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PWSで存在感を示すRenewal Gamingというチームと、モンゴルのPUBGについて

皆さまこんにちは。ノンナです。

いよいよ開幕したPUBG WEEKLY SERIES: EAST ASIA Phase 2(通称:PWS)、楽しんでいますか?
どの試合も予想の付かない展開に、私も興奮が止まりません。

日本チームとしては、国際大会初の参戦となる松井Gaming Clubがドン勝を取ったり、前回悔しい思いをしたZETA DIVISIONがWeekly Finalでドン勝を取るなど、初週から成長と強さを見せつけてくれました。

そんな中忘れてはならないのが、Weekly Survival(WS) Match2でドン勝を取り、鮮烈なデビューを飾ったRenewal Gamingです。

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既にご存知の方も多いとは思いますが、彼らはオープンスロット枠で出場しているチームで、所在地はモンゴル
モンゴルのPUBGチームが本大会に出場するのは初めてのことであり、PUBG Corp.主催の大会に純モンゴルチームとして出場することも初めてのことです。
(過去の大会を調べてみると、モンゴルのチーム名を持ちながら、多国籍のメンバーを2人含んで出場している事例もあったので、ふわっとした言い方にしておきます。)

彼らは一体どのようなチームなのか、どのような戦績でここまで勝ち上がってきたのか、そしてモンゴルのPUBGシーンはどのようになっているのか。
私なりに調べてみましたので、拙い文章ではありますが、紹介していきたいと思います。
(注:本記事のデータはすべて私が個人で調べ、見解を述べているものであるため、一部誤りがある可能性もございます。あらかじめご了承ください。)

Renewalというチーム

RNWL紹介

かつてはHypeというチーム名でPUBG SCRIM JAPAN(通称:PSJ)に何度も参加しているため、そのチーム名には見覚えがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これまで公式大会に参加はしていないものの、APACリージョンの大会などには参加しており、Onslaught League Season4では総合5位ながらも、Ru11eTがDivine EsportsやDaytrade Gamingなどの強豪選手を抑えモストキル、さらにダメージ1位(10試合で21キル3996ダメージ)を記録するなど、その強さを示していました。
(なお、公式大会であるPUBG Continental Series 3: Korean QualifierにTeam Hypeとしてエントリーしていたものの、"規則違反"により失格となっています。詳しくは記載がありませんでした。)

PWSのオープンスロット枠

そもそも彼らが掴み取った「オープンスロット枠」がどのようなものなのか、ご存知ない方もいらっしゃると思うので、説明していきたいと思います。

今大会のこの枠はオープン参加大会であるLVUP SHOWDOWN: 2021 Season2の結果で決まります。
LVUPでは各週で参加チームを募ります。よく「韓国予選」と言われますが、出場資格は韓国の他に日本、台湾、香港、マカオに所在のあるチームとなっており、日本からもArk5、Relaxedlyが参加しています。
そして、前回大会までは「主催者が認めたその他の地域のチームの参加」ということでモンゴルのチームも参加していましたが、今大会からは正式にモンゴル地域の参加が認められ、複数のチームが挑戦していました。

予選の形式ですが、まず参加チームをその数に合わせてグループ分け(多い週で106チームが参加)し、グループ数などに応じて上位16チームを選抜します。
その上位16チームで予選決勝(5試合)を行い、週間で1位になったチームにはFinalの出場権が与えられます。
この週予選を8週行い、各週の首位チームと、8週間の総合成績上位チームで16チームを選抜し、10試合の戦いの末、上位2チームのみがPWSの出場権を獲得できるというとても狭き門の戦いなのです。

Renewalは全ての週予選に参加し、8週間のうち7週間でグループ予選を突破Week7では週間1位を獲得し、Finalへと駒を進めることとなります。

FinalではMCルールに悩まされ、Match8を終えた段階でキルはトップタイだったものの、総合8位。
しかし、ここまでの8試合で実に7チームがドン勝を収めており、ドン勝さえ取れれば一気に順位が上がるポジションでした。

