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連絡のつかなくなった子の家に凸

フラれてはないんだ。関係も良好だったし。突然SNS全部ブロックされた。直電でも応答なし。着拒されてると思う。ショックだったけど会ったら理由説明してくれるかと思って家に凸。全て話してくれたら理解するし、ストーカーになるつもりは微塵もないよ。ただ一度だけ凸る事を許してほしい。
スマホが無ければこんな思いしなくてすんだんだ。大昔は遠く離れた場所の事などすぐには知り得ないし、周りにいる人たちだけが救いだったはず。スマホが普及したこんな世界じゃ生きるのだってつらくなってるし。便利になるってことは何かを諦めなければいけないのかも。
そんなことを悟りながら遠く離れたこの街に来た。ここは君の街。そして君はいなかった。手土産も買ってたんだ。だからなにかしら来た痕跡を残したかったし、君が好きだったキャラクターのグッズを玄関前に置いといたよ。キモいって思われたって良い。誰かの落とし物と思われてもいい。俺がここに存在したってことを俺が示したかったんだ。
引き返す。なにも考えずに真っ直ぐひた走る。君のことで泣いたのはこれが初めてだった。ただ純粋に泣いた。
イオンに着く。この街のイオンは結構大きい。車でぐるぐる入り口を探す。やっと見つけた。建物の扉が開かない。オープンは朝8時から。今は朝8時半。開いてる入り口がわからず階段を登ってテラスに来た。テラスから下を見下ろす。この高さなら死ねるかな。いや、骨折だけだな。下を見ただけだが足の裏がジーンと痺れる。小心者が、こんなのでビビってて死ねるかチキン野郎。
タバコを吸う。今日は財布に入ってる金、全部使ってやろうか。

終わり

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