映画を全然見ない香水初心者が「Celesシネマ」を頼んでみました

「推し香水」。推しのイメージを香りにしてもらえるもの。
今オタクにとってめっちゃアツいやつです。
私もその沼に取り憑かれつつあり、様々なお店で「推し香水」を体験しようとしています。

「推し香水」ができるお店に「Celes」さんというお店があります。「Celes」さんは、オーダーメイドではなく、既存の香水(なんと取り扱いの香水の数500以上!)を量り売りしてくれるお店。

既存の香水ってボトルで買おうとするとお高いし、使い切れるかも不安ですよね。それを15回プッシュ(0.75ml)、50回プッシュ(2.5ml)など少量からお試しできる、めちゃくちゃ優しいお店です。

Celesセレクト」というメニューがありまして、「スタイリストへのメッセージ」にどんな香水が欲しいかや香りのイメージなどを記入すれば、スタイリストさんに5本の香水をお試しサイズで選んでもらえるメニューがあります。メッセージに推しのイメージを書けば、既存の香水から推しのイメージに合ったものを選んでくれるそうです。推し香水としてかなり評判も良いみたいです。
オーダーメイドの香水もいいけど、既存のブランドの香水から選んでもらえるのも面白そう。選んでもらった香水にいいのがあればそれを単品で好きな量買うこともできます。

ですが、この「Celes」さん、最近とっても人気のコンテンツが。それが「Celesシネマ」。

・お好きな映画をイメージした香水をお試しサイズでお届け。香りを通して、映画の世界へ旅立ってみてはいかがでしょうか。

とのこと。最近は「Celes」さんでツイッター検索すると、推し香水よりも「Celesシネマ」のレポの方が多い。
私は映画を全然見ないタイプの人間なので、最初は「Celesさんで推しキャラの香水頼んだレポが見たいんだけどなあ……」と思っていたのですが、Celesシネマのページに「ニッチな映画もいけます」「シーンやキャラクターの指定もできます」と記載があり、レポも「この映画のこのキャラの香りを選んでほしい」という、ほぼ推し香水と変わらない楽しみ方をしているものもあり、だんだん「面白そう……ちょっとやってみようかな……」という気持ちに。

というわけで、買ってみる事にしました。

映画を全然見ないので自分の好きな映画の知名度が全然わからない香水初心者のオタク VS Celesさん ファイッ(銅鑼を鳴らす)

選んだ映画は3本。キャラクターやシーンの指定もできますが、映画の全体的なイメージで香水を選んでもらいたいと思ったのでタイトルだけ挙げることにしました。

①屍者の帝国(2015年)
Project Itohの映画シリーズの一つ。ハーモニーと悩んだけどこっちに。虐殺器官は見てません……。
死者を「屍者」として蘇らせ、プログラムを叩き込んでロボットのように労働力として使う19世紀末のイギリスからスタートする物語。映画化するうえで、原作小説から大きく改変したところ壮大なブロマンス物語になり、見た女子がいっぱい狂った。細谷佳正さん演じる主人公の純粋で猛烈な熱情と、村瀬歩さん・山下大輝さんの熱演・怪演が聴ける最高の映画。原作小説も好きすぎて読み返しまくったので、原作と映画の記憶が結構ごっちゃです。

②決算!忠臣蔵(2019年)
今年の大河「青天を衝け」で平岡円四郎を演じる堤真一さんと、昨年の大河「麒麟がくる」でオリジナルキャラクター菊丸を演じた岡村隆史さんのタッグによる「超コメディ忠臣蔵」。まずみんな関西弁でしゃべる。なんでやねん。吉良上野介への仇討ちを決意する赤穂浪士たち、しかし仇討ちにもお金が必要、その額なんと9500万円! 彼らは仇討ちを果たすことができるのか!? そんなコメディ。忠臣蔵がわからなくても笑えます。横山裕さんも良いお芝居してますし、阿部サダヲさんや滝藤賢一さんなど近年の大河ドラマキャストもたくさん。
このコメディ映画が果たしてどんな香りになるのか!?

