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初夏の頃(23)Do You Believe In Magic?

初夏の頃(23)Do You Believe In Magic?
良く寝た!
朝の空気は気持ちよかった!ベッドの中で目覚め起きた瞬間に何かの啓示を天から受ける感覚が時々ある。今朝はそんな朝だった。
隣のベッドはもぬけの空だった。
私も着替えて散歩に出た。気持ちの良い高原の朝、上空は晴れて青空だが視界の下の方は霧が流れていた。針葉樹の森を歩く鳥のさえずり、カッコーの遠くにこだまする声。素晴らしい朝だった。
清泉寮の朝は特別気持ちよかった。

森を抜けて清泉寮のロータリーまで来ると2階のレストランのデッキに彼女はいた。デッキから手を振る!階段を駆け上がると、朝ごはん食べよー!
コンソメスープにグリーンサラダス、スクランブルエッグ、厚切りフライドベーコン、バター炒めコーンに人参とポテトのグラッセ。ロールパンにバター、マーマレード。大きめのコップにミルク。オレンジジュース。アメリカンな朝ごはん。
僕の頭の中はThe Lovin' Spoonful の— Do You Believe In Magic?
が流れていた。


大好きなアメリカ、憧れのアメリカ。カントリーミュージック、ロックンロール、R&B ,ブルースの国アメリカ。フォークソングの国アメリカ、ブルーグラスの国アメリカ。ボブディラン、ピーター・ポール&マリー、サイモン&ガーファンクル。ラビンスプーンフル、ビーチボーイズ、JAZZも好きな音楽が沢山あった。

大好きなイギリス!ローリングストーンズ、ビートルズ、デイブクラークファイブ、キンクス、アニマルズ、ピーターとゴードン
ブリティッシュは風格が文化とセンスが少し違っていた。
あの夏流行していたのは!
ザ・ローリング・ストーンズ The Rolling Stones/ 黒くぬれ! Paint It Black (1966年)

彼女に伝えた!
レストランのデッキで牧場の美しい緑の草原を眼下に!
「留学のお話、少し、待ってください。
自分の可能性を信じて、ギターと歌でシンガーソングライターを目指したいんです。大学に行くか行かないかはわかりません。
もう少し、日本にいて、日本語の歌でソングライティングしたい。
芽が出るかも判りません、自分に才能があるかも判りません。
書き溜めた曲もあります。
世の中に出してもみたいのです。
とても良いお話なのに、ごめんなさい!
貴方と人生を共にしたいとも思いますがまだ自分が幼過ぎて小さ過ぎてチグハグなんです。同じステージに立ちたいと思うしある意味同じレベルに達してから、共に歩みたいと思うのです。きっと、私に留学を進めたのは、そういう意味ですよね!多分考えてる事は同じだと思うのです。
サポートしていただいても同じような事はできるかもしれないけど、僕は僕の足で立って見たいのです。自分の可能性も信じて見たいのです。」

彼女は遠くを見つめていた。怒っても笑ってもいなかった。
失望したかもしれないが??ガッカリしていることもなさそうだ。
強くうなづいてもくれたし、同じ気持ちの部分では解ってくれたと思う。

「気が変わったら言って!でもきっとヒロシは変わらないね、やっぱり君は素敵だよ!きっと私よりも。」「夏休み中は軽井沢にいるの?」
「ギリギリまでいます。できるだけ一緒に居たいです。それでも良いですか?」「私もそうしたい!そうしよう、私の中にある物をできるだけ伝えたいと思う。出会えた事の奇跡を大切にしよう。泊まってっても良い時は泊まって。」

「さあ、チェックアウトしよう!」

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