「言語道具論」に抗する
「言葉/言語は道具でしかない」このような物言いを多くの人が、特に言語の学問に生きる人なら何度か聞いたことがあるだろうと思う。皆さんは賛成だろうか。反対だろうか。普段の私なら特に意に留めることもなく流す発言だが、今回は反対の立場をとってこの「言語道具論」を否定しようと考える。
まず、ここで言う「言語道具論」とは、「言語はツールでしかない」という言説のことを指していて、「言語は道具である」という命題自体を私は否定したいわけではないということにご留意いただきたい。最もよく世間一般