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ニューヨークの思い出

本日、漫画「左ききのエレン」最新5巻がKindleで発売になりました。

ぜひぜひ、お買い求めくださいませ。

今日は、その第5巻の舞台ニューヨークについて個人的な話を書きます。

ぼくはアメリカには3回、ニューヨークには1回行きました。映画が好きなので、映画の舞台になりがちなニューヨークに猛烈な憧れがありました。あと、最近また読み直してるんですが、漫画「昴」でもニューヨークは特別な街として描かれています。昴を読んでニューヨークに行きたくならない人はいない。

今日公開した新章よろしく、ぼくは広告代理店で使えないデザイナーをしばらくやってました。たぶん、長期休暇はついに退職を決めるまで一度も使わなかったんじゃないかと記憶しています。当時はがんばるという矛先を見誤っていました。

ずっとニューヨークには行きたかったけど、その「行きたい」は具体的な目標では無くて、ある意味夢でした。行きたいと思う事しかしなかった。夜空見上げて「恋したい」って言う女の子みたいな感じで。

広告代理店を辞めて転職を決意した時、ふと「ニューヨークに行きたい」と頭に過ぎりました。退職金もいくらか出るだろう、転職先の入社日も調整つくだろう、そう思った瞬間、チケットを取っていました。

チケットを取って、それから友達にニューヨークのオススメスポットとか聞きまくって、泊まる宿も探して、全部何もかも後出しで決めて行って。その無計画さにたまらなくワクワクしました。

自分の人生、この先きっとこの程度だろうって気づいてしまって、勢いで会社を辞めて。チケットを取った日付に、近い未来に、ただ憧れていただけのニューヨークに自分が立ってるんだと想像した瞬間、泣けてきました。

タイムズスクエアで写真を撮って、MoMAをブラブラして、ブルックリンを当ても無く歩いていたら、ものすごくオシッコがしたくなりました。

ニューヨークはコンビニでふらっとトイレを借りるとか無くて、英語力も乏しい身としてはトイレの度に喫茶店に入るのが最も早いという結論だったので、ブルックリンで喫茶店を探し回りました。オシッコ我慢しながら。

探しに探して、やっと喫茶店を見つけました。ブルーボトルコーヒーでした。「緊急時にシティボーイ感を出すな」って自分でツッコんで、何してんだろう感がこみ上げてきて、もう変なツボに入って一人で笑いました。

あの瞬間は、きっと死ぬ間際に思い出す事の一つです。あんなに自由で、当ても無く無計画で、ワケも分からない無意味な時間が自分の人生に待っているなんて。

現実から遠く離れた、青春の街。エレンの構想を練っている時、光一の現実との対比として描くエレンの伝説の舞台は、ニューヨーク以外考えられませんでした。


残りは、定期購読をして下さっている方向けに、「左ききのエレン」と合わせて読むと少し嬉しくなる話を書きます。いちおバラ売り設定してますが、そんな大したものでは無いのでご了承の上。

左ききのエレンに登場するキャラクターの名前の由来一覧です。

・山岸エレン

絵恋、アイラブアート。山岸は第4章の「対岸の二人」のためです。エレンという響きは、キャラクター造形のモデルになっているファッションデザイナー石岡瑛子さんの「エイコ」という響きが好きで、エからはじまる名前で色々考えました。ちなみに本編と関係無いですが、クオーターって設定なのでそれっぽい響きで。

・朝倉光一

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