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青いとり

はばたいている青い鳥が
晴れた上空から
池の中に亀の背中
ひとつふたつ

遠くの山が
よんでいる
行きたいな
行きたいな
行ってみようか

青い鳥は池の上を3回とんで
さよならを告げた

高く高く飛んでいきたい
小さな体で飛んでいく
だれもいない
仲間には会わない
誰もいない
お日様が輝いている

遠くの森は遠いまま
遠くの森にいるはずの
誰かがきっと待っている

青い鳥は少し休もうと
下へ下へとおりていき
高い木の枝に落ち着いた
ああ、疲れたな、がんばった
僕はどこへいくのだろう
いったところで何かがあるのか
いってもしょうがないんじゃないか
悪い鳥がいるんじゃないか

青い鳥は不安になった
なじみの古巣をとびたってどこへいくのだろう
見知らぬ場所へいくのだろう
みしらぬやつらがいるのだろう

青い鳥はどうしようか

青い鳥は、ためしに山を眺めてみた
行きたい気持ちに変わりはない
いけばなんとかなるはずだと
そうして、なんとか飛び立った

遠い山にはまだ遠い
飛んでも飛んでもまだ遠い
こんなに飛ぶのは生まれてはじめて
胸ふくらまし青い鳥
もうすぐ夕暮れお日様もおうちにおかえり
おかえりおかえり
お家におかえり
ぼくのおうちは遠すぎる
ぼくもそろそろ寝場所をさがそう

青い鳥、ふと降り立った木の枝に
小さな巣をみつけたよ
だれかいるのか
鳥の巣には誰もいない

青い鳥は夢をみる
おかあさんの夢をみる
弟たちの夢をみる
池のカメの夢をみる
青い鳥はすこしだけ涙をながす
そうして朝がくる
朝が来た
青い鳥はとびたった
遠い山にとびたった

青い鳥は飛んでいく
ただひたすらに飛んでいく
青い鳥は飛んでいく
遠い山へと飛んでいく



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