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妊活日和#6

2019年2月。妊活開始から6か月目。

2月で私は33歳になった。

自己流のタイミング法を始めて6か月経っても妊娠に至らず、モヤモヤとした気分でいた。

夫もこの時35歳。

お互いに年齢を考慮して、早めに病院を受診したほうが良いのではないか、という結論に至った。また、通院するならタイミング法だけではなく、ステップアップすることも視野に入れた選択をしようと。

不妊治療を行っている病院・クリニックの治療内容や評判を情報収集し始めると、こんな時身近に不妊治療を経験した友人や知人がいたら、と少し心許ない気持ちになったのを覚えている。ネットでの情報が全てではないはずだし、実際に行ってみたことのある人の意見が聞けたほうが良いに越したことはないだろうと。

ネットや情報誌で何を重視して病院を選べばよいかも調べてみた。私が目にしたものの多くの記事には共通して「通院しやすい距離」を挙げていた。「体外受精まで進むと、通院回数が増えるので、職場から近いほうが良い」というのが主な理由だった。その意見を参考に病院を探してみたところ、残念ながら近くに該当する病院がなかった。あるのは、一般的な産婦人科病院で、不妊治療はタイミング法の指導のみだった。

私が住む場所は、一般的に「地方」と呼ばれるところであり、有名な不妊治療クリニックは県全域で片手で数えられるほどしかない。そうなると、必然的に「家、職場から通院しやすい距離」という条件は外さなければいけなくなった。

他にも、「夜間や休日の診療体制の有無」や「実績をきちんとホームページに掲載しているか」などいろいろあったが、懐疑的な性格も相まって「ホームページに載せている情報は果たして本当に正しいのだろうか」と考え出して一向に決められなかった。


そこで、今までの情報収集をいったん頭から消してみた。

もう、直観に従うしかない。魚座の本領発揮である。


そんな時、5年くらい前に通っていた美容室のお姉さんを思い出した。

そこのお姉さんは当時34歳で、結婚して7年経つが子宝に恵まれず、とある不妊治療専門クリニックに通っていた。私が行くと、いつも羨ましそうに「顔が赤くて体温が高そうだね」と言っていた。「仕事の合間に毎日マラソンしてるけど、なかなか体温が上がらないのよね」とよく嘆いていて、その当時はその言葉の意図していることがよく分からなくて反応に困った。そのお姉さんはその後、無事妊娠した。個人経営だったので産休と同時に店を畳むことになった。出産後も店を再開することは考えていないとも告げられた。当時はせっかく自分好みにカットしてくれる美容師さんをみつけたのに残念な気持ちでいっぱいだったが、店を畳むのに幸せそうな顔をしていたお姉さんの顔をみていると、自分の気持ちを伝えることも憚られてしまった。

辛い経験を乗り越えて、やっとの思いで妊娠を叶えた人の顔を、人生で初めて直に見ることができた。感動した。



よし、あそこの病院にしよう!

単純である。

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