遊んだフリーゲームの記録(ティラノゲームフェス2023参加作⑪)
自分がプレイしたゲームの感想というより個人的な記録です。
ゲームの簡単な概要と私個人の感想をネタバレ無しで綴っています。
ゲームを批評する目的ではなく、
読んだ方にとって、自分に合う作品かを調べたり
まだ見ぬゲームと出会う一助になれたらいいという物です。
今回もフリーゲーム投稿サイト
「ノベルゲームコレクション」にて行われている
ティラノゲームフェス2023に参加している作品の中で自分がプレイしたものをこちらの勝手な括りで並べてみました。
※プレイの際は作品ページに書いてある注意事項及び利用規約を必ずご確認ください
※今回掲載したゲームの作者様へ
この記事内容への訂正・削除等何か要望がありましたら
お手数ですが
・この記事のコメント欄 か
・プロフにかかれている個人サイトの連絡先までお願いします
(Xでよければ @nonossanoです)
『でこれいと・でこれいしょん!』
大スキなきみを■す乙女の奮闘
■作者 サークル「金庫堂」様
■プレイ時間:1周15分ほど
■ゲームの概要
・ジャンル:アドベンチャーノベル
・ED数:6
ゲームの導入:
あなたは死んでしまいました。
このままあなたは天国に行くはずなのですが、その前にどうしても会いたい人【きみ】がいたのです。
しかし霊体であるあなたの姿は意中のきみには見えないしこちらの声も聞こえない様子です。これでは大スキなきみと一緒にいられない。
現実に干渉できるのは天国に行くまでの49日の間だけ、
なんとしてもきみに天国まで来てもらうことにしたのです。
感想
実はずっと前からプレイしてた作品でした。ドット絵が素敵だったので…(ドット絵ゲーム集のときは検索条件から漏れてまして)
幽霊のあなたちゃんがフワフワ浮いていたり画面のUIだったり差し込まれるアニメーションだったり、とても素晴らしいドットです。
ドットのおかげ?でとっても可愛くてファンシーな世界に見えますが
あなたちゃんをよく見ると包丁持っているしゲームの説明も読むとちょっと物騒な感じに思われる通り、
だいぶぼかしてあってソフトではあるとはいえ血や暗めな描写はあります。
(こういう雰囲気の女の子にはもはやつきものですね)
ゲームのシステムは
アパートにいるきみに対して1週間に一回
「はなしかける」「ゆめまくら」「ポルターガイスト」「のろう」の行動のどれかを行うことで自分の存在を彼に気づいてもらうというものです。
49日が天国へのリミットなので最大で7回の行動チャンスがあります。
EDはBAD:2、NORMAL:1、HAPPY:2 TRUE:1の6種です。
ゲーム内に分岐のヒントはありますしユーレイのココロエなどで何となくの情報は得られますが、それだけだとパッとはわからないと思うので何周も試行錯誤する前提のゲームとなってます。でもまず最初はそれらを一切見ないで自由に試してほしいなあというのが個人的な思いだったり。
セーブや既読スキップはないので何度も同じテキストを見ることになったりもしますが・・あれ?って感じに何か起こることがあったりしますので文字をよく見てみるのも楽しいです。きみや物に触ってみると・・芸が細かいなって思ってました。作中テキストの言葉の節々があなたちゃんの気持ちでいっぱいな表現なのが良いです。
私の場合全ルート見るまでに2時間半くらいかかった気がします。ただこれは人によってマチマチだと思うのであまり目安にはならないかもですね。
シナリオについてはここでは内緒にしたいです。色んなEDみてからTRUEにいくといい感じに締められるかなとか思っています。
可愛い女の子の幽霊が好きな人にまとわりついていたずらするラブコメっぽい内容だけのゲームではありません、とだけ。
あなたはきみ君の事が大好きだし、きみ君も何だかんだいってあなたに優しくしてくれる・・・そういう関係・・なんですよね。
少しホラーに描かれる恋する乙女と彼のしっとりとした関係が見たい方に
『INNOCENT』
それは長くてあっという間
■作者 6未様
■プレイ時間:5分程度
■ゲームの概要
・ジャンル:ADV
・ED数 :1
ゲームの導入:
女の子「パパ、ママ。この子はだれ?」
「今日からお前の弟になる■■だ」
感想
