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自作ゲーム「ニニニパン」を勝手に語る

※この記事は、
 フリーゲーム「ニニニパン」の内容に触れるため、
 当ゲームの「おまけまでプレイしたことがある」人用の物です。
 全てのEDの内容についても触れています。
 これからプレイする可能性のある方、または
 現在プレイ中の方へのネタバレが多数含まれておりますので
 ご注意ください。
 作者が好き勝手に制作メタ視点を語っているだけなので、
 ゲームの世界観・キャラの印象を壊されたくない方もご注意ください。


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今作の方向性について

テーマ「正解も間違いもない」

これが今作のテーマでもありました。
そういうノベルゲームを作りたいなって前々から考えていましたのでそれを形にしたという感じです。
シナリオを追うタイプのゲームというと
大体はハッピー、ノーマル、バッド、トゥルーという
エンドの区分があると思います。
そのため「どの選択が正解なのか」をプレイヤー側が潜在的意識で探し始めるであろうことを想定し、
あえてどのEDにも少し影を落とす内容にしました。
オマケについても、そこで明かされる新情報はありますが、
真EDというより、
あくまでニニの視点から本編をなぞる形で終わります。
(いうなれば前日譚というポジション)

ニニのセリフもテーマを意識したもので、
「君の好きにしてくれて構わない」
「選択によってどんな未来(結末)がきても楽しんでほしい」
という言葉をつけて、
極力プレイヤーの選択を否定しないようにしています。
3日目の「ニニからの質問」でも
どっちの選択をしても「それで良いんじゃない?」というスタンスで。

ED3では3個以上与えたキャラを通してニニの語りが入りますが、
途中にわざわざネガティブな言葉を付け加えるという、
嫌がらせもあります。(バランスとりたくて…)

「知らない」からこそ楽しめるように

物事も人間も色んな方向から見ると印象が変わることがあると思います。
ですが、現実だとどうしても最初に得た情報ばかりが先行し、
一方的な主観で捉えてしまいがちだよなあーと私自身が感じてましたので、
初回プレイ時に得た各キャラクターや世界観の印象が、
どのように変化していくのか
をゲームで感じられたら面白いかも。
というのが根底にありました。
プレイヤーの皆様には、
初回プレイで感じたことを思い出して、
印象が変わった瞬間や、今とどう違うかなど
振り返って楽しんでいただけたら幸いです。
このゲームの内容やキャラの詳細を
紹介時に極力見せないようにしていたのはこの為です。
そのせいで、どんな内容なのかわかりにくくなってしまったので
これは今後のゲーム制作の課題になっていきそうな気がします。
騙し討ちみたいなのは避けたかったので
「可愛い内容ではない」と断りを入れてはみましたが、もっとダークさをアピールした方が良かったかなと思ってみたり。

ED1~3の構成等についての語り

作品のテーマが「正解がない」なので、
どのEDも正/誤の優劣をつけられないように
「どのルートからクリアしても支障がない」という作りになってます。
どのルートを通っても得られる情報が少しずつ違うので、全部回ると世界観全体が見えてくるという作りにしたつもりです。

おまけページについても当初はED1~8のすべてを通らないと見れない、
という仕様にする予定でしたが、
必要なプレイ時間がより長くなってしまうので、
極端な選択の5種だけを条件にして
ニニ以外のキャラの詳細を知ってもらってから、おまけを見てもらうという形になりました。
(そのせいでプレイヤーの中でED1~3が間違いという扱いにならないか心配)

・ED1

1人1個ずつ配ったエンドです。
個人的な予測としては、
初回プレイ時にこのEDに行く人が一番多いんじゃないのかなと。
(統計とか取れないので実際はわかりませんが)
一応仕事の説明の際に、ニニが
「君の好きな配り方をしていい」
「もらえない人がいてもいい」
「一人に何個渡してもいい」と念入りな説明をいれたのは、
そうしないとプレイヤーが「きっと1人1個じゃないとダメなんでしょ?」という先入観のみで初回を選んでしまうと思ったからです。
(シナリオ上仕方なく配らされた感をなくしたかった。)
恐らくプレイヤーはこれが「無難でベストな判断」と思って
選んだと思われるので、
あえて「平和な終わり方」にはしませんでした。
いわばこのEDが「ニニニパン」の暗い方向性の導入的役割を担っています。
多分「は?」という疑問で終わる形なので
プレイヤーの皆様は困惑されたと思います。すみませんでした。

・ED2

全員が2個以下かつ0個のキャラがいる、という配り方のエンド。
ある意味このEDが探すの面倒かなと思ってます。
初回で行くか、おまけのとある文章で気が付くか、他EDの分岐条件をみて予測するかで見れるという位置づけ。
ニニは「なんとも言えない配り方」とは言っていますが、
そういう中途半端も良いよねと肯定しています。
このルートでは、「シンサクパン」について申し訳程度に触れています。
ニニとしては、シンサクパンは新作のパンという意味合いではなく
心(しん)作(さく)パン、または心(しん)咲く(さく)パンということでした。
というネタ。
少しわかりにくかったので漢字にルビ振った方が良かったかなと反省。

