てのひら ひらいて
あなたは、私のことが好きだったのか嫌いだったのか私には分からない。
あなたは、私といる時恥ずかしかったのかしら。あなたは、私といる時もっと寂しくなったのかしら?
もしかしたら少し楽しかったりしたのかしら。
私は、あなたにひどいことを言われたことは一度もない。
でも。(だから?)
私はあなたの心がずっとずっとわからない。
私はあなたの心を知らない。
私は馬鹿だから北風みたいに押しちゃって、あなたが心のコートを脱いでくれないとわかって後ずさるしかなかった。
何度も何度も何度も私はあなたにどう思われていたのか考える。ああだったのか、こうだったのか、ああでもない、こうでもない。
ぐるぐるぐるぐる、どうしたら良かったのかな、何がいけなかったのかな。無数の後悔と、疑念と、一縷の希望とがずっとずっとループしていた。
株分けしたいほど繁殖した妄想の森。妄想に次ぐ妄想。ずっと私はあなたといた時にいる。誰かと話していても、心の中の自分の声が大きくて私はあなたとの思い出をまとわりつかせている。巻き付く過去を引きずってまるで私は妖怪みたい。
私はあなたの心を知らない。何度考えても、何冊本を読んでも、何億通りの可能性を検討しても、私はあなたじゃないから絶対にわからない。
あの失恋が私を強くしたとか。いつか通りすがったあの人がふとみた時に幸せな私でいたいとか。ふざけるなバカと私に言いたい。綺麗事で終わらせてたまるかよ。
もっと話してくれたら良かったのに、わからないんだよって。思ってる。
昔、あなたが空けた心の穴を私は埋めたいと思っていた。実際色々な事をして埋めようとしていた。
だけど、気付いた。穴は穴だし。あなたのこと私は知らないし。あなたになりすました私で私を埋めようとしてただけだし。
私の私による私のための壮大な「あなた」と言う物語。
馬鹿な私。
あなたは
あなたは、
あなたは、あなた。
私は、私。
あなたと私は、出会って分かれた。
良くも悪くもない。好きでも嫌いでもない。過程でも結果でもない。糧でもない。後悔でもない。失敗でもない。
掌の一粒の砂
飛ばされても、落ちてこぼれても、その存在すら忘れても、
そのまま、ずっと、そのまま
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