絵本のようなかわいらしいビジュアルで目に留まりました。こういう絵柄も好きなんです。
かわいらしいタッチの作中でも、オーニソガラムの花がメルヘンの世界っぽくてひと際印象に残りました。このお花の事知らなかったのでグーグルで見てみると、ゲームのイラストまんまな感じで驚きました。こんなに可愛いお花があったんですね。
EDは1つ、クリックで読み進めるだけで終わります。
でもだからこそ、とあるシーンからの演出はクリックする意思が一瞬揺らぎました。
お話の内容はゲームの説明の通り、「大人になっていく」です。
可愛い女の子とパパとママのもとにやってきた弟の■■。これからは■■も家族の一員としてみんな仲良く暮らしていく・・・
て意味深な感じで書くと
一部のプレイヤーは「まさか女の子やパパママがやばいやつなのか?」と変な予測をする方もいるかもしれませんが
ご安心ください。そこらへんにもいるであろうごくありふれた家族です。
女の子は■■ことが大好きだし、■■も女の子のことが大好きでいつも見ています。
家族4人の楽しいハートフルドラマみたいに思われるかもしれませんね。
・・もし本当にそうだったらこの記事のテーマには該当しなかったんですけど。
短編にもかかわらず綺麗に無駄なくまとまっていてインパクトのある作品でした。
いつかは来るであろう時を迎えて大人になっていくゲームです。
『あなたの気持ちに、気付かせるお手伝いを』
"声"が聞こえる青年の気持ち
■作者 てんみやきよ様
■プレイ時間:15分
■ゲームの概要
・ジャンル:ADV
・ED数 :1
・セーブ機能あり
ゲームの導入:
僕は人の気持ちを察するのが得意で、周りからも気の利くいい子だといわれています。「思いやりのある優しい人」、家族からも先生からも友達からもそういわれるといいます。
でも
もしそれが、
みんなから嫌われないように、みんなが自分を好きでいてくれるようにと
本人が周りに合わせてやっているのだとしたら?
まるで人の心の中が見えるかのように。
感想
優しそうな雰囲気と優しい言葉の文字のスクショ画像からお話の中身が見えない感じだったので、作品ページを見たときは自己分析心理的なゲームなのかなと思っていたんですけど、ストーリーがしっかりある読み物です。
出てくる絵に味があって始めてすぐにこの作品の世界観に引き込まれます。
ここまで読んで気になった方は、
ここで読むのを辞めてぜひ一度プレイしていただきたいなと思っております。選択肢がなく15分くらいで終わりますので。
直截なネタバレをしたくないのでシナリオについてはなるべく抽象的な感じに。
ゆうにとって聞こえてくる声はノイズにしかなっていなくて、
聞こえなければどれほど良かったことか、とプレイしていてなんども可哀想に思えました。
あれば一見便利そうだし、よく「知りたい」みたいな歌詞などがありますが、実際にあったら苦しいだけなんだろうなと私は常々感じていたことだったので、その表裏一帯の難しさを素敵なシナリオと演出に落とし込んでいてすごいなって感じました。
理由も自分が嫌われたくないからではなく、誰も悲しんでほしくないから喜んでほしいから、なのがまた。そうなってしまうのもわかる気がします。自分の言動で他の人がどんなリアクションをとったかをみれば、どうするのが正しかったのか気になってしまうから。
自分の気持ちなんて要らないと一人でずっと心を抱えていたゆうにとって
イレギュラーな場所での偶然の出会いが
彼と似たもの同士の彼女の心と自分自身の両方を支えてくれた、
その時の双方のやさしさがよかったです。
プレイ後には温かいラテが飲みたくなりますね。
ゲームの概要欄を見て
「この気持ちわかるかも」って思った方に特におすすめしたいです。
『My fire』
青い炎がくれたもの
■作者 荒井ポチ太様
■プレイ時間:30分ほど
■ゲームの概要
・ジャンル:ハートウォーミング鬱SF
・ED数:1
・セーブ機能あり
ゲームの導入:
点呼も終わり走り始めたバスの中、
一息つこうとおもった添乗員ちゃんはふとクーラーが効きすぎているのが気になりました。
そうなるとまず気にしなくてはいけないのは『あの子』のこと。
ホノオくん
「・・・おはようございます、添乗員さん。ご心配には及びません。
なんていうと思った?