・ED3

3個以上5個未満エンド。
多くあげたキャラクターによって少し差分があります。
シンサクパンによって食べた人の感情がマシマシになって、
その人が今後、精力的に活動しはじめるだろうね、というお話。
その後の村がどんな風になっていくのか、
ハッピーな未来になるのか、それともバッドな未来なのか
これはプレイヤー1人1人の想像にお任せしますという扱いです。
ここでも「正解も間違いもない」を露骨に見せているつもりです。

このEDでは一応ニニから
「気になるからってこれ以上与えるのは過干渉だよ」と
次のEDへの含みを残しています。
また、4個目のときに各キャラ謎の演出が入るので、
気になって次の日もあげたくなるような誘導もしてはいます。

4個目に何か引っかかることを言う村人たち

また、このEDには唐突なタイトル回収も含まれていますが、
プレイヤーがED3をどのタイミングで見たとしてもネタバレにはならないかなあと思っています。(そもそも君の~が本編内ではさほど重要じゃないのもあります。)

これらのED1~3はおまけ回収には必要ではないですが、
知っているとおまけパートを見た時の情報の受け取りかたが違うかなあと。
おまけをみた後でED回収しても「ああ、なるほど」となるくらいを想定しております。

キャラエンド(5個)について

キャラの中のことは書きすぎるのも野暮なのでエンドのことだけに。

プレイヤーの中には選択肢をとりあえず上から選んでいくという方もいることを想定し
上から順に「まやかし村」の変化が少ない順となってます。
今思うとマルとドドラは逆でも良かったかなとか色々悩みが尽きない要素でもありました。

エク

説明の際一番最初に会う村人であり、選択肢の上に配置されていることや
子供でありなおかつ優しく友好的な印象から、5人の中でも配られる優先順位が高くなるだろうと思っています。
エクEDでは、「ルナリとワイザワ」「ドドラとマル」のペアでやり取りさせることで各ルートではそこまで見えなかった村人同士のストレートな関係性が見えるようにしています。エク本人の知らない裏では、様々な人間関係が繰り広げられてきていたというのを表現できたらなと。特にルナリとワイザワの言動は意外に感じる人もいるかもしれません。

ルナリ

ルナリとドドラが対の立場になってることは、プレイ時にもある程度汲み取っていただけたかなと思います。
古いものがとにかく嫌いというわけではなく、あくまで「古くからある固定観念に縛られたくない」というイメージで見ていただけたらなと。

エクと同様、無意識のうちに彼女を優先で選ぶプレイヤーが多いのではないかと。
少なくともドドラよりは先に5個ルートをみるプレイヤーが大半になること
を想定し、ドドラに関してはイメージがネガティブ寄りになるよう表現し、悪い印象のままドドラルートへ行くという流れを意識しています。
一見すると全く相いれないように見える二人ですが、
実は似てるところもあって、

エクEDで、ルナリがワイザワに言ったセリフ
ドドラもルナリに対して同じこという

これは
「口でいう思想や理念は全く違っても、心の根っこ部分は皆似ている」
という作者の個人的価値観からくる自己満でした、すみません。
マルに関しては、ルナリとマルどちらのルートを先に見ても後側の方で「あー…それは…」と突っ込みたくなるくらいのつながりで終わらせています。
ルナリはマルの事を「自分のせいでひどい目にあってる。何も悪くないこの子たちを助けてあげないと」という考えでみていますが、
マルはルナリの事を「ネコ族に友好的で人間への抵抗活動を援助してくれる珍しいタイプの人間」という考えで見ています。
お互い本心と真実をしらないまま、というのも現実さが増してていいのかなと。
EDについては、「まやかし村」や村人らの過去を何も知らないからこそ、勝手なことを自由に語れる部分もあるよね、と言う感じで。
新しいことをやるということは今まであった何かを壊す一面もあるという結末であるということですかね。

ドドラ

良くも悪くも「昔の人」というイメージです。

性別役割分業バリバリ

上にも書きましたがルナリとは対の存在であります。
「まやかし村」はある意味でドドラを中心として動いているといえます。
ニニへ寿命を延ばしてもらえるようたのんではいますが、自らの死期を悟っているので、去ったときの準備もしっかりやっていたり。

最初の紹介で高圧的・とっつきにくい印象にしたので
プレイヤーからの第一印象は決して良くない状態になったかなと思います。
上の二人よりは優先順位低かったんじゃないかなあと(下手したら最低になるかも)。
ルナリやマルのルートから来ると、
「嫌なババア」というイメージの中で始まりますが
エクやワイザワのルートから見ていると
「悪いだけの人じゃないのかも」くらいには印象違っているのではないのかなと。
EDについては「まやかし村」とニニの事を村で一番知っているのは彼女なので、この世界と自身の生い立ちを語ってもらう役割になってもらいました。
今まであった姿をそのままで維持するためには、新しいものを拒否し続けるしかないという一面を見せられたらなあと思います。

