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豊川孝弘七段【将棋のこと】

私は将棋を観るのが好きだ。
そして山崎八段ファンです。

先週のABEMAの師弟サミット、ほぼ同メンバーでの2回目だったので盛り上がりに欠けるのではと懸念していましたが、豊川孝弘七段の加入で無事に盛り上がったのではないでしょうか。杉本八段の惚気のような悩みも良かったですし、威厳ある師匠方の話はもちろん、加わったダジャレ師匠とほのぼの師匠がスパイスのように効いていて非常に楽しませていただきました。
ただ豊川七段には大変申し訳ないのですが、私は実はダジャレが苦手。ボキャブラ世代の歳なのですが、当時からどうしても苦手で番組を楽しむ世間に反抗するようにチャンネルを変えていたくらいです。

でも、豊川先生のダジャレだけは別物。初めての好きなダジャレかもしれません。あんなにドヤ感の無い、何の思惑も含まない慎ましやかなダジャレを私は知りません。そもそもダジャレの苦手な理由って、まずは話が止まるでしょ。そして言い手から反応を求められているような待ちを感じます。たかだか語呂を合わせた程度のことで話止めて、こっちを困らせてくんなよと腹が立つんです。おっと失礼、苦手じゃなく嫌っていました、訂正いたします。でも、そこのところを豊川先生のダジャレは凄くわきまえている。言ったと思ったらもう過ぎ去ってて話は決して止めません。空気が一瞬でも止まろうもんなら「あっ、すいません!」と早口で捲し立てて、すぐさま話に戻って行く。自己完結で聞き手の反応を求めてないんです。むしろ反応しないでと言わんばかりに自然を装い、いちいち反応していられないくらいの量を放り込んできます。それも、ずっと真顔で。変に受けたり、粒立てられると赤くなって照れてしまう豊川先生が、また微笑ましい。
目立ちたがりに見せといて本当は奥ゆかしいんです、豊川先生は。

自分にスポットが当たり過ぎると「マンモス」と言って逃げる。褒められそうになってもダジャレとマンモスを駆使してかわす。サミット見てても、意外と豊川七段のターンは短い。新加入なのに、簡潔に答えてはあっさり終わらしてしまいます。それこそ第1回から引き続きの師匠方に対して、新参者の自分が時間を取り過ぎてはいけないと自重しているかのよう。声の大きさと見た目の逞しさでひと目うっかりしがちですが、じっくり眺めてみると豊川七段という人物は決して出しゃばりはしない謙虚で慎ましい人なんです。

とはいえ昭和の九州在住男児ですから、骨っぽい所は隠せません。ダジャレに紛れ込ませてはいますが、話していることは案外ホンネ派で、質問に対してはきちっと答えてくれてる。言いづらいことから本当の思いまで、難しい言い方や回りくどい表現もしないで、解り易い言葉を選んでは一番ストレートに答えてくれていたと思いました。あういう所もらしいと言いますか、体育会系的な爽やかで潔ぎの良さを感じてしまいます。

そうなんです。豊川七段のダジャレの良さは、人柄と同じく爽やかさと潔さなんです。オジサン特有の粘っこさが無く、受けたいといった欲すら無い。サラッとしていて受ける気なんて更々無い、何なら意味も無くて量だけ有り過ぎ。あれだけの量のダジャレを言ってしつこく感じないんですから、どれだけあっさりしていることか。もはや芸です。

これだけダジャレについてだけ書く私もしつこいですね。こちらはオジサン特有のしつこさでして、豊川七段見習って自重したいものです。
ダジャレは堪能しましたので、師弟トーナメントでは年季の入った豊川将棋を楽しみにしています。勝負の方は、自重も控えめも不要ですので、思う存分バチバチビシビシ駒音響かせて、やっちゃってください。

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