感想
目をひくスクショ一面の青が綺麗ですね。
内容も"食べられる炎が一般化した社会"というちょっと想像がつかない設定の世界観で気になりました。そして、青い炎の髪をもった少年・・・と不思議な感じもあって良いです。
シナリオのメインは添乗員ちゃんとホノオくんの周辺のお話なのですが、
25年前、突如日本で見つかった「青炭」と呼ばれる青い光を放ち続ける物体を取り巻く国内情勢や社会の動きなどのマクロな視点の描写も含まれていて、初めてこの世界に触れるであろう私たちプレイヤーにもこの世界の形がとても分かりやすく説明されているのが印象的でした。
この説明がないと、
なんだかよくわからないけど周りが青い光ばかりなのはゲームデザイン的な要素でしかなくて、ホノオくんの存在もあの世界じゃごく普通のことなんだろうなきっとってスルーされてしまうかもなので。
堅苦しい世の中のお話と、添乗員ちゃんとホノオ君のコメディチックなやりとりが交互に挟まれることで、この二人の空間は世の中の喧噪とは少し遠いところにあるように感じました。でも全く影響なしとも言えない不思議な距離と空気。
探索パートが2か所ほどありますが、世界観により浸るための会話という感じなので実質的に一本道のノベルです。
空の青とバスの青、炎の青とホノオくんの青、それぞれ違う青とそれ以外で描かれるイラスト+アニメーションの美しさと、詩的な文章表現の両方で引き込まれる作品でした。
色んな意味で目立つちょっと生意気なホノオ少年とスクールバスの添乗員ちゃんの交流を描いた心あたたまるハートフルなほのぼなお話
と見せかけて
ハートウォーミング "鬱" SFと作者様が称しているように
ちょっと切ない展開になります。(だからこそ今回取り上げたのですけど)
そのリアルさがまたこのゲームの爽やかな青色とマッチしてるような気がした私は好きです。
ホノオくんがあの本に興味を持っていたのはそういうことだったんですね。
1周終えたらおまけページで色んな資料を楽しむこともできますので、ゲームの世界観が気に入った方はぜひそちらも。
青空のような爽やかさと日暮れのような終末観が素敵なゲームです
『帝都大学医学部付属病院の煙草部屋・最後の夜』
生きる者たちの教室
■作者 胡湖奈るん様
■プレイ時間:15分くらい(私のおおよそのプレイ時です)
■ゲームの概要
・ジャンル:ノベルゲーム
・ED数 :1
ゲームの導入:
ラキストがガンキュウの後を追って喫煙室に着くと、既にンガ、ヨメイがいました。
そしてヨメイの口から「俺、後1か月くらいらしい?・・ぜ」と告げられます。
ラキスト、組長、アシポッキリ、ガンキュウ、ンガ、ヨメイ、そこに女性陣のアブラ、マシ、マシマシコ。
ここは帝都大学医学部付属病院の喫煙室。彼らはみんなここの同級生。
感想
大学付属病院の喫煙室というテーマが素敵だなと思いプレイしました。
私は普段タバコ全く吸わないし、清掃バイトしてた頃喫煙室も担当していた時に初めて中に入った程度だったのであの部屋の中で何が行われているのかとか全く知らないんですよね。
(かつて掃除してた側からすると若干マナーの良し悪しは場所によって違いがあるものの、とんでもなく汚されてるってわけでもないイメージくらい)
病院などの施設で利用している喫煙者たちって利用期間が長ければ長いほど、このゲームのようにだんだんお互いに顔見知りになっていくのでしょうか。喫煙所を利用しない立場の私では出会うことができない巡り合い方をする関係になるのかな、なんてプレイしてて思いました。
ノベルゲームらしい?ノベルゲームな感じで読み進めていけます。
落ち着いた背景のみなのもあって、喫煙室のみんなの盛り上がりや沈黙の音が情景として伝わってくるようでした。選択肢はないので最初から最後まで物語だけに集中できます。
プレイ前から名前からして結構大きい病院なのかとは思っていたのですが、
やはりここの患者になるということは・・・なかなかに難しい状態でもあるようですね。
