしまった人間と、それを何とかして健気に支える女性、その二人の関係は愛おしいと思って。だからニューヨーク編は大好きなんですが、エレン単独で見たらまぁまぁムカつく。

さゆりも、覚醒前はほとんど嫌いでした。自分に嘘ついてる感じがイライラする。もっと素直に生きろよと思ってしまう。だけど、その中で少しでも自分が有利に生きやすく過ごすにはどうしたらいいかって考える所がカッコいいと思う。覚醒後はほぼ自己矛盾のない性格になったので普通に好き。

だから結局、ぼくの漫画では「覚醒したら、脇役(サポート)に回る」という物理現象があって、正直HYPEの光一も主人公じゃないのかも知れない、と思って描いてます。いや、第一部より主人公らしい振る舞いをしてるんだけど、今の主人公が誰かと言うと、この瞬間ではどう考えても神谷なんですよね。今はね、神谷がすごくムカつくんです。

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