マル

マルについてはあまり公開したくなくて(最初の紹介で、え?ネコ?って反応をあたえたくて)そこまで見せないようにしてました。
Twitterでは一度スクショ出したような気もしますが。
誰もが納得できる「真の平等」があり得るのかという問いのつもりです。
マルの考える平等をプレイヤーはどう感じるのかなあと個人的には気になっています。

ネコのインパクトが強いので、人によっては最優先かまたは一番最後に選択されるかもしれない、と動向が読めない感じでした。
最初から腹黒予想する方は結構多そうかなと。
マルは他キャラのルートとは毛色が少し違い、
自身のルートで自分の印象を悪くしていくという作りにしました。
2個~3個目からすでに人間や猫たちに対して下に見てるような傲慢っぽい態度が少しずつ垣間見えるようにしています。

ドドラルートでは悪いやつ、ルナリルートでは可哀想な被害者、
ワイザワルートでは訳ありのポジション、
とイメージがバラバラになるようにしています。
食い物盗んでたのは仲間の為でもあり、
そしてその仲間たちとともに人間に対して反逆するという結末に。
プレイヤーは意図せずその狼煙に手を貸すことになるという内容ですね。
ここでも、「正解も間違いない」のポリシーの元
「ネコ族に味方するわ」と思うのも「ネコ族怖い」と思うのも
どちらでも良し、というスタンスなのでプレイヤーの皆様の感性で。

ワイザワ

自らの正義感を信じて従いはするが、その行為によって生まれた新しい問題と責任に悩み続けているのを感じ取って頂ければと。
ドドラとエクに関しては大切な家族。
ルナリとマルに対しては居候。
も。とプレイヤーに関しては、ニニによる被害者で可哀想なやつら。
ニニについては、何度も命を助けられた恩義と、
自然の摂理を捻じ曲げる異形の存在を許してはいけないという己の正義感の間で揺れています。

選択肢が一番下にあるうえに、エク・ルナリ・マルが優先されがちで5ルートの中では最後に見た、という方が多いかもしれないです。
ドドラとは別の視点で「まやかし村」を見ている人物です。ドドラ側にもルナリ・マル側にも着かず中立寄り。
最後は自分から正しくないことに手を染めて、ニニと戦うエンドになっています。
自暴自棄になっているだけと受け取るか、
ワイザワの状況に同情するかは、プレイヤー様のご判断に…

も。

おまけページで大方語られた通り、
ニニが最初に作った人間の魂入りのぬいぐるみです。
別世界(こっちの現実世界)で亡くなった人のいわば転生ってやつに近いかと。
も。の言葉がプレイヤーにはわからないのは

村人らにはも。の言葉が聞こえている
「別世界(プレイヤー)の生物」とは意思の疎通ができない

プレイヤーが別世界の住民であることのメタでした。
も。にもプレイヤーにも同じ呪いがかけてあるので
両者ともにニニニパンの世界の住人とは会話できるけど、も。とプレイヤー同士では繋がらないという解釈にしておいてください。
(おまけ内で語られるだけなのでたいした意味はもたないのですが)
また4日目の朝に「こんなことは無駄だからやめとけ」と語るのは、
おまけの通り、ニニの日記を見ているも。にとって
何度も何度も繰り返すプレイヤーたちに
「時間かけても君が得られるものは何もないよ」という忠告のつもり。

ニニ

ゲームの最初に出てきてメインっぽく関わるわりには、ドドラルートと最後のおまけまでよくわからない人って感じにしました。
人間の価値観とはかけ離れている、独特な死生観をもっている等「人ではない」雰囲気を感じていただければと思います。
因みに性別はありません、なので一人称は「こっち」とか「こちら」とかになってます。そのせいで文章がわかりにくかったかも。男でも女でもどっちでもお好きな方で呼んでください。
ニニの行動の中心はあくまでココロの研究。
本編中、シンサクパンのことはとくに興味なさそうにしていて、村人らやプレイヤーの選択や考えを分析しているような台詞も意図的に入れています。

正解も間違いもないといいながら
プレイヤーの正体に明確な解をだしたのかについては、
ここの解をスッキリさせないと、全体があやふや
(どの結末がトゥルーなのか等がはっきりしない)なため、
ストーリーを追いかけてたプレイヤーの中で「で?これは?そして自分は結局なんだったの」で終わってしまう恐れがあったためです。
直接的な描写は多少避けてはいますが、
「今プレイしている貴方こそが、おまけで明日くるといわれているぬいぐるみの中身」だよとすることで、
よくわからない世界の人達を外からみてみたではなく、
自分がニニニパンの世界に色んな意味で介入したんだよという没入感を少しは出せたのかなあと。

長々と失礼いたしました。
ニニニパンを面白くする話、というより作者の予測を語る場みたいになってしまって申し訳ないです。
プレイヤーの皆様は、どのキャラへ、どの順番で、何を思いながらパンを配りましたか?
直接お聞きできる機会はないかもしれませんが、皆様のココロに何かを感じさせるゲームであったならうれしいです。

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