③ストレンヂア -無皇刃譚-(2007年)
このnoteで感想を書いた映画。フォロワーさんにお願いだから見てくださいと言われ、「音楽:佐藤直紀」にホイホイされて見たらメチャクチャハマった「BONESの本気」。戦国の世で、秘密を抱えた少年と、流れ者の浪人が出会って行動を共にするうちに不思議な絆を育んでいく物語。アクションが凄まじく、派手に血が出る欠損する! バンバン人が死ぬ! 温かい面と激しい面が同居した最高に楽しいエンタテインメント。私はこの映画のおかげで長瀬智也さんといえば「名無しの中の人」という印象になってしまいました。責任とってサントラ配信して。

この3つの映画の香水を選んでもらうことに。とりあえず全部アマプラで見れるっぽいけど、大丈夫かなあ。

1週間くらいで届くみたいなので楽しみだな〜とか思っていたら、注文のわずか2日後に「配送準備開始のお知らせ」メールが来て「早!!!!!!!!!!」って言いました。陸送だし実際に手元に届くまではもうしばらく時間かかるとしても、もう香水のチョイス終わっちゃったの!?
それから2日後、香水が到着! 早!!!!!!!!!!!!
あまりに早すぎて「えっ大丈夫なの……?」となりますが、Celesさんで香水頼んでる人みんなそう思ってるみたいだからまあ大丈夫なんでしょう。

では早速香水を開封!

ここから先は映画のネタバレが色々出てくるのでワンクッション置きます。









いいですか? 行きますよ?









①屍者の帝国:ラルチザンパフューム – モン ド ナルシス

フランス各地の風景を香りで描いたコレクション『レ ペイサージュシリーズ』モントドゥナルシスは、フランスの中南部に位置する火山地帯、オーベルニュからインスパイアされた香りです。山の地中深くで静かに眠るマグマの内なるパワーを想起させるカルダモンとペッパーによるスパイシーなアクセント。ナルシスやオスマンサスのパワフルで上品なグリーンノートと重なるレザーが広大な水仙の花畑を描きます。

香りのタイプ:ウッディ&オリエンタル EDP・ユニセックス
トップ:ベルガモット、コショウ、カルダモン、ラベンダー
ミドル:水仙、グリーンノート、オスマンサス、プラム、イモーテル
ラスト:レザー、バニラ、バーチ

フランスは舞台じゃないんですがとかいう野暮は置いといて、まずこの瓶がすごいそれっぽくないですか!? 美しくありながら、あの独特な、屍者のうごめくどこか陰鬱な世界……。鬱蒼スチームパンク(?)のあの感じ!
ムエットでかいでみると、一瞬驚くほど爽やかで美しい風景が脳裏に広がります。まさに広大な花畑。でもすぐにスモーキーな香りでその爽やかさはかき消されてしまう。香りのあっという間の変化は確かに火山。うわー間違いないこの爽やかで強烈なのに儚く消えちゃう香り、生前のフライデーとの思い出、あるいはワトソン博士が見るフライデーとの楽しかった日々の夢だわ……。スモーキーな香りは蒸気機関と屍者技術で発展するイギリス、そしてワトソン博士が屍者フライデーやバーナビー大尉と一緒に旅した国々の、あの時代の香りです。そしてその後にもったりとした甘い香りがしてくるんですが、この香りがまた仄暗いんです。これは屍者たちのいる世界を象徴した香りであり、アリョーシャとコーリャに待ち受ける悲劇というべきなのか、幸福と言うべきなのか、よくわからないあの衝撃的な出来事、そしてワトソン博士の中に燻るフライデーへのどうしようもない思いを象徴しているような気もします。この甘い香りの中には煙草っぽい香りも混じっていて、確かワトソン博士や生前のフライデーが煙草を吸っていたなあと思い出します(うろ覚えですが)。そして時間がたつと、奥から少し爽やかな香りがしてくるような……? これは……もしかしてあのクライマックスシーンで魂が戻ってきたかのように微笑むフライデーですか……?
えっいや解釈が完璧すぎないか!? 初手から驚きすぎる……まだ映画の内容色々忘れてるんですけど、色々思い出しましたすごい……。オリエンタルでセクシーすぎて、あとぶっちゃけ煙草くさいのでちょっと身につけるには厳しい香りではありますが、解釈は完全に一致ですすごい……。映画見ながらこの香りかいでたいわ。




②決算!忠臣蔵:トバリ – ホワイト ストレージ

「凛に秘める純真」天に向かいまっすぐ「凛」と佇む草花と透明感溢れる清らかな「純真」の果実。ゆずの透き通るみずみずしさとウッドノートが織り成すコントラスト。銀粉のように煌めくスター性やカリスマ性を表現したジャパニーズビューティー。世界でブームを起こした「東洋の神秘」山口小夜子をモデルに創られたフレグランスです。

香りのタイプ:シトラス・ウッディ&オリエンタル EDP・ユニセックス
トップ:ゆず、ピンクペッパー、クローヴ、サフラン
ミドル:ゼラニウム、インセンス、沈香、プチグレン、ウイキョウ
ラスト:アンバー、シダーウッド、ベチバー、サンダルウッド