ノベル式で各々の姿が見えないがゆえにAクラスのみんなは元気で楽しそうなように見えますけど、
生きることそして死という現実から誰も目を背けてはいられない立場に置かれているのだということを感じさせるシナリオです。
しかしそのような状況のなかだからこそ、ここの喫煙室の仲間たちとの時間が心地よいし、各々がお互いのことを思いやれるのかもしれません。生まれも経歴も違うけど同じ立場に置かれている、半ば同士といえばいいのでしょうか。
そんな彼らのとある1夜のお話です。
現実においても
退院後も付き合うお友達というわけではない、なによりお互いにまた今度があるかもわからない。そんな世界で時間がたった時、喫煙所の外で彼らが再び巡り合えることはあるのでしょうか。
生きることと人の優しさの両方が詰まった作品です
『人生、お返しします。』
俺の名前は名取カイ
■作者 鳴砂工房様
■プレイ時間:全ED回収20分ほど
■ゲームの概要
・ジャンル:ADV
・ED数 :4
・セーブ機能あり
ゲームの導入:
家でゲームしたりバイトに勤しんだりと、ごく普通な春休みを満喫していたカイ。
休み明け、友人の黒坂朔斗、天海舞衣との会話中唐突に朔斗から「お前病気はもう大丈夫なのか?」と聞かれてカイは困惑します。
なんでも一週間前に病院着を着ていたカイが街でうろついているのをみたというのです。
カイはなんとしてもその自分と瓜二つの人物にあってみたいと思い、その人物を探すことにしました。
感想
意味深なタイトル名と画面の優しそうなイラストでほっこり系の恋愛かなと思ってゲーム概要欄をみると
自分と同じ容姿をしていたというもう一人の自分を探し始めるという文面ですごく気になってた作品です。
EDは1~4まであり、TRUEが1つで他は普通のEDです。
道中の選択肢で分岐しますが、既読スキップやセーブもあるので回収は楽です。最初は自分が思うままに選んで色んなEDを見たほうが各EDでカイの気持ちが見えるので最後のTRUEがより映えるかと。
1つ後味悪いと思われる内容のEDがあるのですが、ここでBADとついていないのが個人的には好きですね。それは本来ならそうなるはずで、カイにだってそれまでの思いがあるわけですし、ダメとか辞めろとはなんか言いにくいんですよね。しかし事情が事情のためやることはやってはいるので良いとも言えないんですが。やっぱりそうしたいって思うよね。
最初はED3に行きました。全ルート共通して友人たちはいい人たちなのですが特にこのルートだと三人の関係に切ないけどほっこりもする。見えなくとも確かに残ったものもあるっていい話だよなあって。
どのEDも結末としては好きですが、最後のアレを見せられたら・・やっぱりTRUEが一番美しいのかもと感じました。
誰かに席を譲るってすごく勇気もいるし、その決心ができる人はきっと優しい人なんでしょうねって思います。
優しいだけじゃないが悲しいだけでもない
まさに今回のテーマにぴったりのゲームでした
最後に
今回は
優しさと切なさとが混ざって何とも言えない気持ちになれるゲーム(って個人的に思った作品)を載せてみました。
しかしまだフェスには山盛りにゲームがあるので今回漏れてしまったそういう感動系ゲームもたくさんあるのは言うまでもなく。
でも600作品全部触れてそれで決めるなんて無理だよなあと・・・
なので色んな作品を遊んでくれる人が増えれば増えるほど一つの一つの作品がより輝けるのではないかなど今は思っています。
私もまだ出会えてない作品570タイトルくらいあります。
最後になりますが、各作者様プレイさせていただき誠にありがとうございました。
前回のnoteのとき次はティラノフェス以外をやるっていってたんですけど
フェスが2月末で終わってしまうのでこっちを早めに出すことにしました。
自分自身バタバタしてたりするので間に合うかわかりませんが
フェス終了前にもう1つ出せたらいいなあとおもってます。
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