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↑ Match8終了時のリーダーボード。

迎えたMatch9、終盤に安全地帯際で追い込まれたものの、前回のPWS出場チームであるNO COMMENTを力でねじ伏せサークルイン、最終局面の3v3でも1人も削られることなく制してドン勝。一気に順位を2位まで上げ、そのままMatch10でも総合2位をキープしフィニッシュ。念願のPWSの切符を掴みました。

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↑ 最終成績。キル数は並居る韓国のチームを抑えトップに立った。

では、彼らの強みはどこにあるのでしょう。
LVUPでの成績から紐解いてみましょう。


数字でみるRenewalの強さとは

まず特筆すべきはやはりそのダメージ量

ダメージ量

これは各週の予選決勝とFinalにおけるRenewalのチームダメージ量の表です。
1試合で平均1000ダメージを安定して超えることが多く、1500ダメージを超えた試合も全45試合のうち15試合あるなど、とにかくダメージ量が多いことがわかります。
そしてこのダメージ量を引っ張っているのがRNWL_AnswerzRNWL_Ru11eTの2人。2人でチームダメージの65%を占めており、Answerzはキル数でも1人でチームの約4割を占めています。

にっきーさんからの贈り物

↑ こちらはPSJの運営をしているNickyさん(https://twitter.com/nicky__pon?s=20)から提供いただきました、2021年4月6日のPSJ Tier2のリザルト画面です。Ru11eT選手が驚愕の個人15キル。

また、2選手は週ごとのキル・ダメージランキングも軒並み上位に名前を連ねており、他のチームの選手と比較しても、2人の攻撃力の高さがうかがえます。

キルダメ

↑ RNWL2選手の各週のキル・ダメージの個人ランキング。

そして気になったのが、キルに対してダメージ量が極めて高いことがあるという点です。
上記の表を見てみても、1キルで1200ダメージを出していたり、6キルで2400ダメージを出していたりします。
そこで目をつけてみたのがDMRダメージ量です。
特徴が顕著に表れたのがRu11eTのDMRダメージ比でした。

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確認ができる全ての週で全ダメージの半分以上がDMRによるものであり、特にチームトータルダメージ1位を獲得した週でもあるWeek2、Week5、Week7では約4分の3がDMRによるダメージでした。
推測ではありますが、遠くの敵に対しても積極的に牽制や撃ち合いを行い、それをしっかりと当てているということが考えられます。
(ちなみに、キルに対してノックを2倍取っているという週もありました。)

その他のスタッツだと、ダメージが多い週は被ダメージランキング、ダウン回数ランキングも上位であったり、ダメージが多い週は投げ物の使用量ランキングでも上位であったりするなど、興味深い指標がいくつかあったのですが、ダメージと被ダメージ、ダメージと投げ物に関しては因果関係を改めて調べてみる必要がありそうです。

LVUPのスタッツからわかったことは、RNWLはAnswerz、Ru11eTの2人のエースを中心に基本的には攻撃的なスタイルであること、そして遠距離でも確実にダメージを加え、ダウン、キルを取っていくということでした。


2021年現在のモンゴル国内リーグ

ここまでRenewal GamingのPWSまでの道のりについて考察していきましたが、ここからはモンゴルPUBGの現状について見ていきましょう。

2021年、モンゴル国内ではMongolian National PUBG League(通称:MNPL)が行われており、現在Season2の真っ只中です。
既に開催されたSeason0(2021年1月)、Season1(2021年3月)の結果を見ると、チームによって予選参加試合数もバラバラで、恐らくサーバーもライブサーバーで行われているようなので、リーグ戦ではあるものの、個人的なイメージとしてはスクリムに近いなと感じました。
しかしながら賞金はしっかりと用意されていて、前回大会では日本円で総額13万5千円ほど。今大会ではもっと増える見込みです。

Season2のここまでの成績を見ると、Week1はIkh Mongol Gamingが、Week2~Week4はRenewalが、Week5では24K Esportsが1位を獲得しています。
各週の上位にはPSJでなじみ深いチームもいるので、せっかくですので何チームか紹介していきたいと思います。

