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木村一基九段【将棋のこと】

私は将棋を観るのが好きだ。
指す方はいまいち。ちゃんと指せる人が見たら、いまいちにすらなってないかもしれない。

週末土曜は、現在アベマトーナメントを楽しみにしている。
ちょっと長くて疲れるけど…
山崎ファンの私としては、予選の時点で楽しみ半減。
それでも十分、全然、楽しい。

先週土曜は、チーム斎藤とチーム糸谷。
いきなり初戦で、木村九段に「二歩」が出た。
あれだけの超早指し戦。プロが「二歩」しても、おかしくない。
素人の私は気楽にそう思って観ていた。
珍しいものが見れて、むしろラッキーくらいの気持ちで。

でも、当の木村九段の様子がおかしい、相当に落ち込んでいる。
悔しいでも恥ずかしいでもないような、当然そうでもあるんだろうが、
何より申し訳ない気持ちが溢れて仕方がないようだった。
チームにはもちろんだが、それより視聴者に番組に対局相手にと、
自分以外のすべてに対して申し訳なさそうに謝っていた。
出演者やチームメイト、誰一人、当人を責める人はいなかったけれど、
木村九段一人がずっと自分を責め続けているようだった。

私みたいな素人に、プロ棋士の気持ちは解らない。
私程度の素人は、勝敗ばかりを見てしまう。
でも、プロの棋士の方々は、棋譜こそ大事にされているように思う。
思いもかけない反則で、棋譜が中途半端になったこと、最後まで魅せる使命が果たせなかったこと、対局相手をそれに巻き込んでしまったことを、厳しく自責しているようだった。
攻めは受け流しても、責めは受け入れる。
いつも飄々と朗らかな木村九段の、二歩であんなに自分を責める姿は、
対局で勝負している姿に匹敵するほどの、プロとしての矜持を見た気がした。

その後、危機的急所の4局・6局を凌ぎ勝ち、斎藤八段・佐々木七段に繋げて鼓舞するあの雄姿。
「信用されないということはチームの中では辛いことですので、信用されて推してくれたということが、何よりやる気を出させてくれたということになります。」
という台詞とその語り様。
かっこいい、かっこ良過ぎる!
山崎ファンの私ですが、今回ばかりは「あきらめない」を木村九段に。

そのうえ、エンディングでは、取り戻したいつもの姿で、チームTシャツを紹介しては宣伝までする芸達者。
令和のプロは、将棋以外の芸も求められる大変さをも平然と受ける、まさに唯一無二の「千駄ヶ谷の受け師」
反則しても、将棋をしても、販促しても、ずっとプロの木村一基九段を堪能した一日でした。

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