あのどうしようもないオッサンたちの映画を”凛と佇む”とか言われると笑ってしまうのですが、なるほど日本人をモデルに作られただけあってお香や白檀など日本人に馴染みのある香りばかりで構成されています。
ムエットでかいでみます。爽やかで明るい香り。ピンクペッパーの弾ける香りが阿部サダヲさん演じる激ヤバ浅野内匠頭にピッタリすぎてめちゃくちゃ笑いました。トップは明るいんですけど落ち着いた香りで、堤真一さんのちょっと疲れた「なんでやねん!」が聴こえます(笑)。それからゼラニウムやお香っぽい、トップよりは落ち着いた甘い香りがしてきて、討ち入るの? 討ち入らないの? と町人たちにいちいち期待をかけられたり、出費がばんばん出たり、途方に暮れる大石内蔵助の哀愁漂う背中と、矢頭長助の最期のシーンが見える。死に際なのにクッソ笑わせてくる岡村さんマジでずるいんですよ。ちなみに映画では矢頭長助は襲われて死んでますが、史実では病死だったそうです。ミドルはちょっと惑わせるような香りってイメージがあるんですが、あのついに赤字に突入して白目を剥く大石内蔵助が見えました(笑)。ラストは落ち着いた香りで、”決算”して討ち入りを終わらせた赤穂浪士たちのエンディングのあの「よくわかんないほっとした感」を思わせます。香水はどうしてもラストにかけて落ち着いていってしまうので、この最初から最後までコメディだった映画をどう表現するんだろうと思っていたのですが、映画と同じようにほっとして終わりました(笑)。




③ストレンヂア -無皇刃譚-:トバリ – サイプレス マスク

「気品に秘める狂気」檜で作られた能面をつけ、舞台の上で静かに気品高く舞う真に芸の極める者。「気品」高く静かに舞う檜。<狂気>のごとく変幻自在に研ぎ澄まされた芸術を表すかのように重なる墨汁やパピルス、レザーなどがサフランやナツメグのスパイス達の刺激と共にシダーウッドと複雑に絡み合い、気高い香りの芸術が優雅に舞い踊ります。

香りのタイプ:ウッディ&オリエンタル EDP・ユニセックス
トップ:サフラン、ヒノキ、ナツメグ
ミドル:ミルラ、インセンス、墨汁
ラスト:シダーウッド、パピルス、レザー、沈香

き、気品に秘める狂気!! いきなり「わかり」ワードを出されてしまった……。名無しは「極める者」であり「人をたくさん殺してきた男」だからな……ヒノキや墨汁、シダーウッドとこちらも日本っぽい香り。
ムエットで試すと、最初にサフランの香りがして、それからヒノキの落ち着いた香りとナツメグの甘い香りが綺麗に調和した優しい香りがします。これヒノキが名無しでナツメグが仔太郎だわ……わかりがありすぎる……二人の出会いのシーンが脳内に蘇る……私名無しの「ここは、お前の、家か?」って台詞が死ぬほど大好きなんですけど思い出してぶっ倒れてしまったが……? だんだんミドルのお香っぽい香りに変わっていくんですが、ムエットだとちょっと香りがわかりにくいので肌にのせてみました。最初は名無しに反発していた仔太郎が次第に心を許して、二人でほのぼの旅してる様子が目に浮かぶ……しっかりかぐと墨汁の香りがして、名無しが髪を赤から黒へ染め直すシーンを思い出しました。優しい香りの中にちょっとピリっとした感じがあって、それが名無しの悪夢を表現しているような気が……する……(自信がない)。ラストはシダーウッドの澄んだ香りとレザーっぽい香りで、ムエットだとミドルよりも主張が強い感じがします。最後の戦いでみんな死んで、名無しと羅狼だけが残って、二人が戦い始めるときの香り……降り積もる雪の中で美しく舞い踊るように戦う二人だわこれ……。香りが本当に全体通して澄んで綺麗で、あの美しくノスタルジックなメインテーマの旋律が聴こえてきます。血はいっぱい出るけど最初から最後まで美しい映画だったよね……。





というわけで、たった2日で選ばれた香水が解釈一致でマジでびっくりしました……。オタクが深読みしてるだけなんだろうか……いやまさかそんなことは……。全体的に解釈一致だったんですけど、屍者の帝国の解像度がメチャクチャやばかったです。香りのクセが強かったのもあると思うけど……。

お給料が入ったらCelesセレクトで自キャラの香水もやろうかな……と思いました。
Celesさん、ありがとうございました!

おしまい。

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