まずはMNPL Season1 の王者、Ikh Mongol Gaming(iMG)

iMG紹介

PSJでもよく見覚えのあるチーム。
チームとして目立った国際大会の成績はなかったものの、国内では安定して好成績を記録。
MNPL Season1 Finalでは最終日に失速したものの、15試合で3ドン勝、114キルで優勝。Season2 Week1でも10試合で4ドン勝、102キルという圧倒的な成績で首位に立っている。
チームを引っ張るのはiMG_HamilioniMG_BIOという経験豊富な2人。
2人とも海外のチームでPUBG Continental Series(通称:PCS)の予選を経験するなど個人では国際大会の経験もあり、24Kで国内優勝も経験している。
MNPL Season2 Week1で10試合39キルでモストキルを獲得したiMG_ezoにも注目。


次はPSJ常連の24K Esports(24K)

24K紹介

APACの大会でも軒並み好成績を記録。
PSJの神視点放送にモンゴルのチームとして初めて顔を出したのも(恐らく)このチーム。(2020年3月15日配信)
最近では24K Esportsと24K Gamingが存在しており、同時にスクリムに出場すると「24K_~」という選手が8人存在することになるため、キルログ管理で困惑するらしい。
(先日のMNPL Season2 Week5には24K CHAMPという謎のチームもいて私はもうパニック状態である)


続いてはCHAMP(CMP)

CMP紹介

MNPL Season 0 Finalの王者。
APACの大会にフィリピンの選手とともに参加するなど、こちらも海外大会の経験は複数回ある。
しかしながら、MNPL Season 0で優勝してからというもの、目立った成績を残せておらず、Season2でもここまでは苦戦気味。
復調に期待。


続いてはOrgless(ORG)

ORG紹介

多分、元Road to Champion(RTC)。
RTCとしてはPSJによく参加していた。
まだチームとしての実績は少ないものの、LVUPのWeek6グループ予選では首位で通過し、週間6位を獲得するなど、これからが楽しみなチーム。


続いてはSqueeZe(SqZ)

SqZ紹介

国内でも優勝こそないものの、毎回のように上位に入ってくるチーム。
MNPL Season0 Finalでは全ての試合でポイントを稼ぎ5位、MNPL Season1 Finalでは3ドン勝を獲得し4位につけるなど、爆発力こそないものの安定して得点を重ねていく。
LVUPではRenewalに続く4回のグループ予選突破、Week3で4位を獲得。着実に実力をつけてきている。
そろそろ優勝の肩書が欲しいところ。


そして最後はZEUS Esports(ZEUS)

ZEUS紹介

PUBG mobileの大会をご覧になっている方なら聞いたことがあるのでは?
先日日本のREJECTも出場したPUBG Mobile World Invitational 2021にモンゴル代表として出場し、Eastern Division4位を獲得したチーム。
しかしPC部門としての活躍はあまりなく、LVUPでは7回のグループ予選挑戦も、予選決勝への出場は0回。
国内ではMNPL Season1 Finalで3位と大差をつけた2位を獲得するなど結果を残している。
現行のWWCDルールに少し苦しんでいるようだが、しっかりとハマれば国内優勝も狙えるのでは。


最後に

今回はRenewal Gaming、そしてモンゴルのPUBGについて紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
(あまり濃い情報を提供できなかったことが悔やまれます…。)

私がMNPLを見始めたのはちょうどSeason2が始まったくらいの頃で、LVUPのFinalが行われる10日ほど前でした。
その時はあまり真剣に見ていたというわけではなかったので、LVUPでRenewalが活躍していた姿を見て、なぜもっとしっかりと見ておかなかったのだろうと少し後悔しています。

モンゴルのPUBGは、上位チームと下位チームの差が非常に大きいです。
毎回のように上位にくるチームの顔ぶれは同じで、Renewalほどのチームだと、ある程度力任せでも勝ててしまうような現状です。

ただ、このRenewal Gamingの存在が、モンゴルPUBGの歴史を変えたこともまた事実です。

まだPWSは始まったばかり。
この先のRenewalの活躍次第で、私たちはモンゴルPUBGに対する評価を大きく変えなければいけなくなるかもしれません。

PUBG East Asiaの新たな歴史の1ページを、見逃さないようにしましょう。

長くはなりましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。

またどこかでお会いしましょう。

2021.07.27
ノンナ

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